その4「実際の介護生活ってこんな感じ」

介護が始まった当初、親からも親戚からもよく言われたのは、
「一人っ子だから、あなたに頼るしか仕方がない」
私自身も不本意ながら、そうだよなって思っていました。
でもね、厳密にいうと子供が親を直接介護する義務はないんですよ。扶養の義務はあるけど。だから、あなたの親や家族に介護が必要になった時、逃げたっていいんです。自分第一で考えてくださいね。

それはさておき、やり始めたら予想外にやることも多いし、時間がかかるし、しんどさばかりに目につくようになります。

家族の介護は精神的疲労が80%を占めると思います。これ、他人だったら、精神的な疲労は半分になるんじゃないかと。
実の親の介護って、それぐらい自分の感情を揺るがされます。そして24時間休みなしです。夜も何かあったら、すぐ起きて対応ですからね。

介護の最初の段階は、驚きです。
「え?いつの間にこんなに弱ってたの?」「なんで話が通じないの?」「さっき言ったことを覚えてないの?」
今まで仲良くなかったとはいえ、自分の先を行く人だった親が、急に話が通じない人になってしまう。言ってみれば、バリバリ仕事のできる上司が、入社したてのFAXも送れない新人になってしまったかのような。

特に認知症介護は、予想もつかないことが多いです。(うちの親は二人とも認知症)
父のアルツハイマー型認知症と母のレビー小体型認知症の介護は、本当にプロの助言がなかったらどうなっていたか・・・。
人格が豹変しますからね。知識がないと、「マジ、狐が憑いた?」的なオカルトの世界を感じます。

アルツハイマー型は、一般的に知られている認知症の症状を持っています。いろんなことを思い出せなくなる。日常できていたことが出来なくなる。料理など段取りが必要なことが、難しい。少しずつ、衰えていく感じ。症状が進むと、トイレがどこなのか分からず、部屋の中で用を足してしまったり。まぁ、大変ちゃ大変。

しかし、レビー小体型はアルツハイマー型よりもさらに厄介です。日常のことは特に問題なくできるんですが、リアルな妄想がマジ狐憑き的な感じです。
母の場合は、寝言がひどいなぁというのが初期症状。寝ながら、起きているかのごとく大声で叫んです。
「ゆずゆりちゃーん!!早く来て!!!!!」と殺されそうな声を上げる。
(実際は寝ている状態で叫んでいる)
強く揺さぶって覚醒を促すと、「男が入ってきて刃物でさそうとしている!!」と。

初めの頃は、「お母さん!誰もいないから!私とお父さんしかいないし、今夜でみんな寝てるよ」と少し大きな声で状況を教えると、落ち着いて、また寝ていました。
夜寝られないのが一番しんどいです。夜のトイレ介助+妄想対応で。

家では私が対応してましたが、骨折入院時にもせん妄(妄想)が出て看護師さんたちから再三呼び出しを食らう羽目に。どうも家人以外信用ならないと思い込むみたいで、被害妄想が半端なかったです。
夜中や明け方に病院から電話がかかることも。

高齢者は、レビー小体型認知症でなくても入院するとせん妄と呼ばれる妄想が出やすいらしいです。特に母は視覚障害でもあり、さらにせん妄を引き起こしやすく、入院するたびに、せん妄の度合いが激しくなっていきました。
そんなこともある一方、入院してもらうとすごく助かってました。
夜は寝られるし。家にいると常に音に警戒し、声に敏感になり、何かあれば動くという、常に緊張状態を強いられます。ずっと無意識にやっていたみたい。施設に入っているにも関わらず、今だに夜中に物音がすると、「母?父?なんかあった?」「両親は大丈夫か?」と思い、「ああ、私一人だった」と思い直して寝ます。


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