見出し画像

人が集団で何かをやるときには、個人の良心は働きにくくなる

「人」に関するキーコンセプト ~「なぜ、この人はこんなことをするのか」を考えるために~

12:権威への服従

私たちは一般に、人間には自由意志があり、各人の行動は意志に基づいていると考えます。しかし、本当にそうなのか?とミルグラムは考えます。

会社組織に所属していれば、そうとも限らない事は容易に想像が付きます(^^;;

「アイヒマン実験」というものがあります。僕は知りませんでしたが、かなり有名との事なので内容は省略します。

この実験は1960年代前半にアメリカで実施されたものですが、様々な国でも追試が行われ、同様な結果が出たとの事です。

悪事をなす主体者の責任が曖昧な状態になればなるほど、人は他者に責任を転嫁し、自制心や良心の働きは弱くなることが示唆されます。そして、組織の肥大化に伴って悪事のスケールも肥大化する事になります。その典型例がホロコーストです。

以前紹介したアーレントは、ナチスによるホロコーストは、官僚制度の特徴である「過度な分業体制」によって可能だったという分析をします。ユダヤ人の名簿作成から始まって、検挙、拘留、移送、処刑に及ぶまでのオペレーションを様々な人々が分担するため、システム全体の責任所在は曖昧になり、極めて責任転嫁のしやすい環境が生まれます。このオペレーションの構築に主導的役割を果たしたアイヒマンは、良心の呵責に苛まれることがないよう、出来る限り責任が曖昧な分断化されたオペレーションを構築する事を心がけた、と述懐しています。

凄い事を考えるもんです。

現在のように分業がスタンダードになっている社会では、自分がどのようなシステムに組み込まれているのか、自分がやっている目の前の仕事がシステム全体としてどのようなインパクトを社会に与えているのか、それを俯瞰して空間的、あるいは時間的に大きな枠組みから考える事が必要です。

その上で、なんらかの改変が必要だと考えれば、勇気を出して「おかしいのではないか、間違っているのではないか」と声をあげる事が求められているのではないでしょうか。

この様に結論づけていますが、会社人間にとってこれは難しい。
理屈は分かりますし、その通りなのも分かりますがね。



ここまで読んで頂きありがとうございます😊