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日本の農業の未来は明るい!?

2023年1月22日、札幌で開催された、HAL財団主催のトークセッションに参加してきました。北海道を拠点にした財団でありながら、全国各地から、先進的な農業を実践されている農家の皆さんや、農業や食に関わる事業者、シンクタンク、政府関係者、コンサルタントの方々など、総勢約100名が北の大地に参集しました。

参加されたのは、いずれも、サスティナブルな農業を目指して、先進的な取組をされている方々ばかり。稲作が、いかにGHG、特にメタンを排出しているかを認識されており、このままでは、国内で米作りができなくなると危惧されていました。

また、人口が減少すると共に農業従事者も減少する中、既存の枠組みにとらわれていては、経済的にも持続可能ではないという問題意識も共有されていました。

写真提供(一財)HAL財団

主催者としては、一方向にナレッジを提供することをよしとせず、お互いの学びの場、情報交換・共有の場とすべく、会議形式ではなく、双方向が発信し合える、机の配置とされていました。(私も会場に入って驚きました)

写真提供(一財)HAL財団

質問された方に対して、「次は、あなたが実践して、情報を提供する側に廻って下さい」と促していたのが印象的でした。

写真提供(一財)HAL財団

このような場ですので、寝ている人など皆無です。大学の講義よろしく、ファシリテーターが、関係のありそうな人、情報を持っていそうな人に、次々と指名していきますし。

農業からのGHG排出量は全体の2.8%で、CO2に限ると全体の0.04%に過ぎないところ、メタンは81%、N2Oは48%と圧倒的であることは、お伝えしたところ。

今回の私の役割は、排出削減の重要性と算定の方法、そして、検証に耐えうる体制づくりのご案内でした。

このような話をすると、得てしてドン引きされることが多々あるのですが、さすが、農業の未来をこれから創っていこうとされている方々。この活動の意義を認識されたようで、「食糧という直接的な価値に加えて、環境的な価値を付与することができる」という主張にガッテン頂けました。

トークセッションでは、農業を支援されるメーカーに加え、米粉を使った製品、ナイフやフォーク、レジ袋や紙おむつの吸水材等のメーカーさんからの情報提供もありました。

「米という食糧を、工業原料として使用するのはいかがなものか」みたいに吹聴する向きもあるところ、生産者が、それも米の一使用形態であることを受容するのみならず、それによるマーケット拡大をウェルカムしている雰囲気もよかったです。

もう一点私の気づきとしては、皆さん、世界に目が向いているということ。

世界には、至る所にベストプラクティスがあります。それを、従来の内向きの農業従事者であれば、知ろうともせず、よしんば知ったとしても、やる前から諦めるところでしょう。

ですが、いかにして、日本で実施できるかを考える。ダメもとで実施して、失敗例まで含めて共有し、最後はやり遂げる。それを、愚直に挑戦しようとしているメンバーが集まっていると確信しました。

最後に、私が懸念していることを吐露しておくと、農産物の輸出。

和食が世界的に受け入れられ、政府も推進しているのはご承知の通り。それには、食材が必要。なので、国内の胃袋が小さくなるのであれば、輸出すればよい、と安直に考えるでしょうが、それには、GHG排出が伴います。

飛び恥と呼ばれる空路は使用しなくとも、海路でも排出はするのです。
それでは、現地生産は可能なのか?
残念ながら、全くの素人には判断できません。

私にできることは、生産における気候変動に対する影響だけでなく、生物多様性が水使用、大気汚染など、様々な環境影響に対する評価も併せて行い、それでも、現地生産よりもインパクトが小さいということを、数字で示すことです。

セッション中ではご案内できませんでしたが、このような、環境価値を可視化していくことが、日本の農業の将来を明るくするものだと考えています。

微力ながら、お手伝いをしていきたいと思います。
ご関心のある方は、是非とも、ご一報ください。


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