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『パリピ孔明』終わりました: クィアでインクルーシブな世界観のドラマ

そういえば、なんとなくクィアな空気にみちたドラマだったなと思う。
前園ケイジとマネージャー、ミア西表やKABE太人のメイクやスタイリング、密偵ちゃん、そして、小林のミューズでもある歌姫、マリア・ディーゼル。
シスジェンダー・異性愛規範みたいなものから解放されていて、そのことについてわざわざ何かしら説明されたり特徴づけられたりすることもなかった。
「そういえば」とあとから気づくくらい、みんなそれぞれ当たり前に存在し、受け止め合ってた。

それは、「音楽で天下泰平をめざす」という孔明のミッションにも合致してる。

リベラルな看板を掲げた人やグループでも、一歩 中に入るとミソジニーやパワハラ、マンスプレイニングなど、非民主的な実態があることは珍しくない。

若い女の子である英子を含め、誰にでも丁寧な言葉遣いをする孔明。
カタギじゃない雰囲気だけど、若い英子やKABEに対して声を荒げたり上からものを言ったりしない小林。
今どきの子らしく自己肯定感は低めでも、いろんなアーティストとステージを共にするのを楽しみ、「ありがとう」や「ごめんね」を欠かさない英子。

年齢やジェンダー、音楽のジャンルで序列や壁ができたりせず、お金の力も超えていく。
そして、音楽は楽しく気持ちよくて、人を癒し、励ましてくれる。

劇中で英子が作った2曲は、飾りたてず、背伸びもしないはたちくらい(だよね?)の子の素直な気持ちを歌ったもの。
その歌に、歴戦の軍師、孔明を始めみんなが心動かし、それが事態を動かすパワーにもなる。

個人的な話がもちうる普遍性を描いていたし
それだけの説得力をもつ楽曲と歌だったと思う。

<多幸感あふれる最終回、特に好きだったシーン>

・ミア西表の「楽しんで」 
→音楽を楽しめない時期が続いて、怒ったり悪態ついたり、自分のことばかりだったミアがこんな言葉をかけてくれるなんてー!沁みた。

・落とし穴に落ちる運転手、赤兎馬カンフーの「穴掘っちまったぜ」
→落とし穴への落ち方がまんまマンガ!演出ナイス!そして赤兎馬さん、そんなオチ😂

・前園ケイジを盛大にdisって辞めていくマネージャー
→disるときの体のラインがまんまマンガで目をみはった!芝居がうまいのか演出がうまいのか?とにかくものすごい爪痕。

・この人も含め、「弱い側」が自分で声を上げたり抵抗したりして状況を打開するシーンがたくさん見られたのも、このドラマの好きなところ。

・密偵ちゃん「がんばってください!」 英子「ありがとう!がんばるね!」
→ファンと推しの美しい瞬間‥‥

・KABE太人の前園disラップからの英子コラボ
→KABEさんの小気味いいラップ良いよね。ヒップホップをわかってるドラマだった。

・マリアと英子コラボ
→アヴちゃんの歌のすばらしさは言うまでもないが、一歩も引かない上白石さん立派!

・鏡に向かって自分の頬をひっぱり泣き笑っている孔明
→めちゃくちゃ喜んでるやん、とうれしくなったよね。今の人生の肯定。

***

向井理に40歳を過ぎてこんな当たり役がくるなんて。
本当によかったねーという気持ち。(何様目線)
シーズン2、最低でもSPドラマを期待していいよね?

最後に、もちろん原作ありきではあるけれど
このクィアでインクルーシブな世界観を見事に作り上げたプロデューサーは女性。やっぱりそうだよね~、という感じです。
タイトルバック、デコトラックに乗った孔明の画作り最高だよね!!

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