区分所有法 第31条(規約の設定、変更及び廃止)

←区分所有法第30条 区分所有法第32条→

条文

(規約の設定、変更及び廃止)
第31条 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
2 前条第2項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。

解説

 規約の設定、変更、廃止はあくまでも集会の特別決議による。多数決によって決めるということ。また、規約の設定変更廃止が、一部の区分所有者の「権利」に特別な影響がある場合はその承諾が必要。
 さて、ここで問題になるのが、「特別な影響」とは何かであるが、判例により、『規約の設定、変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が右区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合をいう』ということになる。なかなか判断に困る基準ではある。

 権利に特別な影響の例としては以下の通り
① 特定の区分所有者に合理的でない過度な負担を求める場合は、特別な影響にあたる。ただし、調整の範囲で区分所有者間の負担に差をつけるのは特別な影響にあたらない。
② 割安な負担しかしていなかった区分所有者に、適切な額の負担を求めるのは、特別な影響に当たらない。
③ 法人と個人など、属性で管理費に適切でない差をつけることは、特別な影響にあたる。法人と個人で1.7倍の差をつけたのは無効の判例がある。
④ 使用頻度により負担に差をつけるのは特別な影響に当たる。
⑤ 居住者と非居住者で、住民活動協力金等の名前で負担に差をつけるのは合理的な範囲で特別な影響に当たらない。
⑥ 規約では禁止されていないが、分譲パンフレット等でペット禁止が書かれていて、ペット禁止が周知されていた場合、ペットを飼育している人がいてもペット禁止の規約設定は特別な影響に当たらない。

 第2項は一部共用部分の管理を全体の規約で設定・変更・廃止するには、一部共用部分の区分所有者の4分の1または4分の1の議決権を持つ者が反対した時は出来ない。これは一部共用部分の区分所有者が反対したときは全体の規約で一部共用部分を管理する規約は設定できないことを意味している。規約の設定は4分の3以上の区分所有者数かつ4分の3以上の議決権数で設定できるが、一部共用部分で区分所有者数字の4分の1以上または議決権数の4分の1以上が賛成しなければ、一部共用部分で4分の3以上の議決権を持つ区分所有者数の賛成を得られないからである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?