見出し画像

【#現代4コマ】4コマ印象派 作品解説②

注:前記事「4コマ印象派へと込めた反逆心/作品解説」の文章量が多くなってしまったため、

①《習作》印象・日の出と4コマ
②印象・露出狂のうへへへ
③《分析的キュビスム》印象・4コマ
④《オルフィスム・同時主義》パフェを食べる体験の近代4コマ
⑤印象・4コマ子 (本記事のヘッダー画像左)
⑥印象・純粋4コマ主義Ⅰ (同上2番目)
⑦印象・じゃなかった    (同上3番目)
⑧印象・粗製濫造      (同上4番目)

以上8作品の紹介をもって解説をこちらの記事に移行することにいたしました。よろしければ前記事もご覧ください。

 また4コマ印象派関連の記事は以下のフォルダにまとめていきます。併せてチェックしていただけますと幸いです。


おさらい

 現代4コマと4コマ印象派について軽くおさらいする。詳しい内容については、先述したように前記事を参照いただけると嬉しい。

①現代4コマについて

 「現代4コマ」という芸術のムーブメントがある。これはいととと氏(@itototo1010, X)が「漫画の形式に囚われない4コマ」というコンセプトで始めたとても面白い現代アートだ。ご興味があればぜひXに投稿された作品たちと●𒊹⚫︎•・.氏(@___qpdb___, X)の記事、そして現代4コマwikiを見てほしい。
【X "#現代4コマ" 検索結果へ】

②4コマ印象派について

 現代4コマではシンプルな作品が多い(気がする)ため、ややこしいものを作りたいというちょっとした反逆心からトウソクジンが始めた活動。「4コマの印象を描く、あるいは4コマの印象を受ければそれは4コマである」という主張を掲げ、ぼやぼやした作品を制作して「4コマとは何か?」と鑑賞者の主観へ問いかける実験をしている。

4コマ印象派の作品解説

 ここからは前記事と同様、私の4コマ印象派作品を取り上げる。

○《連作》印象・コマ4表現

 こちらは透過を用いて同じ図案の絵に異なる意味とギミックを持たせた、計4作品の連作となっている。いつもと違いかなり「4コマ」を意識して製作しているうえ、シンプルな図案となっている点については注意されたし。(手が込んでいるという意味ではややこしい)
 個別の解説へと移る前にまず「コマ4表現(wiki)」についての話をしよう。これは視力氏(@shi_ryoku, X)が創始した「『コマ』で『4』を表す『4コマ』とは異なり、『4』で『コマ』を表す試み(現代4コマwikiより引用)」だ。今日においてはもとの定義から多少逸脱し、コマが形成されていなくても画面内に「4」の要素が入っていればコマ4表現の現代4コマ作品として発表される場合が多い。現代4コマの中でも特に難解な文脈を持つ表現方法であるため、一旦は上記の太字の部分がコマ4表現のそれであると考えていただいてもいいと思う。詳細を知りたい方は現代4コマwikiのページをのぞいてみてほしい。その記事には2024年1月時点において120点にも及ぶ視力氏作のコマ4表現の他、他作者のものもかなり網羅的に掲載されている。個人的に氏の120作目がとても好きだったので紹介させていただきたい。

本作品は「コマ4」の要素を取り入れつつも「4コマ」が象られている。本来コマ4表現は「『4』で『コマ』を表す試み」であったのだから、これはその原点に立ち返った作品なのだ。またシンプルかつ奥行きを感じさせるデザインが非常に良い。
→視力氏のコマ4表現作品は【Togetter】参照

 さてコマ4表現の説明はこのくらいにして、連作それぞれの解説に移ろう。
□□□□

《1》印象・コマ4表現 ー閃きー

《1》印象・コマ4表現 ー閃きー
Xにて画像をタップすると左から右の状態へ

→【作品リンク
 私がコマ4表現を知ったときの、驚きと困惑が入り交じった第一印象を表現した。ー閃きーというタイトルである理由は、視力氏がコマ4表現を思いついたときもこのように「4」のイメージが電撃の如く現れたのではないかと想像してしまったためだ。大きな4の外側は枠との間に4コマが、そして内側には小さい4とともに5コマが形成されている。現代4コマ界においての数学体系は「4」一文字で表される1進数で成り立っていると勝手に思っているため、後者は「5コマ」ではなく「次なる4コマ」を示唆している。
□□□□

《2》印象・コマ4表現 ー閃光ー

《2》印象・コマ4表現 ー閃光ー
Xにて画像をタップすると左から右の状態へ

→【作品リンク
 正直なところ、最初は全然4コマじゃないじゃないか! と思っていた。しかし時間が経つにつれて、コマ4表現も現代4コマにおける重要な動向の1つであると知った。ー閃光ーは理解とともに刻々と変化するコマ4表現への印象を描いている。大きな4の外側から内側へ、時計回りにコマの明度が高くなっている。中央は4の白色と同化し、ー閃きーに示唆された4コマが表出した。困惑のー閃きーを抜け、コマ4表現を究明する道筋に閃光が差す。今進んでいるのは開拓の隧道か、はたまた冒険者の前に聳え立つ螺旋の塔か。どちらにせよそろそろ大空を拝めるはずだ。
□□□□

《3》印象・コマ4表現 ー深奥ー

《3》印象・コマ4表現 ー深奥ー
Xにて画像をタップすると左から右の状態へ

→【作品リンク
 ー閃光ーは理解に向けて進む様子を描いた。対してー深奥ーは探求することで見えてくる、コマ4表現の深淵たる印象を描いている。こちらは時計回りにコマの明度が低くなり、中央が4の黒色と同化して4コマが顕れるというー閃光ーとの明確な対比が見られる。せっかく明るいところへ出ることができたのに、またコマ4表現の姿を希求する道を選んだ。虎穴に入らずんば虎児を得ず、さらなる智を手にするには危険を厭わなければならないこともある。深い深い奥地へと進む新たな冒険譚が始まろうとしている。
□□□□

《4》印象・コマ4表現 ー深黒ー

《4》印象・コマ4表現 ー深黒ー
Xにて画像をタップすると左から右の状態へ

→【作品リンク
 ー深黒ーはー深奥ーの直後、さらなる深みへ足を踏み入れる瞬間を示している。コマ4表現が鑑賞者に対して何かしらの印象を与えうる最低限の要素は、画像をタップした途端にその姿を眩ます。「4」を隠すのはコマ4表現を語るにあたって背理のようにも思えるが、直前に見たそれがすぐに思考の片隅へと消えることはないはずだ。これは「4」が鑑賞者に対して強い印象を残したということになるのではないだろうか。そして再びー閃きーへと至ったとき、世界が「4」に満ちているように見えるかもしれない。
□□□□

 「印象・コマ4表現」は前々から取り上げたい題材だったが、4コマ印象派に落とし込むのが難しく時間がかかってしまった。現代4コマwikiのページを熟読、そして熟考した結果透過画像を駆使して場面の切り替わりを行う4連作に仕立て上げ、このようなかたちとなった。
 「コマ4表現」は現代4コマ界の大きなムーブメントのひとつだと信じて疑わない人は多いだろう。私もそのひとり、これは偉大な発明だと思っている。しかしあえて皆様の主観へと問おう。コマ4表現は果たして4コマだろうか?

□□□□
2024年1月16日現在はここまで、計9作品。
※《連作》印象・コマ4表現 より前の8作品は前記事を参照。

この記事が参加している募集

404美術館

私の作品紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?