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「旭化成が半導体材料新工場 生産能力2倍、国内供給網拡充」に注目!

旭化成が半導体材料新工場 生産能力2倍、国内供給網拡充 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

旭化成は半導体向け材料の新工場を静岡県富士市で建設します。総投資額は150億円強で、チップ表面を保護する材料の生産能力を2倍に高めます。世界的な半導体需要の底入れや、ラピダスなど国内半導体メーカーの生産拡張をにらんで供給体制を整えます。半導体の供給網を再構築する動きが本格化してきました。

増産するのは液体状の感光性樹脂で、半導体チップなどの表面を保護し絶縁に使われます。旭化成では「パイメル」の名称で販売されています。

富士市の既存工場の敷地内に工場建屋を建設し、2024年12月に稼働を始めます。生産設備のほか、品質検査の施設も同年4月に稼働します。この半導体材料で前回の設備投資は2008年で、約16年ぶりの増産投資となります。

液体状の感光性樹脂材料では旭化成、レゾナック・ホールディングス、住友ベークライトなどの事業規模が大きく、他の企業を含めた日本勢の世界シェアは9割前後を占めるとされます。

半導体の高機能化でチップを複数使う積層化が進んでおり、感光性樹脂の需要が急増しています。旭化成の既存工場はフル稼働に近づきつつあり、住友ベークも2022年に生産能力を高めています。

旭化成の製品はより微細な成形に対応でき、耐熱性にも優れています。半導体材料を含むデジタル関連事業の営業利益は2024年3月期は前期比20%増の171億円を見込みます。アジアや米国など海外への輸出も強化し、増産でシェア拡大をめざします。

米調査会社ガートナーによると、2024年の世界半導体市場は2023年比16.8%増の6240億ドル(約91兆円)と2年ぶりに増加します。2025年も2024年比15.5%増の7210億ドルになる見込みです。新型コロナウイルス下で相次いだ増産投資が一巡し市況は一時低迷しましたが、人工知能(AI)や電気自動車(EV)など中長期の底堅い需要から市況が回復しつつあります。

材料メーカーの商機も広がり、富士経済(東京・中央)は半導体材料(主要36品目)の世界市場が2027年に586億ドルと2023年(465億ドル)から増えると予想します。

国内では台湾積体電路製造(TSMC)やラピダスの工場新設などもあり、三菱ケミカルグループが2025年3月期に半導体材料の国内新工場の稼働を目指すなど、半導体材料の生産増強が相次いでいます。

旭化成の感光性絶縁材料PIMEL(パイメル)は、半導体素子の表面保護膜、バンプ用パッシベーション層、再配線用絶縁層として、世界中の半導体メーカーで採用実績のある液状の感光性樹脂材料です。

耐熱・耐薬品性、電気・機械特性に優れた素材で、次世代パッケージ技術の要求にも対応できる各種製品ラインナップを取り揃えています。

これから国内においても九州でTSMCが、北海道ではラピダスが工場の新設を予定しており、国内においても半導体業界に盛り上がりが出ていると思います。旭化成はパイメル以外にも半導体材料があり、これからもそのような材料のニーズが高まることも考えられます。今後の旭化成の取り組みに期待しています。