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その4続き 「認知症介護の日々」

レビー小体型認知症で非常に厄介な特徴が、浮気妄想です。
以前入っていたサービス付き高齢者住宅では、両親とも同じ部屋に入っていました。その時に、母の父浮気妄想が始まりました。あろうことか父が同じ部屋に女を引っ張り込んで、夜中コトに及んでいるというのです。
父、当時88歳。いや、それないわ。そもそもお相手がいないって。(笑)
しかし、レビー小体型のリアルな妄想は、彼女にとって現実以外の何物でもないんです。

最初はそんなことはない、と全員(私、介護スタッフ)で納得させようとしていましたが、逆に「私を丸め込もうとしている!」と激怒する始末。
本人にとっては現実なので、説得せず、そう見えるんだなぁとこちらが受け止めるしかない。
かわいそうなのは父だが。

それで喧嘩が絶えず、結局別々の施設に行くコトにしました。
母は視覚障害があるので、父にサポートして欲しい気持ちと、父の世話を自分がしなければならないのにできないという罪悪感で、始終モヤモヤしていました。そのせいで浮気妄想へと転じたのかもしれません。(娘が知らない夫婦の事情もあったかもしれませんけどね。)

妄想が始まったら、すぐに専門外来に連れて行くことをお勧めします。母の場合は、処方された薬がバッチリあって、妄想はほとんどなくなりました。(父浮気は母の中で確定しているので、それ以外)
これもある時期を過ぎると薬自体が効かなくなるので、タイミングが非常に大事です。
私の場合は、施設の方が今見てもらったほうがいいと思いますよとおっしゃってくださり、すぐに外来の予約を入れ、ことなきを得ましたが。
プロの言うことは聴くもんだ。

そして、両親の様子を見ながら思っていた。素人の私が世話をするって、もともと無理なんじゃない?この核家族化が進んだ現代に、いきなり両親を介護しろって無茶振りだよって思いました。精神的に疲弊しますから。一人で抱え込んだら、潰れます。

レビー小体型認知症の症状を主に書きましたが、アルツハイマー型認知症も態度が豹変するので、そりゃあ、びっくりします。
突如人格が変わる感じで。急にキレる感じ。
だから、親と距離が近くて仲よかった人って、すごいショックみたいです。大好きだったパパが!ママが!って。
その点、うちはそんなに仲良くなかったんでよかったわ。幾分かは冷静。

感情を揺さぶられる、日常生活の介助が増える、常に臨戦態勢の精神状態。
介護はこれが24時間続きます。だからプロの手を借りられるところ、行政の手を借りられるところは目一杯借りないと。私は子育ても同時進行だったので、ショートステイにデイサービスにと、ガンガンプロの手を借りてました。それでも二人を一人で介護するのは、やっぱり無理があります。

介護家族の感情の変化はこんな感じらしいです。
驚き→ 否定 →怒り →抑うつ →適応 →再起下手を打つと、怒りと抑うつで止まってしまって、どんどん追い詰められるケースが介護殺人とか介護心中とかの悲しい事件です。
私も長いこと、怒り、抑うつで止まってました。抜け出したきっかけは、なんだろう?
一種の諦めだと思います。自分が潰れる前に、やめよう。自分の人生を放棄して、親の介護に人生を捧げて終わるつもりなのか?って。いい娘を辞めた時、素直に人の手を借りようって思いました。親だってそのほうがいいですよ。イライラした娘にお世話されるより、笑顔のプロにお世話されたほうがね。

私が介護を諦めた理由の一つは、ひどいアレルギーが体に出たことでした。体に支障が出たので、施設に入ってもらうことにしたんです。体に出るまで介護をやり続けていたのは、自分の本当のニーズに気がつかないようにしていたためだと思います。
介護や子育てで忙しくしていれば、自分に向き合わずに済むし、必要とされている自分として存在し続けられる。
親の家に住み、夫の給料で食べて、お金の心配はしなくてもいい。

外から見ると、親の面倒も見て子どもさんも育てて立派ね。高級取りの旦那さんもいて幸せね。って感じでしょう。
本人は、まるで傍観者のように自分を見ていて、心から喜びを感じる瞬間なんて、子どもの笑顔ぐらいだったなぁ。
現実逃避するため、海外ドラマや百合漫画を本当に浴びるように見てました。綺麗な女優さんや綺麗な百合漫画にドキドキして、現実を見ないようにして。

でも、そんな逃げを打っている中でも自分に向き合おうとする自分もいたんです。

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