私は食品自販機と無人販売が大好きだ、
以前にもこの２つの話は書いたことがある。

我が社で、５台の食品自販機を運営し、３店舗の無人販売の商品を企画運営している。
自販機の聖地と呼ばれる場所には、たった一人で往復12時間車を運転して聖地巡礼したこともある。

自販機には愛を降りそそげば、答えてくれると思っている。
そんなことを日々、口に出していて、
普通なら奇人扱いをされると思うが、会社のメンバーは、慣れているのか、
それぞれの自販機を「社長の彼氏１号」、「社長の彼氏２号」と呼び、私が自販機の補充に出かければ、「彼氏に会いに行っている」と言われる始末。誤解を生むので社外の人に言うのは辞めて欲しい。

何が言いたいかって、食品自販機は私の大事なパートナーであるということ。

その私の大事なパートナー ちょいみせキッチン前に置いてあるクレープ自販機３号機くんに異変が起こった。

なぜか働きが悪くなった。つまり売上が急に落ちた

なぜだろう？？

季節の問題？品質？

いろいろ考えた、POPを変えたり、商品を入れ替えたりもした。
なんだろう？飽きられたのかな、なかなかわからなかった。


ある日の朝、衝撃が走った。
私の彼３号機くんのお釣りが出てくるところに何かが詰まっている。

ティッシュのようなもの、

え？ナニコレ？？？

折り畳まれたティッシュに何か入ってたらどうしよう、爆弾のスイッチが仕掛けられていて自販機もろとも吹っ飛ぶとか、魔法のタネが入ってるとか、ティッシュの中に秘密のICチップが入っていて受け渡し場所に指定されているのかもしれない。

マフィアの企てに加担してしまうかもしれない。

私は、妄想があらぬ方向に爆発しがちなクセがある。

娘が高校生の頃、Twitterで知り合った人と一緒にライブに行くと聞いて、東南アジアの某所でヤシの木の上でターザンと暮らし、私が助けに行くと言うところまで妄想が発展したことがあった。当然、娘と大喧嘩をしたことがある。

どのように妄想が発展していったかは覚えていないが、私の心配と妄想で、頭の中で「風が吹けば桶屋が儲かる」公式が展開され、とんでもない結末まで発展してしまうのだ。

これまでのストーリーを自己分析すると、メルヘンと名探偵コナンと火曜サスペンスで構成されている。

結果だけを言うので周りの人を混乱させる。

友人に「心配事の９割は起こらない」という本をプレゼントされたことがあるくらい。だけど、私の場合、妄想であって心配事ではない。

話は戻るが、ティッシュが入っているのは本当に気持ちが悪い
素手で触るのは嫌だし、私の指紋がついて鑑識の角野卓造や西村和彦の手を煩わせてはいけない。

衛生手袋とステンレスの菜箸で証拠品を取り出した。

恐る恐る広げてみたが、何もなかった、
未使用のティッシュペーパーだ
材質と折り方を見ると箱ティッシュだ

とりあえず発見日時を書いた袋に入れて証拠品として保管した。

その翌日の朝、またティッシュは入っていた。
なんだ？？なんだんだ？？？

何かの事件の前触れか、暗号か
なんの目的でこんなことをするのか、動機がわからない。

社内でいろんな憶測が飛び交ううちに
スタッフの一人がそういえば、と話始めた。

ある日、店前を掃除していると
自販機の横にティッシュが落ちていることがあった。

なんだろう、落とし物かな？？
と思って片付ける。
時々そのようなことがあったようだ、

それはいつから？どんなティッシュでどの位置に落ちてた、
何回くらいあったか？

船越英一郎ばりの尋問が始まる。

恐らく下に落ちていたティッシュは、購入された人がお釣りを取ろうとした時に、邪魔で地面に落としたのだろう。

気持ち悪いし、何が入っているかわからないティッシュを取り出してくれた見知らぬお客様、勇気を持って取り出してくれてありがとう。

２日連続の犯行がわかり、私の犯人を突き止めたい意欲が湧き上がってくる。

ただのイタズラか、私へのメッセージか嫌がらせか真相がわからない。
犯行時間を抑えたい！どんな人が犯人かを確かめたい。

手っ取り早く、まずは防犯カメラを設置することにした。
ちょうどAmazonでタイムセールをしていたWEBカメラを注文した。
安い！4000円以下で買えた。韓国製のそのカメラは、暗くなると赤外線カメラに切り替わり、綺麗に映る。そしてデータはクラウドに保存されて数日間保存される。

