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「SHUT UP」7話 若い女性の性被害や貧困を主題に、当事者の目線から語られるドラマ

(2024.1.23) 界隈の評判を聞いて気になったので最新回を見てみた。松本人志の「女性上納パーティ」との共通点も多い。

偏差値の高い有名大学に通う男子学生たちは、サークルの中から女子を見つくろって、しばしば個室飲み会をおこなっている。そこに来るのは商社やメディア系で働く男性たち。卒業後の人脈づくりの一環だ。

対照的に、主人公たち女子は、別の大学(どうやら偏差値が低い大学らしい)に通っていて経済的にも厳しい環境にあり、学生寮で暮らしている。
そのパーティでは女の子たちが望まない(断れない)形で性的関係をもたされることが多々あり、主人公たち女子グループの一人は妊娠してしまう。しかし男子学生にとっては遊びでしかなく、当然知らんぷり。それどころか彼女たちを“格下の女子”として蔑み、果ては自分が被害者のように振る舞う。

細かい経緯は省くが、彼女たちはそんな男子たちの悪業を世に知らしめるため動き始めてる。自分たちの他にも性被害に遭った女子学生たちが少なからずいるとわかり、一人ずつに会って話を聞くシーンもあった。

望まない妊娠やレイプのような性被害がドラマで扱われることはしばしばあるけれど、このドラマが特徴的なのは、まず被害の当事者目線で描かれるところ。
刑事ドラマや医療ドラマの中で、一話で解決して次週には忘れられるような、one of themの事件じゃない。
社会人ですらない女子学生、しかも貧困の中で生きている彼女たちの痛みや恐怖が正面から描かれる。
演じるのは、同世代の女子たちがよく知るアイドルだったり、インフルエンサーだったり。
あ、「ブギウギ」で梅丸少女歌劇団の同期として出演していた和希ちゃんも出てるよ。

もうひとつは、彼女たちが痛みや恐怖に何度も打ちひしがれながらも折れてしまわず、「自分たちは悪くない」「こんなこと許してはいけない」と立ち上がって連帯し行動するところ。それがレジリエンス(回復)にもつながっていく(いきそうな)ところ。
しかも、それが主題の作品だ。
貧困や性被害、それらを取り巻く構造は、恋愛ドラマやコメディーを際立たせる設定・エッセンスじゃない。

脚本演出も、ソリッドだけど若い女性にとって等身大な感じで良い。
日本でこんな作品が作られ、地上波で放送されているとは!
最後まで見届けなくてはと思わせるドラマ。

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