見出し画像

ECの在庫管理について徹底解説!管理システム選択のポイントも紹介

EC・ネットショップの運営において、在庫管理は欠かせない業務です。在庫管理をスムーズに行えないと、コストや顧客満足度に悪影響を及ぼし、経営を圧迫する恐れもあるため、安全に在庫を管理する必要があります。
この記事では、在庫管理の方法や管理システムを選択する際の具体的なポイントなどを詳しくご紹介します。

この記事でわかること

  • EC・ネットショップの在庫管理方法

  • EC・ネットショップの在庫管理システムとは

  • 在庫管理システムを選ぶ際のポイント

こんな方におすすめ

  • EC・ネットショップの在庫管理方法がわからない

  • 自社EC・ネットショップの在庫管理の効率をよくしたい

  • 在庫管理システムについて理解したい


1.EC・ネットショップの在庫管理とは

EC・ネットショップを運営し、規模が大きくなってくると、在庫管理に関するトラブルを抱えることも少なくありません。
そのような事態を避けるためにも、在庫管理が重要です。特に複数のECサイトに出品している場合や、実店舗も存在する場合は、管理がさらに難しくなります。

1-1その概要と重要性

EC・ネットショップにおける在庫管理とは、状況に応じて在庫の数が適切になるよう商品を管理すること、そして在庫に関する情報を管理することです。
具体的には、適切な在庫数と良好な状態がキープできるように、在庫数を確認して入荷や出荷をコントロールします。
EC・ネットショップは、在庫販売を行うビジネスであるため、商品が売れることでようやく現金化できる仕組みです。つまり、在庫が過剰にあるということは、商品の製造や仕入れにかかったコストを回収できていないことを指します。
また、在庫を正しく把握できていないと、過剰在庫の管理コストがかかったり在庫不足によって販売機会を損失したりする可能性があります。
実際の在庫数と管理上の在庫数にも食い違いが生じるため、正しい売上・経費・利益の計上が困難になり、収支の管理が不透明になることから、融資も受けにくくなるでしょう。
上記のように、EC・ネットショップでは在庫管理が適切に行われないと、円滑な事業の運営が困難になります。

【関連記事】
在庫管理とは?基礎知識から具体的に必要な3つの活動をご紹介
在庫管理の「目的」と「重要性」とは?
在庫管理の慢性的な2つの課題とは?

1-2ECの在庫管理業務一覧

EC・ネットショップにおける在庫管理業務では、受注した商品をスムーズに配送するために、以下の業務を行います。

  • 入庫管理:入荷した商品を新たな在庫として登録

  • 出庫管理:検品後に商品を梱包、伝票を添付して顧客に発送

  • 返品管理:返品の荷受け、検品、在庫としての登録、保管

  • ロケーション管理:在庫の保管場所の管理

  • 棚卸し:実在庫数と在庫データの整合性を定期的に確認

  • 入庫・販売状況に応じた在庫数の更新:ECモール・カート側の在庫数をリアルタイムに更新

実店舗との違いは、ECモール・カート側で設定する在庫数も、入庫・販売状況に応じてリアルタイムに更新する必要がある点です。
顧客は、注文時にサイト内で在庫の有無も確認しています。顧客が求める在庫数と品揃えを保つためにも、商品の入庫・販売状況をできるだけ早く更新することが大切です。

【関連記事】
在庫管理の「業務プロセス」とは?

2.EC・ネットショップの在庫管理方法4つ

EC・ネットショップの在庫は、多すぎても少なすぎても企業の経営に悪影響を及ぼすため、適切に管理する必要があります。そのために重要なのが、自社に適した在庫管理方法の選択です。
EC・ネットショップの在庫を管理する方法として、主に以下の4つの方法があります。

2-1紙で管理

紙に筆記用具で在庫状況を記録して管理するのもひとつの方法です。メリットは比較的コストがかからないことですが、手作業のため記録ミスが起こりやすく、在庫数の集計や計算にも手間がかかるためあまりおすすめできません。

2-2エクセルで管理

EC・ショッピングサイトの在庫管理の方法としてもっとも一般的なのは、エクセル(Excel)です。エクセルの表ソフトでは、関数を活用して商品在庫の数を記入できます。
エクセルは仕事で使用することも多く、すでに使える人も多いため、特別な研修などを行わずスムーズに導入できるのがメリットです。
また、すでにパソコンにインストールされていれば、比較的コストをかけずに始められますが、データ容量に限りがあったり複数人での管理に不向きだったりといったデメリットもあります。

