Sonic Interaction

昨日は国立音楽大学 コンピューター音楽専修主催のコンサートに伺いました。
ライブエレクトロニクス、音響作品、映像作品があり、各作品で製作者が持つ創作に対する姿勢を見れた気がしました。

特に素晴らしいと思ったのが上田尚史さんの「絞る耳」、そして庄司彩乃さんの「深海には未だ見ぬ世界がある。」でした。

「絞る耳」

人間の狂気性、深淵にある黒い部分、創作における臨界点、限界到達点の1つを見せられた気分になりました。
正直この作品の印象がめちゃくちゃ強いです。5割くらいこの作品に持っていかれました。
パフォーマンスとライブエレクトロニクスという、なかなか例を見ない形態の作品でした。また映像もあり、映像とパフォーマンスを同時に進めるという形式でした。
そして最初、ただの漫才かと思ったらそうではなく、さまざまな仕掛けや音によって飲み込まれていきました。いつの間にか取り込まれていた、そんな印象でした。
引き込む力、飲み込む力というのが強いというのは創作において最も強い武器になると考えて創作に取り組んでいます。その中で出会ったこの作品は鮮烈で衝撃的でした。

音に関しても、突然来る音をテロップと音で予告するなど、引き込まれやすいように配慮がしてあったのも感動しました。これは一緒にいた友人に言われるまで気がつかないくらい自然でした。

中身も、人間の狂気、奥底に眠る本能から由来する黒い部分、それを作品として昇華して形にする。それを演じることができるように整える。
作曲というのは、演奏することができて初めて成り立つものです。その面においても完成度が高く、純度が高かったと感じました。(内容が内容なだけに、この作品は演者によって左右される側面も大きいですが、それをしっかりとこなした同期2人には脱帽です。何やったらそんなにできるんだ←)

内容をここで明かすことはしませんが、コンサートで1番良いと思った作品でした。

「深海には未だ見ぬ世界がある。」

この作品は笙とライブエレクトロニクスによる作品でした。
エレクトロニクスの作品として、音響がとても印象的でした。
音響に関する作品は、しばしば実験的なものにとどまってしまう印象がありありましたが、この作品はそこにとどまらないと感じました。
最初は笙の音色が合うのか疑問に思っていましたが、聴くにつれて馴染んでいったのも妙な浮遊感を思わせるように感じました。

他の作品について

その人らしいというか、その人がどんなものを好んで、それをどれだけ出そうとしているかがよく見えました。
この世にまだ出ていない作品を見ることはとても面白く、楽しみなところもあります。
これらがどのくらい受け継がれて残るのか。これはわかりません。子供や孫が年老いた頃にやっとわかるかもしれません。

私はそれでも書きます。
描きたいものがある限り、あるいは私の音が求められる限りはやめません。
何を書くか迷っていたところもありましたが、上田作品で吹っ切れたところもあります。本当に行って良かったです。

次回もまた行こうかなと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?