「使えるフロー」にするための定義とは…?―第1回行財政愛好会1/2

こんにちは!
前回の記事では、愛好会の議論の軸となる「予算編成フローの素案」(以下、「ver0」とします)を事務局が作成し、財オタの皆さんに目を通していただいたところまでご報告しました。

今回からは、2回にわたり、2021/11/24に開催した第1回行財政愛好会の内容をご紹介します。

はじめに

愛好会開催前に、財オタの皆さんからver0について、フェーズの区切り方や事業の分類方法などについてご意見をいただきました。
いただいたご意見はフロー設計のベースになるもので、このベースの設定がフローの質を左右するといっても過言ではありません。
このため、第1回愛好会ではこのベースの整理からスタートすることにいたしました。

1.「要求前・要求査定中・合意形成」の分類名称を変更

ver0では予算編成のフェーズを「要求前・要求査定中・合意形成」としておりましたが、
・「合意形成」は予算編成の方向性を決定するところから査定額を市民に説明するところまで、どのタイミングでも行われている。(=「要求前」「要求査定中」のフェーズでも行われている)
・分類名称に「合意形成」と入れてしまうと、その分類でしか合意形成を行っていないかのように見えてしまう。
といったご意見をいただきました。

よって、フェーズの分類については
「合意形成」といった表現はやめ、新たな案を事務局で再考案。
といった結論となりました。

2.事業は「枠内で要求/査定をする事業」と「枠外で要求/査定をする事業」に区分

今回のフローではコミュニケーションに焦点を置いて設計するため「どの事業を誰が査定するのか」といった点が重要となり、「事業」と「誰が」の部分を類型化する必要があります。
そこで、ver0では事業の類型化として、下記のように発案しました。(「誰が」の類型化については後述)

枠内で要求/査定をする事業:原局内で査定するものと考える。枠配分を導入していない自治体は該当事業無しとする。
枠外で要求/査定をする事業:財政課・企画課、首長などが査定するものと考える。枠配分を導入していない自治体は全事業がこちらに該当。

これについて、財オタの皆さんからは
・現状では「枠内で要求/査定する事業」であっても、財政課が査定をしている自治体もあるので、「枠内で要求/査定する事業であっても財政課が中身を確認して調整を行う」ということを前提とした定義にする、あるいは注釈を入れるなどしてフォローした方が良い。
・「枠」の概念は普遍的・共通的であるが、実際には自治体によって「枠」の定義や運用が異なっているので、「枠」といった言葉の使い方を整理する必要がある。
といったご意見をいただきました。

よって、事業については
「枠内で要求/査定をする事業」と「枠外で要求/査定をする事業」に区分。
ただし、
・「枠内で要求/査定する事業」であっても、財政課が査定することもある
・「枠」の定義が自治体によって異なる
といった点の整理が必要。(事務局が再考案)

といった結論になりました。

3.人口規模で自治体を区分

財オタの皆さんから、自治体の規模により予算編成のフェーズや登場人物が変わってくるといったご意見をいただきました。
これは、前項でお話した「誰が」の類型化にも関わってくる事柄であるため、規模に応じて自治体を分類することにしました。

財オタの皆さんからは
・人口規模=予算規模である
・人口10万人、30万人、50万人位がPlayerの変わってくる目安では
といったご意見をいただきました。

よって、
「人口:~10万人以下、~30万人以下、~50万人以下、それ以上」で自治体を区分する。
といった結論になりました。

4.「誰が」は「政策査定側、経費査定側、要求側」の立ち位置で区分

前回の記事で、財オタの皆さんに各フェーズの登場人物とその立ち位置を示す作業をお願いし登場人物の関係性を可視化していただいた、と報告しましたが、実は、この作業の中で
・「A自治体では首長の役割であることを、B自治体では原局長の責任範囲で行っている」といった現象があるので役職での設定ではフローの汎用性が低くなってしまう。
・査定中に事業の優先順位について議論することは無い
といったご意見をいただきました。

よって、「誰が」の類型化は
細かな役職ではなく「政策査定側・経費査定側・要求側」の立ち位置で区分。
参考情報として、各区分に当てはまることが想定される役職を記載。
政策査定側:政策的な視点での査定(主に首長や企画課)
経費査定側:財政的な視点での査定(主に財政課)
要求側:原局・原課内での査定(主に原局総務課や事業担当課)

といった結論になりました。

5.フロー導入のフォローも忘れずに…

フロー設計の最終ゴールは完成したフローを参加自治体の皆さんに活用していただくことです。
しかし、フロー導入の過渡期には、どうしても庁内での混乱や反発が生まれてしまうと思います。
愛好会ではフロー設計だけでなく、フロー導入時のサポートについても考えてまいります。

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次の記事では第1回愛好会後半の内容をお届けします!

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