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「デイサービスで15年ぶりに9:00~17:00で勤務してみた【後編】」

何とか本日から平常運転。
少し鼻とのどの違和感があるが気にしないで行こう。

先週の土曜日、毎月定例の社内ミーティング。
その社内ミーティングで議題にあがったのは施設長育成。

「うちの幹部頑張ってくれているけどもう少し成長してもらえるとね…」

「うちの施設は人がいなくて困る」の次に上がってくる経営者の言葉かな。じゃあ、何を持って成長させるのか。
施設長に対してコーチング?
それだと他の会社がやっている人財育成セミナーと全然変わらないね。

メンバーの1人がつぶやいた。
「伸び悩んでいる施設長って社長や今までの施設長の方針を踏襲したり、汲み取ったりしてそのまま続けているケース多いですよね。たとえ同じでもこうやっていくという施設長としての方針がメンバーに伝えられるか、これ重要ですよね」

確かにその通り。
この「方針書」を伴走しながら作るというのは我々の今までの経験による強みや市場のニーズともマッチしそう。
よし、早速商品化を設計してみよう、ということでミーティングが終わった。

そのランチにて先週東京のデイサービスに私が入って気になったことをメンバーにシェアした。

前回前々回の記事はこちら↓

昼休憩。

スタッフルームで昼食を食べていると正社員のスタッフも休憩に降りてきた。
挨拶をし雑談をする。

「元々25年くらいタクシー運転手やっていて、このまま一生タクシーも嫌だなと思って介護に6年前に転職した。やってみるとやりがいがあるね、自分の母親世代のお世話は」

さっと食事を取りフロアに出る正社員。
私も一緒にフロアへ。
午後は書道教室。
ひたすら書き終わった紙を干す係。

夕方、帰りの時間までカラオケ大会。

「今日も歌いたい人?」
介護士が陽気に回す。

手が挙がらない。
「じゃあ今日も木村さん(仮名)から行くよ」
「私、下手だから」
「知ってる下手なのはみんな知ってる笑」

木村さんは軽度認知症かな、明るく音を外しまくりながら歌う。
そのデイは採点機能をつけてカラオケ。
「ダメだよ35点じゃ、次は50点絶対出してよ!」

順番にマイクが回る。

「あの私のカバンは…」

再び田中さんが私に話しかけてきた。
夕方になり不穏が増す。

「田中さん、カラオケはいかがですか?」
「私はカラオケ歌えないから遠慮しておきます」
「そうですか、では聞いて楽しみましょうね」

するとちょうどマイクの順番が田中さん、正社員の介護士が田中さんに尋ねる。
「次は田中さんだよ」
「私は歌えないから遠慮しておきます」
「ダメだって、カラオケで口使わないとしゃべれなくなっていくんだから。はい歌ってください」

マイクを渡される田中さん。
細々とした声だがしっかり歌えている。

このやり取りで考えたこと。

私だったら田中さんに歌ってもらうことは出来なかったな。
この介護士さんの気持ちがダイレクトに乗ったケアだな。

いやあ、久しぶりの現場で考えさせられた。

「どうすればいいんだろうね?」
ミーティング後のソバ居酒屋で周りのメンバーに聞いた。

「伝え方はもっと丁寧に出来るのでは?」
「周りの人が聞いてどうかも考えないと」
「でも、結果田中さんの身体機能が動いたのはその介護士さんだよ??」

こんな議論をしていると待ってましたの表情をし、メンバーの1人がこう言った。

「だから方針書が必要なんですよ」

そのメンバーの「どや顔」は一生忘れることはないだろう。


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