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海外への販路開拓とは?必要性・メリット・施策例を基に徹底解説

企業が成長するための取り組みは多くあります。
近年はビジネスのグローバル化を背景に、海外新市場でのビジネス展開、外国人を対象とした新規顧客の獲得といった海外への販路開拓が注目を集めています。
この記事では、海外への販路開拓をテーマに、重要性や海外進出が重視されるようになった社会的背景、海外販路開拓のメリットや具体的な施策例について詳しく紹介します。

この記事でわかること

  • 海外販路開拓が重要視される理由

  • 海外販路開拓の実施によって得られる企業のメリット

  • 海外販路開拓のための具体的な施策・手段

こんな方におすすめ

  • 海外販路開拓に興味を抱いている人・事業者

  • 将来的な国内での事業展開に不安を感じている人・事業者

  • 海外販路開拓を成功に導くためのポイントを知りたい人・事業者




1.そもそも海外への販路開拓とは?

はじめに、海外への販路開拓について、概要と国内大手企業の事例を紹介します。

1-1.概要

海外への販路開拓とは、企業が国内でのサービス展開に留まらず、国境を越えて新たな市場や顧客層に進出する戦略の一つです。

海外へと販路を開拓することで、企業の商品やサービスが新しい地域で提供されるようになります。これによって、国内市場の成熟による売上の停滞、同業他社との競争の激化に対処できると考えられています。

近年、通信技術や流通網、交通インフラの発達によって、ビジネス環境は目覚ましい進歩を遂げ、グローバル化が為されています。このようなビジネス環境の変化により、企業が海外展開を視野に入れることの重要性もさらに高まっています。

海外販路開拓の方法は多岐にわたり、越境EC(電子商取引)、販売代理店の活用、生産拠点の設立などが挙げられます。これらの手法を組み合わせることで、企業は新たなマーケットの開拓、顧客の獲得を実現し、さらなる成長を果たすことができます。

1-2.国内大手企業の例

海外への販路開拓として、国内大手企業を具体例にいくつか紹介します。

①トヨタ自動車
「世界のトヨタ」と称されることもあるトヨタ自動車は、海外販路開拓に成功した事例の一つといって過言ではないでしょう。

世界の新車販売台数において、フォルクスワーゲンといった海外メーカーに引けを取らない実績を築いており、日本国内の他の自動車メーカーと比較してもリードしています。

トヨタが世界の自動車メーカーとしての地位を確立した背景には、海外での自動車生産を実施していること、多様なグローバルモデルを展開し、販売国や地域のニーズに適した自動車を提供していることが挙げられます。

②ファーストリテイリング
ユニクロやGUといったアパレルブランドをグループ事業に抱えるファーストリテイリングは、アジア・北米・欧州と世界各国にショップを構え、世界的な地位を確立しています。

ファーストリテイリングの販路開拓における特徴に、「SPA」と呼ばれるビジネスモデルが挙げられます。これは、企画から生産、物流、販売までのプロセスを一貫して行うもので、独自の商品を開発・生産できます。

また、海外進出戦略としてブランドの認知を促すためのフラッグシップショップを展開していることも成功の要因だといえます。

③Sony
カメラやゲーム機、音楽など、多様な事業を展開し、グローバルに成長を続けているSonyは、国内で築いてきたものづくりの技術を、他の分野へと転用し事業を拡大していったことが成長の背景にあるといえます。

また、海外販路開拓においては、海外進出にあたり海外企業との連携を図ったことも成功要因だといえます。

Sonyの新分野への参入の多くは、アメリカ企業との合弁会社の設立によるといわれています。アメリカ企業との結びつきを強めて、グローバル化に向けた迅速な対応を行ったことが、海外進出、Sonyの事業多角化を成功させた一因だといえます。


2.なぜ海外販路開拓が必要なのか

次に、海外販路開拓の必要性について2つの社会的背景を紹介します。

2-1.国内市場の成熟

海外販路開拓が求められる要因の一つには、国内市場の成熟が挙げられます。

マーケティングにおける市場の成熟とは、特定の販売分野における商品やサービスの提供が十分に行き渡り、新規需要の創出が難しくなっている状況を意味しています。

また、市場において各企業が獲得した顧客(既存顧客)が他の企業の商品やサービスに移行する期待値は小さく、企業にとっての新規需要を見込めない背景となります。

そして、市場が成熟している場合、顧客に商品やサービスが行き届いているだけでなく、市場における企業数も相当のものとなっているケースが大半です。

商品、サービスを提供する企業数が多いほど、類似するものが多くなるため、差別化を図ることが難しくなります。商品やサービスそのものでの差別化が困難となると、最終的に価格競争へと陥るケースも多く、企業にとっての利益率低下を招くこともあります。

