経営企画の役割・必要性と社内メリット
本記事の目的
本記事では、経営企画という世間一般ではとっつきにくい部署がどのような仕事をしており、なぜ必要なのか?という概要を解説します。
これから経営企画部署を立ち上げようとしている方や、経営企画ポジションへのキャリアを検討されている方にお読みいただければと思います。
経営企画はどんな仕事をしているのか?
経営企画は一言でいえば、「企業の目標を達成するために動く社長の参謀」です。
自社がどのような企業を目指すべきであり、時代の変化を前にして今後の企業経営がどうあるべきかを中期的な視野で考えるために、市場や競合他社・自社についてのデータを収集・分析し、経営目標や実施計画などの「経営戦略」を立案します。
また現在、自社の残キャッシュがいくらであり、運転資金にはいくら必要、法人税はどの程度かといった経営管理業務を担当し、経営をサポート。
その他、経営会議の資料作成・進行、株主総会の運営、社内規定の考案・コンプライアンス対応など、経営を円滑に進めるための様々な業務を執り行います。
株式会社日本総合研究所の調査レポート「経営企画部門の実態」によれば、過半数の企業が「中計やビジョンの策定・管理」「単年度予算編成・管理」「特命プロジェクトの推進」を経営企画部門の主管業務と位置付けています。
しかし、経営企画はタイミングに応じて取り扱うべき課題解決の対象が異なるため、明文化されていない役割も担っているケースが大多数です。
レポートでは、全体の90%以上が明文化・ミッション以外の役割を担っているとされ、業務難易度の高さが伺えます。
経営企画部門の役割やミッションが社内で明文化されているかについては、全体の 8 割以上の企業で明文化されているとの調査結果があり、売上規模が高まるほど明文化が進む傾向がみられます。
また、回答企業の業績の傾向別に比較すると、増益傾向の企業ほど明文化が進んでいるという結果が出ています。
経営企画と事業企画の違いとは?
経営企画とよく混同されがちなのが、事業企画です。
経営企画は「会社全体」を軸とし、自社が今後どんな企業であるべきかのビジョンの設定、ゴール達成までの課題解決をしていくのに対し、事業企画は「事業」を軸とし、方向性や目標を設定、達成のための課題と具体的な戦略を立てる職種です。
一見似たような内容でも、対象とする範囲が大きく異なり、必然的に具体的な業務内容も変わります。
経営企画はどんな立ち位置・どの部署と連携して動くか
経営企画は会社にもよるものの、基本的にはどの部門からも独立して動くケースが多い立ち位置です。社長直轄の部門とされている場合も一般的ですが、各部門と横断的に連携して仕事をすることが多いため、どこかの部門の配下では都合が悪いケースも。
いわば独立遊軍的な立ち位置といえます。
主な連携先としては、役員会や経営会議の準備・運営を担当することから、社長・役員・事業部長クラスがメインとなることが多いでしょう。ただ、現場課題の収集やオペレーション改善を目的とし、必要に応じて現場社員と連携することもあります。
経営企画があるメリット・必要性は?
経営企画は、企業の中長期の経営目標とそのステップである戦略の立案・策定を行い、実施の管理などを担当する、今後の経営を左右する重要なポジション。
社長に次ぐナンバー2とも言える立場のために、大企業ともなると、社長ワンマンのマネジメントに頼るのではなく、経営企画がその機能を持ちます。
ある程度以上の規模になれば、専門的に上記機能を果たす「経営企画・経営戦略」といった室や部が必要となるでしょう。
自社の状況や今後の成長のための分析など、経営企画部署を持たず、他部署がカバーするとなると、そもそも難易度の高い業務であることに加え、メインの役職に加えての対応となるため、かなりの工数とコストがかかります。
自社を鳥の目で俯瞰し客観した立場として対応する必要があるため、事業推進と兼務するより専門部署として社内に置くのが得策です。
また、経営企画を設置することにより、トップは新規事業に注力できる体制が実現できます。既存事業に経営の安定化を経営企画が担っている間に、社長等の経営層は新規事業を創造し、新たな経営戦略の策定等に専念させることができるのです。
自社に経営企画がない場合はどうすべきか?
経営企画を立ち上げる場合は、どんな機能を持つべきかをまずは考えましょう。
例えば、まず下記の2点を洗い出し、
①:自社組織の成功のために、まずは何を横断的かつ優先的に解決すべきなのか?
②:競合・周辺企業を中心に、世の中の企業は経営企画に何を優先度高く求めているのか?
①の検討、②は動向としてしっかりと把握しつつ、自社課題に即した経営企画を立ち上げましょう。
経営企画には、幅広い知識とスキルが求められます。財務・会計知識はもちろんのこと、全社の効率化を考えるためにもITの知識も必要です。自社サービスの知識・理解、法律・規制への見解、海外企業とのやりとりがあるなら、最低限の英語力も重要になるケースも。
もし社内に経営企画部署がない場合は、役員陣で対応することが一般的です。中でも、事業推進・オペレーションを司るCOOが務めることが多いでしょう。
上記の幅広い知見と、企業の全体を俯瞰して意思決定する立場である方が進めやすいポジションであるため、現場社員にいきなり任せるのはなかなかハードルが高いといえます。
上図は売上規模別の一企業における経営企画部門を構成する人数ですが、平均としては専任者が6名、そのうち総合職が4.3名、管理職は2.9名で成り立つことが多いようです。
専用部署を立ち上げる場合は、初めは役員直轄のプロジェクトとして、経営役員への抜擢候補や専門性のある中途社員などで構成すると良いでしょう。
ただ、急造してもうまく運営できない、正解がないポジションだからこそ意思決定ハードルが高い、社内での役割が不明瞭で業務過多とストレスで人が辞めてしまうなど、慎重に進める必要があります。
必要に応じて専門性の高いコンサルの活用や、部署を丸ごと外注するのも一つの手段です。
本記事のまとめ
- 経営企画の仕事内容
- 経営目標や実施計画などの経営戦略を立案
- 残キャッシュ状況などの経営管理業務
- 企業経営の中長期の視野に基づくテーマ設定
- 経営会議の資料作成・進行、株主総会の運営や、社内規定の考案・コンプライアンス対応など
- 経営企画と事業企画の違い
- 経営企画:「会社全体」を軸とし、ビジョンから逆算したゴールに向けて課題解決を提案する職種
- 事業企画:「事業」を軸とし、方向性や目標を設定、達成のための課題と具体的な戦略を立てる職種
- 対象とする範囲が大きく異なり、必然的に具体的な業務内容も変わる
- 経営企画はどんな立ち位置・どの部署と連携して動くか
- 会社によるが経営企画はどの部門からも独立している立ち位置
- どこかの部門の配下では都合が悪いことがある、いわば独立遊軍
- 社長・役員・事業部長クラスと連携
- 必要に応じて現場社員と連携しヒアリング等を行うことも
- 経営企画があることのメリット・必要性
- 経営企画は社長の参謀
- 自社の状況や今後の成長のための分析を経営企画を立てずにやるのはかなりの工数とコストがかかる
- 経営企画のおかげでトップは新規事業に注力できる
- 経営企画がない場合にはどうすれば良いか
- 役員陣で対応することが一般的
- 専用部署を立ち上げにおいて、急造するのは難易度が高い
- 外注するのも一つの手段
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