申し分ない。

さすがはAmazon夕方注文して翌日には届く、便利でありがたい。

脚立で自販機によじ登り設置した。
他のお客様への配慮も考えて顔を映さないように上から撮影するようにした。

犯人の足取りはこのようになっている
7/19 8:30 発見
7/20 8:50 発見
7/21  15時頃　カメラ設置
7/21  18:17 犯行
7/23  18:19

この日私は、18:15に会社を出た
あっさり、犯行現場を確認する事ができた。

見覚えのない、細身の男、歳の頃は60代後半から70代
黒いリュックサックに帽子という出立ち、リュックサックにはサンリオのキャラクター、シナモロールの小さなぬいぐるみが付いている。

右手に白いものを持ちながらサッと近づき、
お釣りのレバーをカチャっと触り
スッとコイン受けのところに右手に持っていた白いものを入れた。
その時間わずか３秒。

カチャ、スッ、サッ っと軽快なリズムで立ち去っていく。

やられた、、、、

次の日は土曜、この日の犯行はなかった。
そして日曜の夜、大河ドラマを観ていたが、くつろいでいる場合じゃない。こうしている間にも私の彼氏３号機は、奇妙な男からの攻撃に遭っているかもしれない。
WEBカメラの履歴を確認した。

人感センサーで反応するWEBカメラが、いくつか録画をされていた。18:20に反応した履歴を見ると同じ男がまた、白いものを入れていた。

また、やられた。

他のお客さんの映像も見てみると、クレープを買おうとするもののコイン受けに何か入っていることに警戒して、買わずに去るという行動が何度かあった。
完全に営業妨害だ。

月曜日、袋に入れた証拠品のティッシュと動画をスマホにダウンロードして近所の交番に相談に行った。よく日に焼けたベテラン風な警官と対照的な色白で細い若い警官の二人が対応してくれた。

「何か嫌がらせされるようなことはありますか？」と刑事ドラマでよくあるセリフを日焼け警官が言った。
僕も警官になる前は、サラリーマンだったから商売してたら色々あるでしょう。言いにくいこともあるかもしれないけれど、、、、

と、促される。
警官になる前にサラリーマンだったと共感を生むような言葉を投げかけて、安心させ白状させようとする作戦か、、、、

と思ったが、私は犯人でもないし、取り調べをされているわけではない。

いえ、思い当たることはないんですよ。
本当に、、、、もし、何か恨まれるようなことがあれば、ティッシュを詰めるなんてことじゃなく、自販機を壊すくらいのことがあるかもしれない。

とにかくやめて欲しいんだと訴えるも、これは罪には当たらないと言う。
確かに奇妙で、気持ちが悪いかもしれないけれど、物を壊されたワケではないですから。トマトや卵を投げつけられても洗って元通りなら犯罪にはならんのです。

そんな、正気ですか？？
私、とても困ってるんですけど。

我々に出来ることはこのあたりの時間にパトロールを強化することぐらいですかね。
と警官は言う。

嘘でしょ。。。
じゃあ、犯人は私が張り込みして捕まえますから、この時間に来ててくださいね！

と言い交番を後にして、私が向かったのはいつも通っているパーソナルジム。

トレーナーに今日は、トレーニングをしている場合じゃない。と事情を話した。
とりあえず、私がもし襲われた時の対処の仕方を教えて欲しいと言いスペシャルメニューを組んでもらい、実践形式でいろんなタイプの護身術を習った。

どんな敵が来ても強くなれそう！！

ジャージとスニーカーで犯行時間に張り込みをした。警察も来てくれている。

スタッフ2人も残ってくれて鼻息荒く待機した。

警備のフォーメーションはこの通り
しかし、18:00-19:00まで１時間待機しても犯人は現れなかった。

流石にパトカーも近くにいたし警戒したか、、、
あえななくこの日は解散した。


しかし、、、、夜、少し気になってWEBカメラの映像を見た

すると、

後編に続く

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