2018年10月公開小説表紙_決定_

『夜の花嫁』最終話


 2012年8月6日。

 結局あの日、僕は曜のあとを追わなかった。というより、追えなかった。
 僕にはもう、彼女に何を言う資格もないのだと思った。

 そしてあの日から届くようになったメール。助けを求めるそれを、僕はすべて無視したのだ。

 少年時代に覚えたあの罪悪感は、今でも僕を固く縛っている。

 スマートフォンを持つようになってから、僕はあのメールをパソコンからスマートフォンに転送した。それから何度機種変更しても、結局あのメールたちは僕のポケットに入るこの小さな機械に保存され続けている。
 

 分かりやすい罪の具象だった。

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