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エシカル消費はなぜ企業において必要なのか?

「エシカル」という言葉は、昨今さまざまな場面において耳にする言葉になってきました。

ビジネスにおけてはファッション業界、食品業界、化粧品業界、小売業界などさまざまな領域で注目視されており、その市場規模も年々勢いを増してきています。

さらに新型コロナ禍において、人々の消費に対する考えやライフスタイルの見直しを図ることが増えていること、また、世界各地で人種差別、貧困問題、環境問題等の課題がより浮き彫りになっています。
そのなかで今後、「エシカル消費」という考え方に基づいて生きて活動をしていくことが必要とされてきています。

そして、企業においても人々の生活においても最早避けて通れない考え方、行動になっています。
今回は「エシカル活動」とはそもそも何なのか、なぜビジネスにおいて昨今重要視されているかについて書いていきたいと思います。

エシカル消費とは

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「エシカル消費(Ethical Consumption)」。エシカルとは、倫理的・道徳的という意味で、一般的には「人々や地域、社会、そして地球環境に配慮した買い物や、その他のお金を使う行動全般」が、エシカル消費と呼ばれている。

そもそもエシカルとは「倫理的・道徳的」ということを意味し、その考えに前提として人や地域、社会、地球環境に配慮した考え方、行動全般のことを言います。

言葉としての意味やイメージは何となくはわかりますが、具体的に、社会への配慮、環境への配慮、地域への配慮とはどのようなことなのでしょうか。

・社会への配慮 人・社会に配慮した消費や行動。代表的な考え方にフェアトレードや社会的責任投資(フェアファイナンス)など
・環境への配慮 グリーンコンシューマーや、低炭素製品、サステナブルな生育・生産方法に代表される、環境を意識した消費や行動
・地域への配慮 東日本大震災以降に活発化した応援消費や、地産地消、伝統工芸などに着目した消費や行動

グローバルで拡大する「エシカル消費」。企業やブランドの評価を左右する新たな軸に

そもそもこうした考え方が生まれた背景として、従来より先進国による大量生産・大量消費などに端を発する課題があり、それに対応するものとされています。

現代の先進国である日本に生きている私たちにとっては何も考えなくても衣食住などの消費活動ができて当たり前となっていますが、世界全体をみたときに貧困問題や地球環境に対しての問題が根強くあります。
そのようななかで、私たちにできる活動として普段過ごしている中の生活スタイルや企業活動においても、社会全体や環境を考えた際にそこにまで配慮して行動していくことが求められている時代といえるでしょう。

エシカル消費はなぜ注目されている?

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1989年に英国で創刊された『Ethical Consumer』という不買運動に関連した情報誌によって、エシカル消費という言葉が誕生しました。1997年には、同国のブレア首相(当時)が、政権の目標の一つに“エシカル”を掲げ、その後、北欧諸国や米国を中心に認知が拡大しました。
日本では、2000年頃からエシカルファッションやフェアトレードが知られ始めましたが、「エシカル消費」への認知が一般に広まってきたのは、ここ2〜3年のことです。

エシカル消費という言葉自体は1989年にイギリスによって誕生したとされ、歴史としては30年以上ということが分かります。

一方で、私たち日本においては2000年頃から少しずつエシカルファッション、フェアトレードというかたちで活動としては取り上げられながらも、一般的に「エシカル消費」という言葉が認知され始めたのはここ2、3年だと言われています。

2、3年でここまで注目度が上昇しているのは、2015年からの国連が掲げる持続可能な開発目標「SDGs」による影響が大きいと言えるでしょう。

エシカル消費を活発に行なっていくことこそが、SDGsが掲げる目標を達成できると言われ、貧困、気候変動などの環境問題の解決につながるとされたことがきっかけの一つと言われています。

エシカル消費の市場規模と日本の実態

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ファッション業界全体の環境負荷低減を目標に、科学的根拠に基づく計画と実践を盛り込んだイニシアティブで、14ヵ国で200以上の企業・ブランドが署名しました(※)。日本企業では、2020年にアシックスが初めて参画しています。
※2021年4月時点

