見出し画像

廣田くみこ 『Q』 (兵庫県伊丹市)

あっという間に終わってしまった COLLECTIVE。もっともっとたくさんのひとに来て欲しかったし、参加してくれた作家さんや来てくれた人にもっと喜んでもらえるようなアイデアもたくさんあったしカタチにできないまま終わってしまったのが本当に悔しい。カタチにしたかったアイデアのひとつに、ZINE とのコラボレーショングッズ案がありました。ZINE の中の印象的なページをTシャツやトートバッグなどに落とし込むというシンプルなアイデアなのですがサンプルを取り寄せて終わってしまいました。無念。

このアイデアの着想は、兵庫県伊丹市から参加してくださった廣田くみこさんの ZINE『Q』。シンプルかつ大胆なドローイングで描かれた様々な人物のポートレート(肖像画)集。中でも極端に線=情報が削ぎ落とされているのにまるで写真でも見てるかのように、または写実的に描かれた油絵でも見てるかのような質量で彼・彼女のノスタルジーやセンチメンタルを感じ取れるポートレートが好き。この引き算の美学! 有名ブランドの派手なドレスもいいけれど、決して派手でもなければ高価でもないドレスを親の代から受け継いで大切にしながら長く着るという感じ。モノの形や作りよりも、その衣服が語り出すようなファッションが好き。シンプルな線が語り出すこの ZINE も好き。

そんな風に、廣田くみこさんの作品をファッション的に分析しているうちに、廣田くみこさんの絵が描かれたアイテムが欲しいなあとみんなで話すようになって(ぼくが着たいというのもあるけれど)COLLECTIVE という名前のブランドを立ち上げていろいろな作家さんとコラボレーションができたらいいねーという妄想までは進んだのだけれどね。しかもせっかく47都道府県という関連もあるから、伝統工芸とかそういうのも含めて広く長く、と、まぁ無責任な妄想はここまでにしておきます。

レビューに戻ります。

SNS の画面ではなく、実際に手にとって絵を見てもらいたかった
ー 廣田くみこ

ZINE という媒体はまさにこの可能性に溢れた作品。眺める、ではなく、手に取るということで2次元が脳内で3次元に変換される。めくるという行為に『時間軸』が流れ出し、ZINE の中の人物がまるで映画の主人公たちのように生き生きとする。もし仮にこの本に物語があれば、それが動き出す。線が研ぎ澄まされていればいるほどファンタジック。

なかなか兵庫まで絵を見に行くことができないぼくは、SNS で彼女のほかの作品も見てるのだけれど、それでもとってもいい。原画が見れる日を待ちわびながらレビュー終わります。

ー Written by 加藤 淳也(PARK GALLERY)

-------

エントリー 兵庫県

廣田 くみこ

絵描き

結婚・出産で
絵、どころじゃなくなる。
絵を描かない生活を
10年以上過ごし、
それでいいと思っていた。
でも、なぜか、
突然、発作的にマッキーを握る。
主にdrawing。
最近は抽象画も描く。
一瞬の心の揺れを線で捕らえたい。
と思いながら、描いている。

1982年生まれ 兵庫在住
大阪総合デザイン専門学校
イラストレーション科 卒業


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?