生クリームからは自己陶酔の香り

己の感情や考えを余すことなく表現しようと腐心するが、だいたい過剰で過多で、食傷気味な言葉が生み出される。気の利いた言葉はインターネットの海に毎秒放出され、漂流している。独り言の大群。

言葉を尽くすとは果たして何なのか。そういう胃もたれしそうな言葉は自己満足ではないのか。相手に伝えるのなら、考えに考え抜いて純度を高めたい。真っ直ぐに。相手が受け止めやすいように。

気の利いた言葉からは陶酔の匂いがただよう。洒落た言い回しをした己への陶酔。仄暗い自己顕示欲。産み落とした言葉たちに己を見出す。主語の強い自我がなんと風通しの良いことか、眩しさよ。

同族嫌悪だ。うまいこと言った感が手に取るようにわかるから嫌なんだ!いつだって本物になりたい"私"の有象無象が紡ぎ出す空疎な言葉たち。甘ったるい生クリームのようだね。

実態のない甘ったるさを渇望することもあれば、さっぱりしたいこともある。今日は二度も蕎麦を食べたくらいだから、多分そうなんだ。おだしが良い。生クリームに罪はない。そういうものなんだろう。

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