以上のことから、市場が成熟することによって、企業が国内で成長できる余地は小さくなっていきます。市場が成長しきれていない海外へ販路を開拓した方が、新たな顧客層を取り込むことができ、事業の拡大と持続可能な成長を見込みやすくなります。

2-2.東南アジアを中心とした周辺諸国の人口増加

日本は先進国として、さまざまな面でリードを続けていた側面があります。

しかし、少子高齢化・人口減少といった問題も顕在化しつつあり、日本国内としてのマーケットは縮小傾向にあるといわざるを得ません。

一方で、東南アジアを中心とした周辺諸国ではグローバル化による技術流入等を活用した成長が目覚ましく、人口増加を果たしている国が多くあります。

急速な人口増加に合わせて消費市場も拡大を続けており、この潮流は今後も継続されると予想されています。特に、インドネシア、ベトナム、フィリピンなどの人口増加は著しく、これらの国々が新たな需要の源となる可能性は非常に高いと考えられています。

また、人口増加がもたらす効果は、単なる消費市場の拡大に留まりません。

市場の拡大だけでなく、ニーズの多様化も同時に起こることが予想されるため、企業が提供する商品やサービスはさらなる進歩を遂げることが考えられます。市場のニーズに応じた柔軟なサービスを展開することで、競争優位性を確立することができるでしょう。


3.海外販路開拓のメリット4選

ここでは、海外販路開拓を行うメリットを4つ紹介します。

3-1.事業のポートフォリオの地域性を多様に

海外販路開拓のメリットの一つとして、事業ポートフォリオの地域性を多様化できる点が挙げられます。

海外販路開拓の必要性で説明した通り、日本国内での事業展開では市場の成熟による先細りが懸念されます。特定の地域に限定した事業展開は将来的なリスクを抱える可能性が高く、リスクに晒された際に対処を講じることも難しいです。

一方で、多様な地域に販路を拡大させておくことで、市場の成熟等の将来的リスクや景気といった地域特有のリスクが生じた場合、他の地域で成長を続けることが期待できます。

リスクを分散できることで、ある地域での不振を他の地域での事業展開でカバーしやすくなるというわけです

また、事業ポートフォリオの地域性拡大は、リスク分散としての効果を有するだけではありません。

事業を展開する地域ごとに、独自のニーズや市場のトレンドが存在することが予想されるため、需要にマッチした商品やサービスの提供が求められるケースがあります。

新たな需要に応えるために競争力を高められる効果が期待でき、一連の事業活動を通じて、新たな事業分野が開拓される可能性も秘めています。

このように、事業のポートフォリオを地域的に多様化させることは、成長戦略の一環として重要な取り組みです。リスク管理と新たな成長機会の創出を両立させるために、地域ごとの違いを理解し、柔軟な戦略を構築することが求められるでしょう。

