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VCMに革命をもたらす10のイノベーション(2)

格付機関のBeZero Carbonが、VCMの現状を打破してくれる10のイノベーションについてレポートをリリースしています。ただ、クレジットに馴染みのない方にとっては「?」となるところもありますので、分かりやすく説明しながら、内容をお伝えしていきたいと思います。

前回は、前置きで終わってしまい、申し訳ありません。
ですが、背景についてご案内していますので、よろしければ参照ください。

10のイノベーションを、再掲しておきますね。
今回は、1〜3についてご案内していきます。

1. Ratings - carbon markets are learning the language of risk
2. Satellite imagery - everywhere and all the time
3. Monitoring, reporting & verification (MRV) - bigger, better and more often
4. Regulators & initiatives - from theory to practice
5. Technological removals - rise of the machines
6. Unique identifiers - the yellow pages of the market
7. Insurance - giving the risk to people who want it
8. Diversification - buyers are tooling up
9. Funding - unexcitingly innovative
10. Article 6 of the Paris Agreement - fit for use

  1. Ratings - carbon markets are learning the language of risk

このところ、クレジット界隈では「ウォッシュ」が吹き荒れ、それに併せて雨後のタケノコのように格付会社が出現、後を追うように当局が規制をかけ始め….

疑い始めると切りが無いカオス状態に陥りそうですが、BeZero Carbonの格付けと価格設定には継続的な相関関係が見られるそうです。(あくまでも、BeZeroという「格付会社」の主張であることに留意)

2BeZero Carbon RatingとCBL取引所における平均クレジット価格の比較

ただ、それはさておき、格付けによって、VCMのインセンティブ構造が、より質の高いものに報われるように変化してほしいものです。

2. Satellite imagery - everywhere and all the time

衛星画像とそれを用いた分析は飛躍的に進展し、クレジット市場をターゲットにし始めています。実は、友人がまさに手がけているのですが、もうそこまで来ているのか、と驚きでした。

ESA、ISRO、JAXA、NASAなどの宇宙機関は、炭素計測を目的としたLiDARやレーダーなどのオープンデータを提供していますし、NICFIのようなイニシアチブを通じて、一部の商業衛星データも気候研究のためにオープンになっているそうです。

その中でもBeZeroイチオシは、商業衛星で毎日全世界の地図を作成している「プラネット・ラボ」だとか。

Planetデータを使用したメキシコの改良型森林管理プロジェクトの森林構造属性と炭素マッピング

パートナーシップを結んでいるので、同社の高解像度データは、宇宙機関、政府機関、研究者からの他のデータとともに、世界中の何百ものプロジェクトに対する独立した炭素格付けに利用できるそうですが、まぁ、これはBeZeroの営業トークと受け取っておきましょう。

3. Monitoring, reporting & verification (MRV) - bigger, better and more often

衛星が提供する情報は画像だけに留まらず、植生や土壌の成分、CO2などのGHG排出量・吸収量など幅広く、かつ、リアルタイムに入手できることが特長。それも、以前利用可能だったデータよりも広範囲で、タイムリーで、正確で、検証可能なデータセットへのアクセスが可能なのが画期的でした。

ですが、Verra、GSなどの代表的なVCMスキームオーナーは、ウォッシュ批判に晒されている過去のクレジットというレガシーの対応に手一杯なのか、そのようなモニタリング方法を取り込んだ方法論、dMRVの開発において、後手に回っているように感じています。

VCMはボランタリーであり、基本相対取引であることを考慮すると、買い手が売り手を信用すれば、売買は成立する訳で、であれば、「高品質」が担保されるのであれば、新興のクレジットであってもよいのではと思ってます。

dMRVが基本のクレジットであれば、安価に創生できる上に、リアルタイムでモニタリングできるので、品質を担保することが容易。実際、そのようなスタートアップも現れています。

例えば、OxCarbon。オックスフォード大学からのスピンアウトであり、個人的に注目しています。

とはいえ、個人ではアプローチが難しいですし、ブルーカーボンを推進している自分にとっては高嶺の花。なので、農業分野のDXを支援しているxarvioを活用できないかと試行中。また、依頼するとコストがかかるので、自身でドローンを運用しようと画策してます。

dMRVでコストは削減できるとはいえ、依然として、海外のクレジットは規模が大きくないとペイしないのが現実。他方、国内は、ストーリーがあれば小規模でも成功できる。

モニタリングに関して情報があれば、是非お知らせください。
皆さんの手の届くプライスレンジでご案内できるよう、頑張るつもりです。

ということで、次回は、4〜6についてご案内しますね。
もう少し、お付き合い下さいマセ。

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