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「光る君へ」メモ 第3回「謎の男」恵まれた人間の残酷さをきちんと描いてる

大河ドラマの序盤は登場人物が少しずつお目見えするのが楽しいですね。

・藤原公任役に町田啓太。水も滴る美公達ー!キャスティング担当者さん、解釈一致です!

・藤原斉信役には、はんにゃ金田。これはサマーウィカ清少納言との絡みを念頭においたキャスティングですね? 藤原行成には渡辺大知。能書家ということしか知らないが、どんなキャラなのかな?

・ロバート秋山の実資、芝居に異様な安定感がある。ちゃんとそこそこ能吏に見えるのがよい。そして、権力者を茶化しきるコントやってたのは「謎の男」だったのね。‥‥って、笙野、笙野やないか!(from「セクシー田中さん」)。毎熊克哉、すっかり売れっ子ですね。

・黒木華の倫子、ついこないだまで高校球児たちと汗を流す熱い教師だったとは思えない深窓の令嬢。空気を読んだうえでよくわからないふりをして和らげる、当時のお姫様の「正解」を叩き出せる賢さがある感じね。

・まひろの「倫子さまのお気に入りになれるようつとめます」という言葉が妙に引っかかった。情報収集をさせられるのは嫌だけど、華やかなサロンで知的好奇心をみたせるし、何より堂々と外出できるから左大臣家通いは続けたいわけよね。でもこの流れで「お気に入りを目指す」とまで言い切るのはちょっと違和感があった。まひろは、のちに中宮彰子のお気に入りになるから、それを念頭においた伏線なのかなあ。

・「下手に下々の暮らしになど通じたら、思い切った政治ができなくなる」。権力者にちゃんとこういうことを言わせる脚本はGoodです。とぼけた受け答えをしているけれど、父のおかれた立場をちゃんとわかっている道長。

・前回、円融帝(=夫)と夫婦の愛情を取り戻そうとして手ひどく拒まれる姿が気の毒だった詮子。今回は「しょせん慰み者」と身分の低い女に対して呼吸をするような差別心を見せる。兼家といい、恵まれた人間の残酷さをこともなげに描くのはベテラン作家らしい手腕。

・一方、「おまえ、女に興味がないのか?」「そんなことないけど」ってやりとりは昭和だった。いや平安だが。プレイボーイ(死語)を描くのはいいんよ。でも、異性に興味がないのか、という問いかけに「おまえ、変わり者なのか?」を含意するのはアップデートが足りないと思う。

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