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おすすめはしないが食べることは可能だった話

20歳くらいのとき、ピザトーストを食べて、食中毒をおこしたことがあった。
腹痛、下痢はもちろん、嘔吐、発熱と、それまでに経験したことがない症状で、堪らず内科医のところへ行った。

朝に食べたピザトーストのチーズが悪かったのではないか?
と言ったぼくに対して医師は
「チーズははじめから腐っているようなものだから、アレで腹をくだすことはないよ」
ときっぱり言った。
なるほどそうですか、と納得するほどその場のぼくは頭が働いていなかったが、ぼくの生活習慣に大きく関わる発言として記憶している。

人体に有害な微生物のはたらきが腐敗、無害なら発酵、なのか?
厳密にいうと、おそらく違う。
ただ、発酵食品で胃腸を苛むことはないらしい。
もっとも、内臓を蝕むことはないのか?と考えると、なくはないようにも思う。
醤油や味噌は塩分のかたまりみたいな言われかたをするし、日本酒ばかり呑んでいる人が健康的だとは考えづらい。

不思議なことに、保存期間の長い酒は旨いとされるが、古味噌にはあまり良い印象を持たない。
長らく冷蔵庫に置かれたヨーグルトを食べるのは、若干の勇気が必要だ。

では、豆板醤はどうかというと、味噌と同じくしょっぱくなる傾向があり、辛みは低くなる。
ついさっき食ったんだから間違いない。
そして、当然ハラを下したりしない。

「それ」をどこで、いつ買い求めたのか、まるで覚えていないが、わかっているのは、ラベルに書いてある賞味期限から10年余りを経ている。
賞味期限から10年、だから、購入したときからかんじょうすると15年くらいになるのであろう。
15年かけて1kgの豆板醤を消費したのかと考えると、さまざまな思いがよぎるが、明らかにいえるのは、あの医師が発した言葉は間違っていない、である。

チーズなんて最初から腐っているようなものだよ、醤油も味噌も納豆も。

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