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『きのう何食べた?』~ 週末の深夜の小さな幸せ(と飯テロ)

十年来の原作ファン(←私だ)を感涙させるような、本気にみちみちたドラマ化ありがとうございます!

ゲイカップルの史朗(シロさん、西島秀俊)とケンジ(内野聖陽)の同棲の日々。

息子に向かって「同性愛者なのはちっとも恥ずかしいことじゃないのよ?!」
と叫ぶ実母。辟易するシロさん。
「観念的な理解」「わかったふり」の罪深さを、この短いシークエンスで表現している。

けれど少しあとのシーン、ケンジのセリフ
「でも店長は、お客さんに自分の奥さんや子どもの話をするよ?
 何で俺だけ、いっしょに住んでる人の話を誰にもしちゃあいけないの・・・?」
で、読者はマイノリティの悲しみをリアルに想像し、その芯に触れた感覚を覚える。

他者を理解することは難しい。
人間は他者を想像することができる。
両方が真実なのだ。

シロさんが安い食材を繰り回して日々の食卓を彩るのは、
「ごはん作りは仕事と同じくらいの充実感を与えてくれる」からでもあり、
「美容と健康のため」でもあり、
「将来、子供に面倒を見てもらうなんてできないゲイの自分たちは極力節約して貯金すべし」だからでもある。

ごはん1つにもいろんな意味あいがある。
とにもかくにも、小さな食卓で向き合う彼らは幸せそうだ。
ごはんってそういうものだなと思う。

いいときも悪いときも、どんな人もごはんを食べて生きてる。
ごはんを食べるとき、幸せを感じられたらいいなと思う。

ちなみに、紹介した2つのシーンは、原作では別々の回に入ってるんです。
それをドラマでは共に初回に収録。制作者の確かな手腕を感じるわ・・・!

原作ファンの間では10年以上前から「いつか映像化されるだろう」と確信していて、
シロさん=西島秀俊 は概ね合意形成されておりました。(いや、そうでもないか・・・? たまに、佐々木蔵之介とか長谷川博己案あり)

ケンジ役はそこまで一致してはなくて、
私としてはオダギリジョーを強烈に推してきたので(私が推してもどうにもならんのですがw)、
内野聖陽に決まったときは「えー?」と思ったものですが、
扮装したドラマポスターを見て「さすがや・・・!」と脱帽、
実際にドラマを見て「これケンジだわ・・・!」と悶絶。

原作ファンをここまで納得させる映像化もそうそうなかろうて。
原作を繰り返し読みすぎてて、もはや原作を知らない大半の視聴者がドラマを見てどう感じるか想像できないくらいなんですが、
週末の深夜の小さな幸せ(と飯テロ)。きっとおすすめです。

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