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ESG戦略斜め読み〜ソフトバンク(1)

2024年2月26日、ソフトバンク(SB)がESG説明会を実施していました。
「ESG」と言いながら、結局数値化しやすい「E:Environment」のみにウェイトをおいている企業が多いところ、SBはバランス良い戦略を立案しているようでした。

3つの領域において次のようなテーマを中心にした説明。

「サスティナビリティ関連情報開示」界隈では、「○○とAI」といった感じで「AI」を絡めたトピックが散見されるところ、SBでも「AI共存社会」と題し、データの取り扱いとAIを詳説されていました。

E:気候変動・自然資本/資源循環
S:AI
G:人的資本

詳しくは、動画とレジュメを直接参照頂くとして、今回は「E:Environment」の内容を、一緒に見てみたいと思います。

まず、6つのマテリアリティを特定。
これを見ると、シングルとかダブルとかいうイメージではなく、事業を通じて外的環境に提供できる価値・貢献のように見えますね。

「外部重要度」と「自社重要度」でプロットして特定していったところ見ると、「外部重要度」をスケールとして利用される、スタンダードやインデックス、レポートなどの中に、両方の立場が混在しているのでしょう。

他方、「自社重要度」は、自社の環境に対する影響が、最終的に自社の収益という形で戻ってくるという「ダイナミックマテリアリティ」をも含有しているのかもしれません。

マテリアリティと「デジタル化社会の発展に不可欠な、次世代社会インフラを提供」という長期ビジョンを、「中長期的に達成すべき、社会・自社の姿」を照らしあわせて、KPIを設定。

役員報酬にも連動させるとのことなので、実効性がさらに担保される訳ですね。CDPやISSBでも開示が要求されている項目であり、高評価を得るためには、必須となってきています。

ただ、旗を振っても社員がついてこなければ、「実効性の担保」は画餅に帰してしまいます。算定支援を行っていてつくづく感じるのは、現場レベルまで「削減意識」を浸透させることの困難さ。特に、その目的・目標を共有し、共感して自分事として実施してもらうことの重要性です。

取組は数あれど、実際はどうでしょうか。
意識調査の結果を、顧客として接した場合に感じ取ることができるか?
お世話になっているので、これから意識しておきたいと思います。

当然ながら、ESG推進委員会を設置し、ガバナンス体制を構築。有識者をアドバイザリーに迎え、第三者保証も実施。抜かりはありません。

が、指摘は承るだけで、結局「ガス抜き」「証拠づくり」とならないようウォッチするなど、ステークホルダーの役割も重要になってくるでしょう。

欧州では、環境訴求に関し、測定可能な目標や達成期限など現実的な実施計画を伴い、独立した第三者機関による定期的な検証を受けた、明確かつ客観的で検証可能なコミットメントがない場合、誤解を招くマーケティング方法として禁止する指令が、施行される予定。

目的を達成するために、「実行可能な(Doable)」な計画を立てることはもちろんですが、「正しく」実行していくことも必要です。「持続可能な企業」の実現は、このほど左様に難しいのですね。

ということで、「ESG戦略」の概要を押さえたところで、次回は「気候変動」「自然資本/資源循環」についての、具体的な計画を見ていきましょう。

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