”write down”は「書き留める」という意味を持つらしい。その「書き留める」とは少しニュアンスが違うけれど、わたしにとって書くという作業は”write down”に近い気がする。書いて降ろす、というような気分なのだ。

曲を作るのも、アイディアをメモするのも、プロジェクトを詰めるのも、スケジュールを確認するのも、みんな紙に書いて進めるようにしている。このデジタルの時代に。ペン先を紙に沈ませる、紙面を滑らせるという確かな感触を通して、考えや感情まで紙に降りていくようだ。頭の中が整理される。
ちょっとした図を描いたり、以前書いたものと切り貼りしてまとめたり、直感的な動きができるのもいい。デジタルでもできるのはわかっている、でも書くことが好きなのだ。デジタルオンリーの生活にはなかなか切り替えられそうにない。

ぶあつい紙束にどっしり書くのも好きだし、1枚にカツカツ書くのも好きだ。学生の頃はペンの色や細さ、紙の書き心地にやたらこだわっていた。おかげで今は悩むことなく、好みの書き心地のものを選んでいる。

かなりの年数「書き物」をしているので、自然何年も前の手書き書類を取り出すこともあるが、その時の状況や感情で、字体にかなりの違いが出ていて面白い。濃いインクでの殴り書き、流れるような筆記体、やたら小さくて読みづらい、アリンコみたいな文字列もある。人の個性は細部に表れるものだが、文字にはもっと細かい、その瞬間の人間の有り様が映し出されている気がする。

Comay.

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