3-2.規模の経済

二つ目のメリットは、海外販路開拓によって規模の経済を活かせることです。

「規模の経済」は経営・経済等の分野で用いられる専門的な用語ですが、具体的な効果として以下のものが挙げられます。

  • 生産量の増加とコストの削減

  • 交渉力の向上と取引ネットワークの拡大

  • 新規事業の開拓と企業イノベーションの促進

展開する事業に左右されることですが、特に生産業で販路を開拓、現地での生産を行う場合、生産に必要な原材料の調達や輸送といった生産プロセスの効率化が期待できます。

生産プロセスの効率化によって生産量の増加を見込めることはもちろん、コストの削減も期待できます。

そして、海外販路開拓を通じて海外に事業拠点を築くことで、現地企業との取引ネットワークを構築できるチャンスも獲得できます

ネットワークを拡大するためには企業としての交渉力の向上が必要不可欠となるため、自然と企業としての素養も高まっていくといえるでしょう。

また、現地企業と取引を行うことで、現地企業だからこそ知り得る地域独自の文化や事業トレンドなどをキャッチすることも期待できます。

さらに、現地企業との取引や地域ニーズやトレンドの把握が進展すると、事業をより拡大するための事業投資が促進され、事業革新が起こりやすくなります。

新しい市場での競争は新たな事業アイデアを生み出す源泉となり、より高度な製品やサービスを提供できるチャンスを秘めているといえます。

3-3.生産コストの削減

海外販路開拓の魅力には、生産コストの削減が可能となることも挙げられます。地域ごとの労働力や資源の違いを活かし、競争力を高める方法としても注目されています。

規模の経済でも触れましたが、海外へと販路を開拓し、現地での製品生産やサービス提供拠点を築くことで、原材料費や労働力といった人件費のコストを削減できます

また、従来は日本からの輸送を伴う事業を行っていた場合には、現地生産体制を築くことで輸送コストも縮減できるようになります。

さらに、海外で事業を展開する場合には販売拠点を築く(現地小売店との連携も含みます)ことも考えられますが、生産拠点との構えにしておくことで輸送コストの削減や物流の効率化がさらに促進されるようになるでしょう。

地域それぞれの需要の変化にも迅速に対応しやすくなり、在庫管理といった面でのコスト縮減も期待できます。

3-4.長期的に見た逆輸入の可能性

海外販路開拓によって海外での事業が軌道に乗ると、将来的には逆輸入のチャンスが訪れることも期待できます。

逆輸入とは、海外で展開を始めた商品・サービスが、国内市場においても需要を生み出す現象を意味しています。逆輸入により、国内での新たな成長機会へとつなげられる可能性にも期待できます。

特に、逆輸入だからこそ得られる利潤は、海外市場で培ってきたマーケット戦略、販売ノウハウを国内でも活かせる点にあります。市場が縮小している地域で新たに競争力を得るカンフル剤となることが期待できるというわけです。

また、逆輸入によってブランドの価値・イメージや、ブランドに対する顧客の信頼性などを国内で活かせる点も重要な効果といえるでしょう。

化粧品分野では、カネボウ化粧品が海外向けの最上位ブランドとして販売を続けていた「SENSAI」の逆輸入を実践しており、高級志向のある中国人向け(訪日客)に売り込みを行い、市場の拡大を図る狙いがあるといわれています。


4.海外販路開拓のための4つの手法

ここでは、海外販路開拓における4つの手法を紹介し、各手法のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

4-1.越境EC

海外販路開拓における代表的な手法に、越境ECがあります。

ECとは「Electronic Commerce」の略で、日本語では「電子商取引」と訳されます。一般的には、インターネットでのモノやサービスの売買取引全般を表します。ECで馴染みのあるサービスとしては、Amazonや楽天市場が挙げられます。

越境ECを通じた海外への販路開拓に成功した事例としては、ファッションプラットホームである「Zozo」が挙げられます。Zozoはアジア地域に焦点を当て、現地顧客に向けた商品ラインナップやマーケティング戦略を展開しています。

また、中国での展開においては現地法人を設立し、サイト編集や翻訳、中国での通関業務、一連のフルフィルメント業務や顧客サポート業務を現地法人が担うことで、EC販路の基盤を盤石のものにしています。

越境ECは、インターネットを介して国外の新市場へ商品やサービスの販路を広げていくため、どのような事業者でも用意に取り組みやすいという特徴があります。

以下では、越境ECのメリットとデメリットについて詳しく解説します。

①越境ECのメリット
越境ECを活用した海外販路開拓のメリットには、以下のものが挙げられます。

  • 多様な国へ販路を広げられる

  • 競合が少ない環境でビジネス展開できる

  • 実店舗よりも容易に出店できる

  • 海外販路を有するECモールを活用できる

ECを活用する場合、距離や地域の制約を受けることのないインターネットを介するため、圧倒的に多様な国へと販路を切り開きやすいという特徴があります。

多様な国へと販路を拡大することで、顧客の絶対数が増加するに留まらず、競合が少なく、市場が未成熟の環境でビジネスを始められるチャンスも獲得しやすいです。

商品・サービスを定期的に購入する既存顧客を増やせるため、ビジネスを軌道に乗せやすくなります。

また、インターネットを活用した販路開拓は現地での実店舗を必要としない点もメリットで、現地での販売体制の構築におけるコストを抑えられる点も魅力的です。

自社でECサイトを構築することが難しい場合は、海外への販路を有するECモールにて店舗を構える選択も取れるため、多くの事業者にとって活用しやすい手段だといえるでしょう。