2-3自社システムで管理

たくさんの商品を取り扱うEC・ショッピングサイトなど、エクセルでの在庫管理が難しい場合、在庫管理に特化した自社システムを導入するのもひとつの方法です。
自社の業務に合わせた機能を開発できるうえ、必要最低限の操作と学習で済むため、ヒューマンエラーが少ないのも魅力だといえるでしょう。
ただし、自社システムの導入にはシステムを開発するための人員や初期費用、システムの保守運用コストがかかる点に注意が必要です。

2-4他社のEC在庫管理システムで管理

EC在庫管理システムを利用した在庫管理には、自社で開発する方法と他社のEC在庫管理システムを利用する方法があります。
すでに構築された在庫管理システムなら必要最低限の機能が揃っているほか、サポートが受けられたり在庫管理以外に受注や商品登録などのEC業務も同時に管理できたりなど、メリットもたくさんあります。
利用料金はかかるものの、システムによっては月々数千円程度のコストで利用でき、アップデートなどの手間もかかりません。

3.ECの在庫管理システムとは

商品を販売するまでの業務に関わる販売管理の中でも、在庫管理はスリム化しやすい業務ですが、従業員の力に頼って効率化や適正化を図ろうとしても、なかなか思うようにはいきません。
そんなとき、業務効率化とコスト削減を同時に実現するには、在庫管理システムを導入するのがもっともおすすめです。

3-1概要と一般的な機能

在庫管理システムは、基本的には自社が保有する在庫数を正確に把握するためのシステムですが、以下のように多彩な機能が備わっているものがほとんどです。

  • 在庫数管理

  • 入庫・出庫管理

  • 検品管理

  • 返品管理

  • 棚卸し管理

ひとつ目の在庫数管理機能とは、倉庫内に保管されている在庫数をエリアごとに分けて管理する機能です。商品の種類などによってカテゴリごとに管理できるため、商品を探しやすく在庫数も把握しやすくなります。
入庫・出庫管理機能では、入庫と出庫の情報をデータ管理することで、今ある在庫を自動的に記録・保管できます。システムが自動で在庫の増減を記録する在庫連携が可能なため、確認漏れなどのヒューマンエラーを防ぐことが可能です。
他にも、商品の実際の数とデータが一致しているか、商品の種類が間違っていないかを確認する検品管理機能や、棚卸し管理機能、EC・ショッピングサイトでよくある返品による在庫の変化を管理する返品管理機能も備わっています。
このような作業も、在庫管理システムを利用することで、人が行うよりも早く正確にできます。
また、自社ECサイトだけでなく楽天やAmazon、Yahoo!ショッピングなどのモール型ECサイトとの連携機能をもつ在庫管理システムも増えており、さらなる業務の効率化も可能です。

【関連記事】
在庫管理システムとは?11の機能一覧から導入メリット、6つの選定ポイントまでご紹介

3-2そのメリット

在庫管理システムの導入を検討する際は、在庫管理システムのメリットをよく理解し、それによって自社の在庫管理に関する課題をクリアできるか確認することが重要です。

【関連記事】
在庫管理システムを導入するべき9つのメリットとは?

業務効率化
在庫管理システムには、バーコードで商品のデータを登録するとその商品の在庫状況をリアルタイムで追える機能など、在庫の入荷や入庫、管理、出荷などの作業をスムーズに行うための機能が搭載されています。
それらの機能を活用し、データを監視して在庫管理を行うことで、在庫管理に関する業務がスリム化するため、大幅な業務効率化が可能です。
さらに、在庫管理システムを社内の全員が使えるようにすれば、システムにアクセスするだけで在庫状況が確認できます。在庫状況をわざわざ担当者に確認したり、引き継ぎが必要なかったりなど、余分な手間も省けるでしょう。
また、在庫管理システムでは、在庫に貼ったバーコードをハンディターミナルで読み込むだけで情報がその場でシステムに登録されるため、エクセルで在庫管理を行う場合に生じやすいタイムラグが起こりません。

複数チャネル用の在庫を一元管理
EC・ショッピングサイトでは、複数のモール型ECサイトや自社サイトなど、多チャネルで同じ在庫を共有する場合、複数のチャネルを一人で同時に担当することがほとんどです。
そのため、販売チャネルが増えれば増えるほど担当者の業務は増え、それと同時に複数の部署で在庫状況を共有しなければならない場面も出てきますが、在庫管理システムではリアルタイムに在庫状況を共有できます。
なお、複数チャネルで同じ商品を販売している場合、どのサイトでどの程度の受注があるのかを予測しながら仕入数・販売数を決めていくのが一般的です。
例えば、モール型ECサイトと自社サイトをバラバラに管理していて、倉庫に10の在庫があったとします。
それぞれの在庫を5個ずつ割り当てた後にモール型ECサイトで商品が5個すべて売れると、それ以降は顧客が商品を求めて商品ページに来ても在庫なしと表示されるため、購入できません。しかし実際は、自社サイトで販売している5個の在庫が残っているという状態になってしまいます。
このような状況を避けるために受注数を予測する必要がありますが、予想を裏切って特定のチャネルで売り切れが起こってしまうと、販売機会を失うことにつながりかねません。
在庫管理システムでは、複数チャネルの在庫をひとつの在庫として処理してくれるため、受注がひとつのチャネルに集中した場合も販売機会を逃さずに済みます。

