エコー


ドンドン!

壁をたたく音がして、ビクっ
時計を見ると明日になる3分前。あわててギターをソファに運んだら「すみません〜〜〜…」と、上下左右の壁にペコッ
両手を合わせて。


外ではバイクが、ボンボン ブオーーッ!
それを追いかけて、ウーーゥーーゥゥー…… ウゥー!
こちら、部屋の中では無理やり寝かしつけられたギターがなんだか私を睨んでくる


こどもの頃、「絵本1冊読んだら寝よっか」
そう約束したのに、私より先に寝ちゃったお母さん。まぁよくあったことで、いつも、続きを読んでほしくて肩をゆすったり、鼻をつまんだりしてると
「おい。もう寝るぞ」
突然のお父さん登場で、有無も言わさず部屋の電気を消されたとき…


そう。あのときの私と同じ視線を感じる。

『え。終わり?』
ホールを器用に動かして話しかけてくる。

『マジ?』

「うんうん。気持ちはすごくわかるよ
 でも今日は終わり」

『外はまだ大熱唱だぜ』

「ほんとだ。ちょっと羨ましいね」

『公園行って続けようぜ。連れてってよ、公園』

「それはできないなぁ」

『なんで?』

「もうこんな時間だし、みんなに迷惑でしょ
 …ヤだよ
 君のせいで寝れないじゃないか、って怒られるの」

『お前の声はバイクよりでかいのかよ』

「あはっ。。それはないよー」

『じゃあ大丈夫だよ。公園連れてってよ
 だいたい今だってさ、鼻歌しか歌ってなかったじゃん』

「できないよ」

『な、ん、で』

「なんででも」

『なんだよ。 嫌な言い方するヤツだな、』

「また明日一緒に歌ってよ」



そこから一言も喋らなくなってしまったので拗ねて寝ちゃったのかな、と思います。
私も寝ようっと。

ウーゥゥーーー  ブオーン!ブオー!
ブオーン! ウーゥゥーーー  

ギャハハハハハ…

キキーッ!


耳にはいろいろ、いろんな場所から、本当にいろんな音が聞こえてくるけど

ドンドン! ”ドンドン” ”...ドンドン”   ドン…


私は、ついさっきのあの一瞬の音が忘れられないのです。

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中村コリー

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