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フードロス寸前からの救済 新しい商品作り

食品製造をしていると、どうしても商品にならない規格外品や売れ残る商品、製造工程で出来るロスも出来ます。自分で食べるには限界もあり、誰かにあげる、訳ありで売るなど様々な選択をその都度してきました。

フードロスをできるだけ作らない

弊社では、通販や自販機で食品販売をしています。人気商品でもあるベーグルがあります。たくさんの方に喜んでいただき、通販では受注販売をしており注文を受けた分しか作りません。自販機での販売に関しても、ほとんどが消費期限を待たずに完売しするのですが、少し残ることがあります。また、焼き損じや焼きムラで商品にならないものも存在します。

また、自社製品以外にもOEMで他の企業からの製造委託も行っていますが、これも同様に僅かに残る材料や製造過程で出来るロスがあります。

これらは、商品にはなりませんが食べられます。ただ、販売するためには、ブランドイメージを守るために、形や味を均一にする必要があります。

自社の製品であれば正規品でないことを理解してもらったうえで訳あり商品として販売することもあります。Coneruでは、このように見た目だけの問題で商品化できないものを通販でも販売しています。

食品業界の慣習 3分の1ルール

かつて私は製菓メーカーに勤めていました。そこでは毎日工場でトン単位でキャンディやチョコレートが作られています。それらの商品は、メーカーから問屋に、そこから大手のスーパーや小売店に流通していきます。

食品の業界には1/3ルールという慣習があり賞味期限が1/3以下になると、店頭に並べられません。1/3以下になった商品は、メーカーに戻り廃棄をされます。職人は製造をする傍で自分たちが作ったものを自ら廃棄処分の手配をするという仕事もします。

そして、廃棄するには費用も掛かります、これらは商品代に乗せられます。
商品を選んで買ってくれる人に対し、廃棄の費用が商品代に乗ってくる疑問。また、職人が一生懸命作ったものを廃棄するというのは、とても心が痛みます。

賞味期限は寿命

食品を販売するには、必ず賞味期限を付けます。これは食品衛生法で定められていますが、消費者が食品を安心安全に食べていただく目安となっています。
製造された商品は、完成した時点で、賞味期限という寿命が刻一刻と削られていきます。出来たらすぐに店頭に並べ、お客様の目に触れ、手にとっていただくチャンスを1日でも長くすることもフードロスを削減してくには必要不可欠です。

また、昨今の食品の流行のスピードは目を見張るものがあり、今年流行っていても来年には見向きもされないというように、今、旬なものを商品にするスピード感も重要になってきます。
もちろん流行に左右されない、息の長い商品を出していくことが理想ではあります。そのためのブランド作りはとても大切だと考えています。

”もったいない”という感情

いろんな対策をしてはいるけれども、どうしても廃棄しないといけない食材がある場合、誰かが見ているわけではないれども。

仕方がないだって、商品にならないんだもの。
わたしが悪いんじゃない、
天気が悪い、景気が悪い。
世間が悪い。国の制度が悪い。
売り場が悪い。
だって買ってもらえないんだもの。

とゴミ袋に入れるときに、次々に言い訳が呪文のように湧き出てきます。
これは、全ては”もったいない”という感情と紐づいています

販売予測が出来なかった自分も悪いのかもしれない。
もっと売りたいと欲を出して余らせてしまうということもあるでしょう。
言い訳しながらも自分も悪いこともわかっているのです。
原材料を作ってくれた、農家さんや生産者さんたちにも申し訳ないという思いもあります。

食を扱う職業の人たちは、この”もったいない”気持ちを、深く考え見過ごしてはいけない問題として取り組むべき課題ではないでしょうか。

私たちができること

受注生産や出来る限り小ロットで売り切りとして製造販売していても、生産量の多いベーグルは少しずつのロスがたまり冷凍庫を圧迫していました。
また、OEM製造をしているクラフトコーラの生産工程から出来る、オリ(スパイスの濃すぎる部分)やパッケージングしたときに入りきらないシロップが残りがちで捨てるに捨てられない状況にありました。

この二つの商品を眺めながら、合わせて一つの商品に出来ないかと思いつき、おもむろにベーグルを切り刻み、バターと砂糖を合わせたものにシロップを入れ、刻んだベーグルに塗り込み焼いてみました。

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そこで出来たものがハードラスクです。
ベーグルは、パンの中でも小麦粉がギュッと圧縮されているためかなり硬い仕上がりになり、コーラシロップの濃すぎる部分を使ったことで程よい酸味が口に中に広がり、噛むほどに味わい深い仕上がりになりました。

この商品は、かなり硬いです。

包装はあまり費用はかけずに簡易包装でシールを貼るのみ。

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Zero Waste (ゼロウェイスト)商品

Zero Waste(ゼロウェイスト)とは、「ゴミ(廃棄)をゼロにする」ことを目標とした活動のことです。

このハードラスクは、焼き損じや形が悪いもの、賞味期限が近づいたものなど、放っておいたら捨てられるものでした。コーラシロップも商品にはならない部分も同様で、目を瞑って捨てることも出来ました。

ゴミとして捨てることは簡単です。
”もったいない”という気持ちから新しい商品が生まれ、
それが新しい商品になり、誰かの手に届く。


まさに”もったいない”の気持ちが食品を大切にする、作ってくれた人をリスペクトすることの第一歩なのです。

一人の力で廃棄ロスを減らしたり、世界を変えることは難しくても、これまでの慣習や当たり前を疑い、小さくても行動をし誰かにメッセージを送りつづけることは、食に対する社会の問題にヒビを入れていく作業です。

ConeruのZero Wasteのハードラスクは、元々ロスが少なく出来ている製造工程の仕組みの中でそれでも少しだけ出る、訳あり品の寄せ集めで作られます。

すごく人気が出て、売れたとしてもZero Waste商品を作るために、主たる商品(ベーグルとコーラシロップ)の生産を増やしていては本末転倒ですので、希少性の高い商品です。
見つけたらぜひお手に取ってみてくださいね。

PANTRYのネットショップや大垣市のPANTRY自販機等で販売します。
入荷はPANTRYインスタグラム( @pantry_coneru)でお知らせしています。

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