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EUのマイナアプリ?

日本では、マイナンバーカードが一連のトラブルにより、ガラガラポンの状況を呈しているのは、皆さんご案内のことと思います。

折しも、KDDIが2022年7月に起こした大規模通信障害から2023年7月で丸1年になりますが、ことほど左様に、日本はシステムの「運用」においては途上国レベルですね。

他方、欧州では、欧州デジタルIDの法的枠組みに関する提案の主要な要素について、欧州議会とEU理事会が暫定的な政治的合意に達したろ、欧州委員会が発表しました。

この枠組みの中心的な革新的要素は、安全で便利なモバイルアプリの形をした個人のデジタル財布(EU Digital Identity Wallet)でdです。これにより、すべてのEU市民、居住者、企業は、欧州全域で公共および民間のオンラインサービスに信頼できる形でアクセスできるようになるとのことです。

ここで、既存のeIDについて説明しておくと、こちらは、加盟国が個別に運用、主に、公的サービスへのアクセスを容易にするために提供されており、それらをプライベートセクターのサービスやモバイルデバイスで使用することは必ずしも規定されていません。

それに対して、EU Digital Identity WalletはEU全体で共通のフレームワークに基づいて提供され、すべてのEU市民、居住者、そしてEU内の企業が利用できるように設計されている点が、大きく異なっています。

さらに、EU Digital Identity Walletは、既存のeIDシステムを基に構築されるため、新たな登録プロセスを必要としない点でも優れているとのこと。事業会社とホールディング会社のような関係でしょうか。

とすると、日本だと「結局使えない」となりそうですが、発表を見る限り、用意周到なようです。

法案を提出した欧州委員会は、加盟国がWalletを容易に配備できるようにするため、既にプロトタイプを開発中とのことで、4件の大規模なフィールドテスも実施しているそうです。

さらに、加盟国が規則で定められた期限までにEUデジタルIDウォレットを提供できるようにするため、欧州委員会は加盟国と協力して、欧州デジタルIDウォレットのプロトタイプとなるアプリを構築するための技術的側面をまとめたToolboxを、2023年にGitHubで公開済みです。

Toolboxの最初のバージョンは2023年2月にGitHubで公開され、今後も更新される予定である。Toolboxの要件と仕様は、欧州デジタルIDの枠組みに関する立法プロセスが確定した時点で義務付けられる。、

この「EU Digital Identity Wallet」が実現出来る未来が、素晴らしいです。

ユーザーが自身のデジタルIDとデジタル証明書を保管、共有でき、運転免許証、医療処方箋、教育資格証明などとして利用可能。また、自分のデータを完全に制御でき、必要に応じてIDとして利用したり、デジタルドキュメントを他人と共有したりすることもできるとあります。

ただ、EU Digital Identity Walletは、公的サービスだけでなく、特に強いユーザー認証を必要とするプライベートなオンラインサービスにもアクセスするために使用できるのが、最大の特長でしょう。

これには、銀行口座へのアクセスやローンの申請、税金の申告、自国や海外の大学への入学などが含まれるそうですが、日本人の感覚からすると、恐ろしくもあります。

で、気になるセキュリティについてですが、新規則は、加盟国のデジタルIDウォレットが最高レベルのセキュリティを確保できるよう、加盟国が基準、技術仕様、運用面で合意することを想定しているとし、先に述べたToolboxが担うことになるようです。

なので、「EU Digital Identity Walletは、既存のeIDシステムを拡張し、より多くのサービスへのアクセスと、より大きな個人データの制御を可能にする新しいデジタル認証ツール」という欧州委員会の主張は、期待通りのパフォーマンスと万全のセキュリティを備えていれば、間違い無いですね。

ちなみに、具体的な使用例が、紹介されていました。

・新しい国での住民登録
・銀行口座の開設
・携帯電話のSIMカードの購入
・公共交通機関の定期券の申し込み
・出生証明書の請求、医療証明書、住所変更の報告などの公共サービス
・自国または他のEU国の大学への申し込み
・ヨーロッパ全域で使用できる医療処方箋の保存
・年齢の証明
・デジタル運転免許証を使用したレンタカーの利用
・ホテルのチェックイン

次のステップとしては、欧州議会とEU理事会はそれぞれの全会一致で法案を承認、採択した後官報に掲載され、20日目に発効となります。その後、各加盟国は法案を国内法に取り入れ、実施していくという段取りです。

EU大における、この壮大なプログラム。
目論見通り「安全で便利なデジタルIDの有効性を向上させ、その利点を民間部門やモバイル利用にも拡大する」ことになるのでしょうか。
(逆に、EU域外の人間はEU域内での行動が逆に取りづらくなりそうですが)

審議状況を、見守っていたいと思います。

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