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結局コミュニティって何よ(その2)


前回は、そこに集まった集団が「ただ人が集まっている状態」か「コミュニティ」であるか判断するポイントについて書きました。前回のまとめは以下の通りです。

その集団がコミュニティであるかどうかのポイント
・そこに集まったメンバーが何かしらの共通点(共通項)を有している
・その集団に対してみんなが「仲間意識」「われわれ意識」を持っている

こうしてみると仲間意識やわれわれ意識を持っている集団がコミュニティと言えるんですね。

逆に言えば、コミュニティを作ろうとした時には、仲間意識、われわれ意識を形成するように誘導すればよい、ということです。                     (ただそこが難しい。)


ということで今日は、コミュニティを形作る仲間意識やわれわれ意識について少し考えてみたいと思います。

目 次
・仲間意識・われわれ意識とは何か
・仲間意識やわれわれ意識はどのようにして芽生えるか
・集団からコミュニティへ

仲間意識、われわれ意識とは何か

仲間意識、われわれ意識とは、言葉の通り「その集団がもつ“仲間”としての意識」のことです。

ONE PIECEやSLAM DUNKなどの超国民的漫画や名作邦画には、仲間愛を描いたものが多く、中でも露骨に仲間感を出してくる作品が好まれています。(日本人は全てを投げ打って助けてくれるような仲間の存在に大きな美徳感情を抱くのでしょうか。。)

こうした仲間意識というのは、良くも悪くも集団をより結束させるために大きな役割を果たしています。

なぜなら、仲間意識を有している集団に所属することで「私を理解してくれる人がいる」という安心感を得ることができ、自分自身が危険や不安にさらされずに済むからです。

人は危険や不安から身を守ろうとしますので、一度仲間意識を持つと、今度は「持つ」ことから「維持」することが目的になってきます。

一方で、過度に仲間意識を有してしまうことで、赤信号みんなで渡れば怖くない、というような負の感情も生まれてしまうこともあります。

悪いことであっても「仲間もやっている」という理由で粗悪性が心理的に緩和されてしまい、悪いことが悪いと感じなくなってしまうからです。時として犯罪を犯してしまう危険性もあります。

それくらい、仲間意識、われわれ意識というのは集団を洗脳させ、行動させる力を持っています。

一見、仲間意識とはメリットばかりと思いがちですが、ある水準を超えると犯罪を犯したり、宗教化されてしまうので、注意が必要です。

仲間意識はどうやったら芽生えるか

では、コミュニティを形づくるための仲間意識やわれわれ意識というのは、どのような過程を経て、形成されていくのでしょうか。
私は、大きく3つのルートがあると考えています。

仲間意識、われわれ意識の形成ルート
①集団内のコミュニケーション濃度が高い
(コミュニケーションルート)

②集団を優秀だと感じる(エクセレンスルート)

③ライバルの存在(ライバルルート)

①集団内のコミュニケーション濃度が高い
(コミュニケーションルート)

その集団内でコミュニケーションを取れば取るほど、当然その集団を意識する機会が多くなりますので、自然と仲間意識が芽生えてくるルート。

一度に長くのコミュニケーションを取ったり、(回数的に)多くのコミュニケーションを取ることで、より明確に仲間意識やわれわれ意識を感じることが出来ます。心理学で言う単純接触効果に似ています。

【特徴】仲間意識がゆっくりと醸成されていくために、結構な時間が掛かるが、一度芽生えるとなかなか冷めにくい。
例)よく飲みに行く親友、近所のママ友、小学校の同級生など

②集団を優秀だと感じる(エクセレンスルート)
集団が優秀であるとその集団に所属している自分も優秀であるように錯覚し、仲間意識やわれわれ意識を形成するルートです。

官僚や超一流企業に就職が決まると、つい誰かに話したくなってしまいますよね。また、会社の同僚がオリンピックに出たら、なんとなく誇らしい気持ちになります。自分のコミュニティのことであれば自分以外のことでも親近感が湧くような感覚です。

合わせて、集団が優秀であればあるほど、仲間意識やわれわれ意識が大きく形成されます。ちなみにここで言う優秀の尺度は、お金や社会的地位の場合が多いです。

【特徴】周りの評価を基に仲間意識を抱いているので、周りからの評価に応じて仲間意識の強弱も左右される。
(会社の同僚が重罪で逮捕されたら、恥ずかしく感じるetc...)
例)官僚、Apple社員、アメックス・ブラックカードの会員など

③ライバルの存在(ライバルルート)
その集団に共通の敵(この場合は個人ではなく集団の方がよいです)が存在することで、共通の目的が共有され、一気に仲間意識やわれわれ意識を形成します。

共通の敵だと認知してから仲間意識やわれわれ意識を抱くまでのスピードがとても早いこともこのルートの特徴です。

【特徴】急激に仲間意識を抱くが、目的が達成されると急激に冷める。
中には、ある時ふと我に返ることで冷めることもある。例)打倒○○校に燃える部活、住民による××反対運動、宗教など

大きくこれら3つのルートを経て、又はそれぞれが複層的に絡まり合うことによって、仲間意識やわれわれ意識が醸成されていきます。

集団からコミュニティへ

前回と今回をまとめると、コミュニティとは下記の通りとなります。

コミュニティについて
・集まったメンバーに共通点があり、そのことをメンバーも意識している
・メンバー間に仲間意識やわれわれ意識が芽生えている
・仲間意識やわれわれ意識は、大きく3つのルートを辿って形成される

特に3番目について、本当はコミュニティの出来かたは他にも存在しますが、自発的に形成されるパターンとしてはこれらが王道かということで、3つとしています。

すなわち、コミュニティというのは単に人が集まった状態の事ではなく、


そこに集まって出来た集団が各種形成ルートを辿り、仲間意識・われわれ意識を涵養しながら変容してできるもの

という所でしょうか。

こうしてみるとコミュニティを形成するには、ある程度の時間がかかることがわかります。(むむむ。コミュニティをつくるって難しい。。)

ということで今日は仲間意識、われわれ意識について考えてみました。


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