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【現代アート#001】バンクシー|ラブ&ピースを届け続ける正体不明のアーティスト

2020年5月、新型コロナウイルスの試薬が開始されたイギリス南部のサウサンプトン総合病院に、一枚の絵画が寄贈されました。

ゲーム・チェンジャー

”あなた方のご尽力に感謝します。
白黒ではありますが、
この作品で少しでも現場が
明るくなることを願っています。”

バンクシー

バットマンやスパイダーマンなどの資本主義が生み出した架空のヒーローなどではなく、今まさに未曽有のパンデミックと戦うエッセンシャルワーカーである看護師こそがヒーローであるという、反資本主義のバンクシーらしい愛と平和のメッセージ溢れる作品ですね。

ということで、、、やあ!コミュリーマンです!

リベラルアーツ真っ最中の僕は、今まさに様々なリカレントに取り組んで(楽しんで)いるのですが、今回は知人から聞いた上記の話にあまりにも感動しちゃいまして、「書きたい!」という想いから副業をサボって筆(PC)を取ることにしました。

複数の書籍を引用しながら書き進めていきますので、僕と一緒にバンクシー自身のこと、そして彼が作品を通じて伝えたいメッセージを学んでいきましょう!


HISTORY

・1975年?:イギリス・ブリストル(とされている)にて誕生。

・1990年:ブリストルにてグラフィティ活動をスタートする。

・1994年:アメリカ・ニューヨークでグラフィティ活動を行う。

・1995年?:フリーハンドからステンシル表現へ転校する。

・1997年:元写真家のラザリドスがマネージャーとなる。

・1999年:拠点をロンドンに移す。フリーハンド最後の作品「マイルド・マイルド・ウェスト」を制作する。(Amazonで購入できるようです。)


・2001年:初の自著「バンギング・ユア・ヘッド・アゲインスト・ア・ブリック・ウォール」を出版する。

・2002年:2冊目の自著「エグゼステシアリズム」を出版し、アメリカ・ロサンゼルスで同名古典を開催する。
 この年、代表作である「ガール・ウィズ・バルーン」「フラワー・スロワー(あるいはラブ・イズ・イン・ザ・エアー)」「ギャングスタ・ラット」を制作する。(あの名作たち、この頃には生まれていたんですね!)

ガール・ウィズ・バルーン
フラワー・スロワー(ラブ・イズ・イン・ザ・エアー)
ギャングスタ・ラット


・2003年:ロンドン市内で開催されたイラク戦争反対デモで「ロング・ウォー」を制作する。
 その後、ブレイクスルーの切欠となった「ターフ・ウォー」を制作すると共に、初の同名個展を開催する。
 そして、ブリテン美術館へ作品のゲリラ展示を行う。


・2004年:イギリス・ロンドン自然博物館、フランス・ルーブル博物館にて、作品のゲリラ展示を行う。
 エリザベス女王の肖像をダイアナ妃に替えた偽の10ポンド紙幣「ディーアイ・フェイスド・テナー」を100枚製作しノッティング・ヒルのカーニバルでばらまく予定が未遂に終わる。(さすがに偽札は重罪ですからね。Bankの表記がBanksyになってるのもおされですよね。)
 3作目の自著「カット・イット・アウト」を出版する。

ディーアイ・フェイスド・テナー/写真:HYPEBEAST


・2005年:アメリカ・メトロポリタン美術館、自然史博物館、MoMA、イギリス、ブルックリン美術館、大英博物館に、作品を無断展示する。
 パレスチナとイスラエルの分離壁に「バルーン・ディベート」などの作品を残す。

バルーン・ディベート/写真:The Art of Banksy


・2006年:ブリストルのクリニック壁面に「ウェル・ハング・ラバー」を描く。市民投票の結果97%の賛成により保存が決定する。

ウェル・ハング・ラバー


 同年、お騒がせセレブとして有名なパリス・ヒルトンのデビューアルバムのジャケットを無断でアレンジ、CD販売の店頭にゲリラ設置する。(僕はめちゃくちゃリアルタイムで見ていて、めちゃくちゃ笑ったのを鮮明に覚えています。結論、トップレス画像にしているのでここには載せません。興味がある方は検索してみてください。)
 さらに、ロサンゼルスの倉庫にて「ベアリー・リーガル」展を開催する。ハリウッド・スター(ブラピ夫妻ら)が訪れ話題となる。

写真:The Art of Banksy


・2009年:バンクシーVSブリストル・ミュージアムを開催。最大7時間待ちという超大盛況となる。

バンクシーVSブリストル・ミュージアム/写真:The Art of Banksy


・2010年:初監督作品「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」が公開される。アカデミー賞にノミネートされ一大ブームを起こす。

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ


・2012年:100円ショップの壁に「スレイブ・レイバー」を描く。(僕この作品めちゃくちゃ好きなんですよね。やりたくもない仕事をしてる人のことを指しているって思うんです。)

スレイブ・レイバー


・2013年:ニューヨークで、ベター・アウト・ザン・インを行う。これは、1ヵ月にわたって1日1作品を町中に残すというイベント。その様子をまとめた映像を映画化バンクシー・ダズ・ニューヨークとして公開される。(すごいドタバタで最後まで面白いですよ!)

バンクシー・ダズ・ニューヨーク


・2015年:イギリス郊外のサマセットに、ディズニーランドをディスりにディスった「Dismaland」をオープンする。ひと夏だけの限定だったにもかかわらず、約15万人が来場し35億円の売り上げをたたき出す。(めちゃくちゃ面白いからぜひ見てみてください!)



