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髪型も個性の時代なのか

年末はいつも美容院に行く。そう思ってるのは私だけではないようで、いつにも増して予約が多いなと、ネット上で感じた。早めに来れる?とやはり連絡が入り朝一番の予約となった。

私は今、大阪に住んでいる。この町で従兄弟が美容師をしているので、いつしかお世話になっている。私の変な生え方の癖も髪質も全部把握してくれているので頼みやすい。そして何より、想像以上に満足させてくれるので通っている。

照れくささから何を話そうと毎回思うのだけど、今日は違った。
最新の髪型は誰が決めるのか急に気になったので聞いてみた。「昔は〝これが流行りです“って誰かが言ってたけど、今は個性の時代になってきてるからか、そういうのなくなってきたなぁ。」という。「昔は何かが流行ったら、同じ髪型ばかり切った日も多かったな。」たしかに。町中、同じ髪型ばかり見る時あったよなぁと懐かしくなる。

「でも今は誰でも自分のいいと思うものを発信できるし、ネットで簡単に調べれるから、そういうのを見て広がったりするのが多いよ。個性を尊重されるようになってきたからかなと思ってる。」

そうか。髪型も個性の時代だったのか。友人の中には個人で物を作ってネットで販売している方々もいるが今年に入り、ようやく生きやすくなってきたと言っていた。

「その分、技術は磨いていかないといけないけど、すごく楽しいよ。」と満足そうに笑っていた。私の髪型もここ数年はメンズの髪型から選んでいる。気に入るのがどうしてもメンズなのだ。ショートを作るのが得意な彼にとっては嬉しいようだ。



帰るころには、待合には何人か座っていた。従兄弟自身のお店なので繁盛していると思うと、身内ながら嬉しくなる。そして自分の技術で仕事をしているのも羨ましくも思える。私も個人でできる仕事をしたいと願わずにはいられなかった。


いろんな思いも断ち切ってくれ、心が軽くなった。
また来年、よいお年を。と笑顔で手を振る。足取り軽く店を後にした。

ガラス張りのショーウインドウに映る自分を見る。マッシュショートになった髪型を満足気に眺めていた。