②越境ECのデメリット
越境ECのデメリットには、以下のものが挙げられます。

  • 輸送コストが多く掛かる

  • 対象国に応じた施策が求められる

  • 対象国の言語に対応する必要がある

  • 決済方法を精査する必要がある

越境ECの代表的なデメリットは、輸送コストの増大です。

商品を販売する事業者の場合、海外に倉庫を構えるケースを除いて、海外からの注文があれば国内から商品を発送するため、輸送コストは国内よりも高くなります。

配送には関税も掛かるため、場合によっては顧客への配送料の支払いが高額になってしまうこともあり、望ましい売上の増大を見込めない事態に陥ることもあります。

また、販路を開拓する国や地域への柔軟な体制構築が負担増を招くケースも多いです。海外では日本と異なる法律、輸入品への規制があるため、国に応じた対応策が求められます。

体制構築は流通の面に限ったものではなく、海外顧客からの問い合わせやトラブル連絡があった場合の対応も重要です。

4-2.販売代理店やパートナー探し

海外販路開拓において、販売代理店やパートナーを活用する戦略も効果的です。

販売代理店とは、商品・サービスに関する営業活動から契約の手続き、受注後の顧客フォローまで一貫して請け負う会社のことを指しています。

現地のネットワークや専門知識を持つ代理店を通じて、新たな市場への参入をスムーズに進めることができるでしょう。

販売代理店が業務を行う具体的な仕組みですが、ビジネスパートナーの本部が展開する商品やサービスを販売する権利を販売代理店に譲渡してもらうことで、本部に代わって販売・営業活動を行っています。

販売代理店やパートナー探しを行うためには、日本貿易振興機構(ジェトロ)の活用をおすすめします。

ジェトロでは海外の生産や販売パートナーを探すための「TTPP(国際ビジネスマッチングサイト)」のサービスや無料カウンセリングが提供されているため、漠然と悩んでいる場合にも活用できます。

①販売代理店・パートナーのメリット
販売代理店やパートナーを活用した海外販路開拓のメリットには、以下のものが挙げられます。

  • 現地の専門知識やネットワークを早期から活用できる

  • 顧客に近い業務の整理を任せやすい

  • 商品の流れを一元化しやすい

  • 人員投資や設備投資などのコストを抑えられる

販売代理店は対象国の市場ニーズやトレンドに関して実績を豊富に有しているため、それらの強みを早期のうちから販路開拓のために活かせる点は大きな魅力だといえるでしょう。

また、販売代理店を活用する場合、一連の業務を担ってもらう形になるため、在庫の管理や物流状況など、商品の流れを一元化しやすいという特徴もあります。

そして、販売代理店が現地で築いたネットワークによって顧客との信頼関係を築きやすいことも強みであり、顧客に近い業務を任せやすいことも魅力です。

②販売代理店・パートナーのデメリット
販売代理店やパートナーを活用する場合、以下のデメリットも考慮する必要があります。

  • コントロールを失うことがある

  • 盤石の態勢を築くまでに時間を要する場合がある

販売代理店を介することで販路拡大を図りやすくなることは事実ですが、販売代理店に依存し過ぎてしまうと、自社の販売におけるコントロールを失ってしまう恐れがあります。

海外では日本と全く異なる言語、ルールの下で販売を行っていくことになるため、販売代理店との適切な連携が図れないままでいると、海外の法律、販売ルールに反した方法で取引を行ってしまう危険性があります。

販売代理店に依存し過ぎることなく、海外の事情については自社内でもアンテナを高く張るようにしておきましょう。

また、海外での品質管理や生産管理などは販売代理店を通じた管理となるため、自社が望む理想的なビジネス体制を構築するまでには、想定外の時間やコストが掛かる可能性があることも留意しておきましょう。