【関連記事】
一元管理とは?6つのメリット&3つのデメリットと業務効率化のコツを解説!
ECサイト一元管理システムとは?3社を比較&失敗しない選び方のポイント

フリーロケーションに対応できる
ロケーション管理とは、在庫の保管場所を管理することです。
ロケーション管理には、商品ごとに決められた場所に保管する「固定ロケーション」と、在庫状況に応じて保管場所を変更する「フリーロケーション」があり、近年はフリーロケーションで在庫管理を行う倉庫が増えてきています。
なぜなら、従来の固定ロケーションでは、従業員はどこに何が置かれるのかを正確に覚えておかなければいけませんでしたが、在庫管理システムを利用したフリーロケーションではその必要がないからです。
バーコードとハンディターミナルを用いて、棚ごとの番地バーコードと製品バーコードを紐づけてシステムに記録していくため、決められた保管場所を知らないパートやアルバイトでも簡単に商品を探し出すことができます。

ミスの防止
従来のやり方での在庫管理では、データ入力や検品時の手書きで記録することによるヒューマンエラーがよく起こります。実際のところ、ヒューマンエラーは完全に無くすことが難しく、在庫管理で起こるミスの多くがこのヒューマンエラーによるものです。
在庫管理システムには、在庫の一元管理機能やバーコード読み取り機能、自動化機能などがついているため、それらを活用することでヒューマンエラーを大幅に低減することができます。特に、複数の部門で在庫情報を共有している場合に起こりやすい行き違いなどの防止に最適です。
顧客満足度の向上につながる
在庫管理がおろそかだと、欠品や不足に関わるミスも発生しやすくなります。顧客はサイト内の情報を信じて注文するため「せっかく注文したのに実は在庫がなかった」となれば、顧客満足度の低下は避けられません。
最近では、在庫を持たない無在庫販売でビジネスを行う方もいますが、在庫に関する悩みがない反面、商品が顧客に届くまでに時間がかかったり、受注後に在庫切れでキャンセル処理を行ったりすることもあります。
その点、高度な在庫管理が可能な在庫管理システムでは、複雑でミスが起こりやすい在庫管理業務もスムーズに行えます。注文してくださった顧客の元へ確実に商品を届けられるため、顧客満足度だけでなくサイト自体の信頼性の向上も図れるでしょう。

4.在庫管理システムを選ぶ際のポイント

在庫管理システムを導入する際は、これからご紹介するポイントに注意して選ぶことをおすすめします。

4-1管理しやすいシステム

在庫管理システムには、クラウド管理する形式の「クラウド管理」タイプと、自社内のサーバにシステムを導入する「非クラウド管理」タイプがあります。
クラウド管理タイプはインターネット接続できる環境とデバイスがあれば、外出先からでも簡単に利用できるため利便性に優れているのが特徴です。また、サーバ管理も不要で、自社に情報システムがある必要もなく、システム管理もベンダー側が行ってくれます。
NECのAIで在庫管理を効率化する「NEC棚定点観測サービス」や、VERIMのクラウド型医療試薬在庫管理システム「RECO」など、在庫管理がしやすく管理も簡単なサービスも多数あるため、自社に適したサービスを探してみましょう。

4-2サポート体制

在庫管理システムは、何らかの影響により一時的にシステムがダウンするなどのトラブルが発生することもあります。そのような場合、素早く対応してくれるようなサポート体制が確立されているかどうかも、在庫管理システムを選ぶ際の重要なポイントです。
また、システムのことはあまりよくわからないという場合は、システムアップデートなどにも対応してくれるサービスが付いているシステムを選ぶとよいでしょう。

4-3料金体系

在庫管理システムの料金相場は、初期費用が0円〜10万円程度、月額料金も500〜3万円程度と幅広いのが特徴です。
また、無料トライアルの有無や機能数などもシステムによって異なるため、自社の運用方法に適したものを予算内で利用できるか検討する必要があります。機能の中にはオプションでつけられるものもあるため、オプション内容も確認しましょう。

4-4ECモールやカートとの連携の有無

EC・ショッピングサイトでは、各モール・カートから受注管理システム、次に在庫管理システムの順にデータが移動します。
そのため、それぞれ異なる管理番号が割り振られることが多いですが、そのような場合はモールやカートの注文番号・受注管理番号・在庫管理番号など、複数の管理番号を一元管理できる管理システムを導入しましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?