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クロシェアクセサリー

同居人が残していったもの

以前、住んでいた家を出る際、引越し荷物のパッキングをしていたのだが、同居人の部屋から、溢れんばかり素敵なものがたくさん出てきた。

その中の1つ、私の目に留まったのはクロシェのアクセサリーだった。

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「俺、バリで色々な物を作っているんだよね」と、同居人だった彼がそう言っていたのを思い出した。多分これらはその1つであろう、と思った。その時は、誰にも見せない、と言って見せてくれなかったのだが、帰国した暁にはこれらを置いて行ってしまっている。彼はこれを売ろうとしていたのではなかったのだろうか・・だとしたら、彼は夢までシンガポールに置いてアメリカに帰国してしまったのだろうか。

そんな思いを巡らせパッキングが中断していた私にお構いもせず、別の部屋に同居していたイギリス人カップルがずかずか部屋に入ってきて、「どうせ彼、シンガポールに戻ってこないでしょ。だったら捨てちゃうだけじゃない」と言い、バッグやら、アクセサリーやら大多数のアイテムをわしづかみにして、持って行ってしまった。

イギリス人カップルが部屋を出て行ったあと、私は残されたアイテムを1つ1つ拾い上げて、私のパッキングアイテムの1つに加えた。あきらめてしまったであろう、彼の夢がここに残されている気がして少し切なかった。

クロシェのアクセサリー。やさしい雰囲気が欲しい時にピッタリ

断捨離をしていたある日、これらの物がストアルームから出てきて、しばし当時の思いにふけっていた。しかしよく見るとこれらのアクセサリーがとても可愛らしいことに気が付く。

クロシェのアクセサリー、強い主張はしないものの、素朴な雰囲気が編みから伝わってくる。軽く洋服に合わせるだけで、ファッションに素朴さが加わっていい感じになる。

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赤いクロシェは、可愛らしい雰囲気が首元に。赤いアクセサリーはそれだけで強いイメージになりがちだが、クロシェだと優しい感じになるから不思議である。

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豪快で元気な人柄の彼が、こんな優しい雰囲気のものを作っていたなんて・・改めて数年前に帰国した同居人を思い出す。彼は自分の夢を置いていいったが、当時見ることのできなかった彼のやさしさも置いていったように思えた。


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