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「伝統産業」「伝統工芸」ではなく・・・

僕自身は、地域固有の風土・歴史の中で育まれてきた産業を「伝統産業」ではなく「地場産業」、そしてモノづくり自体も「伝統工芸」ではなく単に「モノづくり」もしくは「工芸」と呼ぶようにしている。そしてそれをさらに現代の時代背景に合わせてアップデートすることで、自律・循環・持続していける「文化ビジネス」としていくために活動している。

なぜ「伝統産業」や「伝統工芸」と呼ばないのか?

それはひとえにそれらが伝産法という法律で定義されているから。
その定義は次の5つ。

 1.主として日常生活の用に供されるものであること。
 2.その製造過程の主要部分が手工業的であること。
 3.伝統的な技術又は技法(注)により製造されるものであること。
 4.伝統的に使用されてきた原材料(注)が主たる原材料として用いられ、
  製造されるものであること。
 5.一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造
  に従事しているものであること。日本人の生活に密着し、日常生活で使
  用されるもの。
   (注)具体的には、100年以上の歴史を有していること。

1.はそりゃそうだ、なのですが、2〜4に至っては「進化してはいけません」と言われているようなもの。さらに5の定義は極めて曖昧。結局のところ「組合」があるかどうかがポイントになっていたりする。

昭和49年に制定された当時は、極めて画期的だったと思う。地域に根づいてきた産業をしっかりと保護・育成しようというものだったから。

しかしながら時代が経過するに従って、モノづくりも変化に合わせてアップデートする必要がある現在、法律の定義に従っていたのではアップデートもままならない。

そういうわけで、「伝統産業」「伝統工芸」という法律に定義された言葉を使わずに、「地場産業」「モノづくり」「工芸」という言葉を使うことが、まずはアップデートの第一歩と考えています。

たかが言葉、されど言葉。

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