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【感想】蒼穹の昴

グランド・ミュージカル
『蒼穹の昴』
~浅田次郎作「蒼穹の昴」(講談社文庫)より~
脚本・演出/原田 諒

気が付いたら、グレートギャッツビー以降全く更新していなかった宝塚歌劇の観劇記録。宙組のハイアンドローも観たのにも関わらず時期を逃してしまった感。

今回、「蒼穹の昴」は数年ぶりに友の会が友になってくれず笑
イープラスの貸切と、タカラヅカスカイステージの無料招待に当選したので、貴重な2回ですが観劇してきました。
劇場に入る前に購入したパンフレットからしても装丁が豪華でびっくり。
セットも、衣装も大作を作ろう!という気概を感じさせました。

拙いですが、ネタバレありの感想を綴りたいと思います。





ストーリーの感想


浅田次郎原作の人気小説ということですが、全く予習せずに挑みました。
初見は、ストーリーに集中しすぎてタカラヅカ的な関係性萌えとか全く感じることがなくお芝居に只管集中していました。実は、2回目も同じ感じ。
わたしのNOTEを読んでくださっている人の中には、わたしが非常にストーリーとか話の構成について神経質というかグダグダ考えてしまうタイプの人間ということが何となく伝わっているかと思うのですが苦笑
蒼穹の昴に関しては、長編小説が3時間のなかで非常にまとまっていて、引っかかるようなセリフもなく久しぶりに物語に浸れました。
今回の脚本・演出の原田さんの力量なのだろうなと思います。
原作を読んでいないのが幸いしたのかな。

主人公は、彩風さんが演じる梁文秀だけれども朝美さんが演じる李春児も主役のよう。(実際に原作は李春児なのですね)二人を軸に話が展開されているように思いました。
寧ろ、一番の主役は西太后という感じでしたが。私のこれまでに抱いていた西太后の印象は他の作品にもあるように悪役、悪の根源。しかし、激しい気性を見せつつ母性はまさに国母であり非常に慈悲深い人物として描かれていました。これは浅田先生のリクエストだったのですね。(芝居好きで贔屓の役者がいたり非常に人間くさくもあり)

また、舞台装置も印象的で2幕の赤い壁が大きな船の甲板に転換するのは毎度感動しました。


キャストの感想


  • 梁文秀(彩風 咲奈)
    辮髪ではなく、三つ編みスタイルの彩風さんが長身も相俟って非常に恰好よかった。シティーハンターや夢介と軽いキャラクターが続いたけれども、彼女は硬派な役がはまり役という印象。
    もともと彩風さんの歌が好きですが、声量も抜群で胸に響く感情に乗せた歌声も素晴らしかった。正しい場所に導いてくれると確信させてくれました。

  • 李玲玲(朝月 希和)
    トップ娘役の退団公演で、ほとんど出番もなく一幕はみすぼらしい恰好でどうなんだろうと結構まじで思った。しかし、これまで元気いっぱいの強気の役などを観てきたからか彼女の演技のふり幅が非常に広いことに改めて感心した。歌もキーが合ってて、かわいらしくて優しい女性という印象。
    譚嗣同からのプロポーズに、わたしこれまでいいことひとつもなくっての返答って適切なのかよく分からんなーと思ったり

  • 李春児(朝美 絢)
    小柄だからかな少年のような役が非常に似合う。彩風さん同様に非常にはまってた。大きな目がライトの光をいっぱいに拾って少女漫画バリに輝いていた。水鏡だった。ちくしょうを連呼する歌が良かった。京劇も素晴らしくて、文秀に見ていたの?と尋ねる場面が個人的に超可愛かった。
    宦官になるために、自分で切り落としたという説明のくだり(朝月さん弁)は何だかもう自分の体がひゅってした笑
    貧しい彼らの持っている刃物だったら破傷風は免れないんじゃないかしら…

  • 順桂(和希 そら)
    陰があって、なにか一人だけ空気感が違う。そういう感覚が客席にまで伝わってくる上手さがある。歌もやはり上手くて、声がいいとか感情が乗っているとか全部ひっくるめて贔屓目かもしれないけれど、他よりも傑出している感じを受けます。歌唱指導が最高だった。

  • 光緒帝(縣 千)
    抑えた役柄で、誠実かつ顔が良かった笑
    西太合が善人なので、傀儡さもなかった。縣さんは黄色が良く似合う。

  • ミセス・チャン(夢白 あや)
    夢白さんの独特のセリフ回しというか、発声が気になるわたし。
    「イ=トウコウ」って聞こえてしまい毎回ツボる。笑

  • 伊藤博文(汝鳥 伶)
    こんなに肖像画に寄せてくるとは!!という驚き。自分でメイクしながらどのようにお感じになるのかなと思った(あほの感想)小さくてかわいい。

  • 西太后(一樹 千尋)
    後醍醐天皇がはちゃめちゃにホラーだったけど、これまた本当に上手い人だなあと毎回感動しちゃう。

  • 楊喜楨(夏美 よう)
    渋かった。好き

  • 安徳海(天月 翼)
    この方、専科ですよね大賞を差し上げたいレベルで上手すぎた。メイクもそうだし、声や動き方役に入り込んでいて専科陣に全く引けを取らないと思った。

  • 譚嗣同(諏訪 さき)
    実直で、言葉に訛りがあって素朴な感じが伝わってきた。彼は簡単なほうを選ぶというセリフが苦しかったな。生き続けていくことが難しい…という訳でもないと思うけれど。
    優しさからのセリフなんだよね。きっと

  • 黒牡丹(眞ノ宮 るい)
    美人なお顔が半面でも恰好良かった…痩せているから病弱な師匠感が良く出ていた。引退していたけれど、春児を育て上げて自分の技を託し、それが出世の足掛かりになるというストーリーもよかった。師匠と二人で舞う姿も美しかった。

  • 王逸(一禾 あお)
    歌はうまいし、演技も堅実でよかった。彩風さんや和希さんと3人で歌っても引けを取らない印象。

  • 鎮国公載沢(咲城 けい)
    軽くてふわふわしてる育ちがいい感じがした。笑顔が可愛いね。

  • トーマス・バートン(壮海 はるま)
    誰この歌うまイケメン!!と思って幕間で外に出たときに相互さんからしゃんたんと聞いてびっくり。

  • 李鴻章(凪七 瑠海)
    わたしの頭があほなので、一旦退場したあとに再登場して水戸黄門みたいに美味しいところをさらったのは何だったのかな。よく分からなかった…


ほとんどの雪組組子がモブになっていたのは、本当に本当に残念。
きっと、原田さんはこの作品のクオリティで何らかの賞を取りたいのかもなという印象を強く持ちました。

蒼穹の昴で、2022年の観劇納めです。
年内には、総括記事を書きたい。




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