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「光る君へ」メモ 第7回「おかしきことこそ」からみあう二つの主題

物語序盤の今、積み上げてることって大きくふたつあって、
ひとつは「まひろと道長の愛憎にまみれた婚外関係」(しつこくてすみません(笑))
もうひとつは、「まひろ、源氏物語への道」

前者については、お互いに好きでたまらんのに永遠にすれ違ってるという、古き良き少女マンガなんよね。昔の王道だけど、今や新鮮で切ないー!

まひろの母の一件を知っても、「それでもやっぱり好きだ、神の斎垣を越えてでもおまえに会いたい」と、どストレートな恋文を送った道長。まひろからの返事は来ない。

右大臣家の若君という血筋にも、思いのたけを正直にぶつけても自分になびかない女。
身分とは裏腹に、道長にとってまひろを「高嶺の花」に仕立てる作劇がうまいー!

①従者にたずねられ「振られた」と自嘲して笑ってからの、
②「やめろ、道長である!」と修羅場を押さえるために躊躇なく右大臣家ブランド力を行使してからの、
③藤原をバカにする台本を書いたまひろに「俺も見たかった」ですよ。

この
 かわいい→かっこいい→かわいい
の3連コンボたまらんかったですね。
かっこいいをかわいいでサンドイッチしてる!!!
思わず録画でサンドイッチおかわりしたよ!!!
柄本佑の魅力が憎い。

まひろのほうは、右大臣家に恨み骨髄だから道長なんて無理‥‥なんだけど、
「道長様から離れるために何か他のことをしなければ」
「この命に使命を持たせなければ」
って、そんなにも思いつめるほど道長が心にあるわけで。

打毬の試合のあと、
「身分の低い女は利用価値がない」
「身分の高い女を正妻にして、あとは気に入った女と遊べばいい」
と、貴公子たちの完全無欠の説明ゼリフ、もとい身もふたもない本音の雑談を立ち聞きしてしまったまひろは、
「そうだ、しょせん貴族の男はあんなもの。身分の低い女はもてあそばれるしかないし、身分の高い女も本当の愛を得られるわけじゃない」
と、この世の真理を悟り、道長の手紙を焼き捨ててしまったけど、こんなことぐらいでサンドイッチ道長を嫌いになれたら源氏物語は誕生しません!!!

そう、①「愛憎にまみれた婚外関係」と ②「まひろ、源氏物語への道」はがっつりからみあってるんですよね。

今後もいろんな展開がありつつ、道長への愛憎は断ち切り難く、身を焦がせば焦がすほど「この命に使命を持たせなければ」というのが執筆意欲になっていくのでしょう。

②については
代筆の仕事をしたり、五節の舞姫をつとめたり、倫子サロンでお姫様たちの生態を知ったり、散楽一座と仲良くなって台本を書いたりと、いままひろが経験しているあらゆることが源氏物語の執筆に活かされていくわけですよね。

「みんな生きるのは大変だからおもしろい話で笑いたいんだ」
という話。以前、イラストレーターのおじさんも似たようなことを言っていた。

源氏物語は、笑えるところもいろいろあるが、基本的にコミカルなわけじゃないから、どういうことだろうな?と思ってたけど、直球でコミカルな話(=権力風刺)をやったら、今回のように権力側に取り締まられてしまう、と学んだってことかな?

光源氏って、理想の男性のようで男の暴力性も体現するし、多くの女性と結ばれるが、結局は求める愛は得られない、背反した存在。
源氏物語って、ラブストーリーとかコメディとか一代記とかとても一言ではいえない、一筋縄じゃいかない話だからね。

そのほか、備忘メモ

・「お父上とのあのようなやりとりがおもしろくて仕方ないのです」って、プレイ?!  兼家と安倍晴明のギスギスは、プレイだったの?!という衝撃。兼家のほうはわかってなさそうだけど。これって、まひろと道長の関係のアナロジーにもなっていくんだろうか??? はたからみると仲悪いけど、実はプレイに興じている二人っていう。やだ期待ー!

・「もうすぐ父上の世になる」と言いながら、若い世代をちゃくちゃくと懐柔する道隆。意外な策士っぷりが良い。道兼もあっさり篭絡されてた。道兼、おバカすぎてかわいく見えてくる感じ? 「ヴィンチェンツォ」のハンソ的な?

・倫子さま、完全に道長に恋しちゃったじゃん! 打毬でのあのポーッとした表情が少女マンガそのもので、黒木華ってほんとうまい役者だ。

・打毬のロケおつかれさまだが、いかにもお金のかかってなさそうなセットに涙がちょちょぎれますね。あと、さすがにお姫様たちがあんな剥き出しのとこから見てるのは考証的にどうなんだ? 

・道長の「影」のような存在である直秀だが、いつも怒ったり暗かったりしてるだけなのは嫌なので、今回狐メイクのままでの「邪魔しちゃった?」の一言めっちゃかわいくて良かったー!

2024.2.24 wrote



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