星野佑奈 『in a water.』 (東京都杉並区)

一冊の本に綴じられたとき、そこには「一つに綴じられるだけの何かがあった」と感じる。それはコンセプトと呼ばれたりテーマと呼ばれたりして、「私」と「あなた」の接点がない場合には特にそれは重要な意味を持つ。

「私」と「あなた」の間にはなにひとつ共通言語がないから、互いの共通言語となりえるポジションを設定することは大事になるんだと思う。ZINE の場合もそれは同じはずだが、比較的その共通言語が未成熟なものが多く、それが許されているともいえる。

そういうものと触れ合うと、「わかんないな」とあきらめることが多くなる反面、制作者のなんというか質のような性格のようなものが溢れていて「もうなんだかわかんないんだけどなんかすごいんじゃないか?」という気にさせるものと出会うことがあり、ZINE 好きを惹きつけてやまないひとつの要因になっている気がする。

この『in a water.』を初めて見たとき、とても撮影者に「近い」感じのする写真集だと思った。それは必ずしも撮影者のプライベート空間を撮っているという意味ではなく「愛着がとても強い」「本人がとても大事にしている」とでもいうか…。それでいて、そんな自分に「近い」ものをスパッと切り離して投げてしまっているように見えて「こんなことして、怖くないんだろうか」と思ってしまった。

僕はモノが捨てられないタイプだが愛着がそれほど強いほうではないが、数少ない愛着のあるものが自分のものじゃなくなっていく瞬間を思うと切なくなる。

『in a water.』を読んでるとそんな気持ちになり、少し息が詰まる。

ー Written by 大滝 航( crevasse

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エントリー 東京

星野佑奈 / 写真家

1989年生まれ
兵庫県高砂市出身
東京都在住

そこに存在するだけで流れる水のように美しいものたちの写真です。
ー 星野 佑奈

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