・2016年:ロンドンのフランス大使館前に、「レ・ミゼラブル」が描かれる。(催涙ガスで涙を流すコゼットの姿に胸を打たれます!)

レ・ミゼラブル
この作品を描く切欠になった警察との衝突が映されたYoutubeページに飛びます


・2017年:パレスチナ自治区のベツレヘムに「ウォールド・オフ・ホテル」がオープンする。(あの超有名な「世界一眺めの悪いホテル」ですよ!詳しくは公式サイトにてご確認ください、とても面白いです。)

ウォールド・オフ・ホテル/右の壁の向こうはイスラエル


 同年、イギリス・ドーバー港にEU離脱(ブレグジット)を風刺した「ブレグジット」が描かれる。(とんでもないスケールだし、実際のブレグジットより遥か前に書かれてますからね、すごい。)

ブレグジット


・2018年:イギリス・ロンドンのサザンピース・オークションハウスにて、「ガールズ・ウィズ・バルーン」が約1億5千万円で落札されるが、直後に細断されてしまう。(あの!ですよ!バンクシーといえば!のあの超有名な出来事!笑っちゃいます、見たことない人はぜひ見て笑ってくださいませ。)


・2019年:イギリス・ロンドンのサザンピース・オークションハウスにて、「英国の地方会議」が、バンクシー作品史上最高額13億円で落札される。

英国の地方会議


そして2020年、冒頭の通りサウサンプトン総合病院への「ゲーム・チェンジャー」が寄贈される。



ネズミ

”もし君が、誰からも愛されず、
汚くてとるに足らない人間だとしたら、
ネズミは究極のお手本だ。”

バンクシー

ストリートアートは非合法、つまり犯罪です。1995年ごろに、ステンシル(予め枠を作成し、その枠にスプレーを吹きかけた後に枠を外す、すると枠の通りの絵が描けるという表現技法)に表現を変えたのも、真夜中にコソコソとグラフィックを描き、すぐに逃走できるようにするためなのです。

見つかればそれ相応のペナルティが課せられます。バンクシー作品において「ネズミ多くない?」という疑問は、彼自身がネズミであるということを理解することで解消できるのです。

(※以下写真は「https://www.banksy.co.uk/index.html」より)

ちなみに、2019年には小池百合子東京都知事(当時)が、X(旧Twitter)にバンクシーと思われる作品を投稿したところ、メディアがこぞって取り上げてニュースにもなりましたね。(別に好き嫌いはないのですが、載せたくないので興味のある方は検索してみてください。)


コミュリーマン's チョイス

(※この見出し内の写真は「https://www.banksy.co.uk/index.html」より)

この作品「モバイル・ラバーズ」は、2014年に彼の故郷とされるイギリス・ブリストルにて作成されたそうです。スマホやSNSに費やす時間がどんどんと長くなる中で、本当に大切な人と大切な時間を過ごすことの大切さを訴えかけているそうです。胸も耳も痛いよ!

モバイル・ラバーズ


「ノー・ボール・ゲーム」は、「公園ではボールで遊ばないでください」という看板を、ボールのようにして遊ぶ作品です。これは僕自身が子どもの頃にまさにこういった看板が立てられていきましたからね。胸がすくんですよねえ。

ノー・ボール・ゲーム


「シリア移民の息子」、ジョブズは生みの親と育ての親が違うそうで、生みの父親はシリア難民だったそうです。これはフランス難民キャンプに描かれた作品で、右手にはマッキントッシュを持っています。僕は、「出生と自分自身の人生の選択は違う話」という意味で受け取っていて、勇気や希望を与える作品に思えるんですよね。

「シリア移民の息子」
「シリア移民の息子」


有名作品

ゼブラ・ストライプ
キッシング・コップス
ショップ・アンティル・ユー・ドロップ
グリン・リーパー
メイド(カーペットの下を掃くメイド)
ドクター・ウィズ・ア・ハート
ボム・ラブ


ペスト・コントロール

数多に現存するバンクシー作品は、表現技法にステンシルを用いていることからも、安易に真似をする輩や、悪どいことをする輩が後を絶たないそうです。であるからこそ、「ペスト・コントロール」という、真作と贋作を判定する公式の存在があります。

しかし、バンクシー作品は基本的にアウトサイド、つまりストリート作品なので、いくら公式とはいえ「ペスト・コントロール」でもアウトサイドの作品を真作と認めることはできません。

なぜかって?

アウトサイド作品を真作と認めてしまえば、それは犯罪に加担していることをむざむざ吐露するようなものだからです。

したがって、アウトサイド作品ではなく、インサイド作品(商用作品など)については「ペスト・コントロール」が認めている作品は真作ということになりますが、アウトサイド作品については真作・贋作については僕らには審議がわからないわけです。

しかし、「https://www.banksy.co.uk/index.html」にて紹介されているということは、「真作だったら面白いな」程度に楽しむことができると僕は考えています。

したがって、ここからはアウトサイドとインサイド作品を列挙紹介して参ります。

一緒に、好きな作品を探して楽しみましょう!


アウトサイド



インサイド




最期に

見れば見るほど楽しいです。

皆さんも、お気に入りは見つかりましたか?

お暇なときに、ご自身の好きな作品を見つけるツールにしてくださいね。

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