4-3.現地の小売店や店頭販売

海外販路開拓を進めるにあたって、現地の小売店に商品を卸す方法や、自社で店舗を構えて販売を行う方法も効果的です。

これらの開拓方法は、現地でのリアルな販売を伴うものであるため、現地のニーズやトレンドなどをいち早くキャッチすることができ、マーケティングに役立てられます。

現地の小売店との提携を図る場合、既に取り上げたジェトロのサポートを受ける方法がおすすめの他、大使館を活用してみるのも効果的です。

対象国の駐日大使館や対象国の日本国大使館に相談することで、担当部署から小売店やバイヤーの情報を提供してもらえる場合があります

在日の外国大使館情報は、外務省の公式サイトから確認できるため、販路開拓を検討している国に大使館があるかどうかをチェックしてみてください。

①現地の小売店や店頭販売のメリット
現地の小売店や店頭販売で海外販路開拓を行うメリットは以下の通りです。

  • 顧客に商品を実際に手に取ってもらえる

  • 感想や意見、要望、指摘など顧客の声をスピーディーにキャッチできる

  • ブランドイメージを向上させる施策を打ち出しやすい

最大のメリットは、リアルを最大限に活かせることです。

顧客は実際に商品を手に取ることができるため、使用イメージを抱きやすく、自分でも使いやすいものかを判断しやすいです。気に入ってもらえた場合には、リピートしてもらえる可能性も高くなります。

また、実際に使用した際の感想や意見、要望、指摘など、商品に対するあらゆる声の受け止め口として機能することも期待できます。さまざまな声を受け止めることで商品改良につなげることも期待でき、競争力の向上につながるでしょう。

さらに、単なる商品販売の店舗ではなく、ブランドイメージを想起させるようなコンセプトショップやフラッグシップショップを構えるケースもあります。ブランドの認知向上に貢献するため、他の手段と連動させることでさらなる販路拡大効果を期待できます。

②現地の小売店や店頭販売のデメリット
現地小売店や店舗販売のデメリットには以下のものがあります。

  • 商品を設置するまでに多くの面でコストが掛かる

  • 規制の都合で販売商品によっては時間と手間が余計に掛かる

小売店や店舗販売のデメリットは、現地で展開するための費用が他の手段と比較して多く発生することです。

これから販路を拡大しようと計画している商品は、いうなれば知名度がまだない状態であるため、小売店で取り扱ってもらうにあたっては棚代などの費用が発生します。

また、小売店で取り扱う場合でも、初期の段階から買い取ってもらうことは難しく、在庫リスクを抱えることも理解しておかなければなりません。

4-4.展示会・商談会

最後に紹介する海外販路開拓のための手段は、展示会・商談会の実施です。

「展示会・商談会」を実施することで、自社が扱う商品に関心のある顧客の集客を効率的に図れるため、ターゲット顧客を明確に定めておくことで効果が大きくなる特徴があります。

海外展示会を実施するにあたっては、展示会を開くための前準備が非常に重要となるため、展示品の物流状況を的確に把握する体制が必要です。

また、他の手段と比較しても莫大の費用を要するため、展示会を実施する目的や達成目標を明確にしておくことも重要となります。

①展示会・商談会のメリット
展示会や商談会を海外で行うメリットは以下の通りです。

  • ターゲット顧客に対する訴求力が高い

  • 新規顧客の獲得だけでなく既存顧客との関係性強化にも寄与する

  • 展示会独自の顧客体験を提供できる

展示会や商談会を実施する場合、あらかじめ実施の告知も行われるため、告知内容に関心のある人の集客を図りやすいです。

ターゲット顧客を明確に定め、その顧客が関心を抱く告知を打ち出すことで、告知から展示会までの一連において質の高い訴求を行うことができます

また、展示会に足を運ぶのは新規顧客だけではありません。商品・サービスを愛用する既存顧客が来訪することも十分に期待でき、新規顧客の獲得に留まらず、展示会という場を通じて企業と顧客間の関係性を強固にすることもできます。

そして、展示会という場だからこそ可能な顧客体験を提供できるのも大きな強みです。商品開発に携わった関係者とのコミュニケーションや、開発までの裏話、展示会場での商品の試用など、来訪者にとって魅力的なコンテンツを打ち出すことが可能です。

②展示会・商談会のデメリット
海外での展示会や商談会実施のデメリットには以下のものが挙げられます。

  • 準備のために時間・労力・資金が必要となる

  • 日本国内で実施する場合より集客が難しい

  • 知財リスクがある(模倣される危険性がある)

  • 日本国内でのノウハウが活きるとは限らない

日本国内で実施するだけでも多大な負担を要する展示会・商談会ですが、それを海外で行うとなると負担はさらに大きくなります。

日本国内で実施する場合よりも集客のハードルも高くなるため、海外での実施においては綿密な準備が必要不可欠だといえます。

また、綿密な計画を行ったからといって日本での手法が海外でも同じように通用するとは限らず、現地で柔軟に対応できる体制を築くこと、対応を変更するための想定も必要です。

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