エシカル消費に取り組む業界、企業は年々幅を広げてきていますが、特に動きが活発なのがファッション業界です。
2019年にフランスのG7より発表された「ファッション協定」では世界14カ国200以上の企業・ブランドが参画し、日本企業では2020年にアシックスが初めて参画しています。

このようにここ数年で世界あるいは日本において飛躍的に注目されてきているエシカル消費という活動ですが、その市場規模はいかなるものなのでしょうか。

英国のエシカル消費市場は年々成長を続けており、2019年時点で約440億ポンド(約6.7兆円)に上ると報告しています。

エシカルという言葉の定義やその言葉の捉え方次第でさまざまですので、市場規模や経済効果の算出は難しいとされていますが、2019年時点で約6.7兆円に上るということは2021年以降ではさらに成長していると思われるでしょう。

このような状況下で、エシカル消費ということは企業活動においてとても重要な取り組みだと位置づけられてきています。

電通の「エシカル消費 意識調査2020」の結果によれば、50%以上が「エシカルな商品・サービスの提供は企業イメージの向上につながる」と思っているとされています。

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電通、「エシカル消費 意識調査2020」を実施 より引用

一方で、エシカル消費という言葉の認知度は24%ということになっています。4人に1人というデータですが、2016年時では5%と比較すれば、数年で認知度も上昇していることがわかります。

さらに人々にエシカル消費という言葉を認知され、より言葉の意味や背景まで浸透させていくことは企業あるいはひとりひとりの行動が今後より重要となってくると思われます。

人や環境、社会に良いもの選択していく

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消費者の70%以上が環境に配慮したファッションを取り入れたいと考えていることが分かりました。同時に、約70%の人が環境配慮を取り入れた企業・ブランドのイメージが向上すると回答しています。近年、地球環境や社会の持続可能性に関する意識が高まっています。
2019年9月「ファッションの環境意識調査」豊島株式会社 より引用

2019年に調査された結果では、消費者の7割以上の人がエシカルファッションやサステナブルなど、環境や社会に配慮したファッションを取り入れたいと考えていると明らかにされています。

どうせ使うのであれば環境や社会に配慮したファッションを選んでいきたいという意識が高まっていることが分かります。
また、人によっては「エシカルでないと買わない」「エシカルでないことは選ばない」ということが当たり前になってきているとも言われています。

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電通、「エシカル消費 意識調査2020」を実施 より引用

現代においては、良い商品というのは当たり前で、安価で、その品質、機能は良いというのが大前提としてあるかと思います。

そのなかで今後は「どうせ同じような商品を購入するのであれば社会貢献につながる」ことだったり、「環境問題、社会課題の解決につながる」ような消費活動をしていきたいという消費者ニーズがあります。

良いものは溢れかえっている時代の中で、企業としてはただ単に「安くて良いもの」ではなく、エシカル消費という潮流を捉えて商品・サービスを展開していくことが大切だということがわかります。

消費者視点としても、どうせ買うなら自分の行っている行動が誰かのためになったり、社会や地球環境のためになればいいなという感情があるかと思います。

自分の行っている行動が誰かのためにつながっているというのは人間本来の大切にしている価値観、考え方だと思います。その部分をより一層意識して企業や人々が活動していくことが求められる時代になってきたかと思います。

おわりに

自分の買い物やちょっとした活動が見に知らぬ誰かのためになっていたり、巡り巡って環境や社会にとっても良いものであるという意識は今後さらに影響力を増してくると言われています。

「エシカル」と一言にいってもまだまだ認知度や言葉の定義も曖昧だったりすることも多いと思います。

一方で今後のビジネスの展開には欠かせない考え方でもありますし、消費者のニーズを満たしていくためにも、企業価値を向上させていくためにもとても大切な取り組みだと学ばせていただきました。

まずはできるところから「エシカル」につながる行動を今後より一層意識していきたいと思います。

参考文献
グローバルで拡大する「エシカル消費」。企業やブランドの評価を左右する新たな軸に 

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