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資金繰り表が先、B/S、P/Lは後で、会社の未来を一歩先取りしましょう

「借方、貸方ってなに?」

あるクライアントさんから質問を受けました。

その会社では顧問税理士の先生から毎月試算表が送られてきます。しかし、社長としては、借方、貸方という仕訳が感覚としてよく分からないという訳です。

銀行から金額3,000万円を期間5年で借入すると、

(借方)普通預金  3,000万円
(貸方)長期借入金 3,000万円

と記帳して仕訳されます。

一方、翌月元金50万円を返済すると、

(借方)長期借入金   50万円
(貸方)普通預金    50万円

という逆の仕訳がおこって、もし、この取引以外に預金の動きがなければ、

(借方)普通預金  2,950万円
(貸方)長期借入金 2,950万円

という数字が試算表に載ってきます。

経理に詳しい人なら当たり前かもしれません。

社長としては、

・50万円を返済したので長期借入金の残高が2,950万円になる
・返済した50万円分だけ預金が減る

というのは肌感覚で分かります。

けれども、「最初と逆の仕訳を起こして」となると、「何のこと???」と一瞬思考が止まってしまうことがあります。

この点、資金繰り表で言えば、あくまで預金・現金の動きを表すものであるため、

3,000万円-50万円=2,950万円

というのがストレートで分かります。

このため、私の経験からすれば、「決算書や試算表で説明するより、資金繰り表を使って説明した方が経営者の理解を得やすい」です。

「資金繰り表は苦手」という社長さんは多いのですが、実際に作ってみると、「資金繰り表の方が自分の感覚に合う」という社長も少なくありません。

先にお話した社長さんも

1.資金繰り表をベースに経営管理
2.毎月の試算表は補完資料として使用

されています。

社長が会社経営の判断材料として使う資料は自分の感覚に合うものがお薦めです。

この点、「資金繰り表は苦手」というのは単なる社長の思い込みで、「資金繰り表で会社の数字を把握することの方が社長の感覚により近い」のです。

今は会計ソフトが充実しているので、「借方、貸方ってなに?」とよく分かっていなくても、決算書や試算表を作成することができます。私も勘定科目の仕訳については、肌感覚で分かっているというよりは、理屈で無理やり分かろうとしている部類なので、技術の進歩にはたいへん感謝しています。

一方、残念ながら、資金繰り表については、今後の売上予想や支払予定などの数字もからんでくるので、会計ソフトだけでは対応できない部分があります。

弊社の場合、試算表の作成など月次決算の作業は外注していますが、資金繰り表は自社で作成し、漏れとダブリがないよう日々更新しています。

その資金繰り表も勘定科目とは関係なく、どこにいくら払うのか、いついくらの売掛金が入ってくるのか、というごくごくシンプルなものですが、私が1ヵ月の中で一番気にしているのが、この資金繰り表です。

作ろうと思えば、基本的には加減乗除ができれば小学生でも作成できるのが資金繰り表。もし、まだ会社で作っていないならば、実務の面で会社経営に与える影響は決算書以上のものがあるので、ぜひ挑戦しましょう。

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