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自分の気持ちを偽り続けることで起こる変化

こんにちは!

こしあんです。

あなたは今、自分が持っている価値観を大切にして、きちんと意見を言える環境に身を置いていますか?

会社や家庭で「納得がいかない!」と思いながらもとりあえず周りに合わせている人も多いかもしれません。

最近ではブラック企業だけでなく、ブラック校則という言葉も聞くようになりました。
そこでは当たり前とされている事でも、全国的に見れば”ちょっと変”なものもあるかもしれませんね。


では実際、そのルールに納得がいかず互いの価値観がぶつかった時どうなるのか?

その集団や国を飛び出して自分の気質に合う場所を探すのか。
それとも「おかしい」と思いながらもその集団の中で生活していくのか。

今回は個人の価値観と集団の価値観がぶつかったとき、私たちにどういった変化が起こるのかという話をしていきます。



【三つの選択肢】

心理学者トッド・ローズによれば、私たちが自分の価値観と集団の価値観がぶつかったときの選択肢は3つあると言います。

①群れに逆らって排斥のリスクを負う。

②思い切って群れを離れて自ら排斥される。

③群れに従って反発心を引っ込める。(選好の改竄)


①の場合「そんな意見には賛成できない!」と周囲に同調することもありませんが、その集団を離れることもありません。
このとき、「アイツは言うことを聞かない」とそのうち集団から排斥される可能性があります。
結束力が強いグループほど逸脱者を拒絶・排斥するまでの時間が短いこともわかっています。

②の場合「そのやり方は納得できない!」と考えその集団から距離を置き、自ら出ていきます。
会社と仕事に対する考え方が合わなかったり、家庭内での役割などでも感じることがあるかもしれません。

③の場合は「それっておかしくない?」と思いながらも、とりあえず集団の意見に賛成します。

あなたはどの選択肢が多いでしょうか?


三番目の選択肢は社会に出て波風立たないようにするために必要なスキルかもしれません。
しかし、この選択は「選考の改竄」と言われ自分の気持ちを偽ることになります。
納得していないのについ自分の意見を引っ込めてしまう人は注意が必要です。

それはなぜか?

最初に感じていた違和感に蓋をすることで私たちの中で「認知的不協和」と呼ばれるものが起きります。

イソップ物語の「キツネとブドウ」の話を知っている人もいると思いますが、簡単に言えば人は自分の信じている事と現実が食い違うと不快になります。
この不快感を取り除くためにいろんな努力をしてしまうことを指しています。

なんだかちょっとわかり辛いですよね。

たとえば、イソップ物語で言えば「あのブドウ食べたいな」と思ったキツネがブドウを取ろうと手を伸ばします。
しかしどうやってもブドウを手にすることができません。
そこでキツネはこう考えました。

「あのブドウは酸っぱいに決まっている。取れなくてよかった」と。

このブドウを食べたい、でも食べれないという状況は認知的不協和にあたります。
食べてもいないのに「ブドウは酸っぱい」と決めつけることでそれを獲得できなかった現実に折り合いをつけているわけですね。

先ほどの話で言えば、集団の価値観と自分の価値観がぶつかったとき「これはおかしい!」と思いつつ、逆らえない現状があるために「従うしかない」と反発心を引っ込めている状態です。
そしてその時に私たちは自分の気持ちにどうにかして折り合いをつけています。
「世の中そんなもんだ」と思ったり、「規則だから仕方がない」と考えたりします。

しかし、先ほども言ったようにこうやって自分の気持ちに「嘘」をつき続けることはよくありません。
「悔しい」という気持ちや、「これっておかしくない?」という疑問から目を逸らし続けることで私たちのメンタルは蝕まれていくようです。


【嘘から出たもの】

人間は「認知的不協和」が起こった時、違和感のズレを直すためのパターンを二つ持っていると言います。
一つは行動を変えることで、もう一つは正当化することです。

行動を変えるというのは仕事などで思うような結果が出せなかった場合、業務のやり方を変えてみたり、新しいスキルを身につけたりして上手くいっていない事に対処します。
納得がいかないルールがあれば上司に改善を求めたり、転職したりすることもあるでしょう。

一方、正当化はさっきのキツネのように「ブドウが取れない」ことを正当化します。
スポーツなどで結果が出せなかった場合、本当は「悔しい!」という気持ちがあるのに、結果が伴わなかったために「こんなことを上手くなっても大して稼げない」なんて考えてしまうかもしれません。

ただ、時にはこうやって自分の気持ちにウソをついてしまうこともありますよね。
起こった事をすべて前向きに捉えられる人はそうはいません。
(※研究によれば正当化の方が起こりやすいと言われています。)


しかし、この正当化を重ねて行くことで私たちの考え方や行動にも変化が出てきます。


社会心理学者のレオン・フェスティンガーが行なった実験に「お金をもらって嘘をつくと何が起こるのか」を調査したものがあります。

被験者の大学生は長い時間とても退屈な実験に参加したあと、次の参加者に「実験が楽しくて興奮した!」とウソの感想を言うように指示されます。
その報酬として1ドルまたは20ドルが与えられました。

その後、被験者の学生に本音を聞いたところ対照群(報酬を与えられなかった被験者)と20ドルを与えられた被験者は「つまらなかった」と答えたそうです。

まあ、正直な感想を聞かれればそれを答えそうな気もしますよね。


ただ、1ドルをもらった学生は違ったんです。

この学生たちだけはこの実験に対して概ね「好意的な意見」が多かったんです。

なぜこんな違いが現れたのか?

フェスティンガーによれば、「20ドルをもらった被験者はその報酬のために嘘をついたのだと自分を納得させやすい」と言います。
しかし、1ドルしか貰えなかった被験者は自分のウソを正当化する材料がたりません。
そこで認知的不協和が起き、これを埋め合わせるために自分の意見を変えたと考えられています。

つまり、心の奥底では「つまらなかった」と思いながらも、自分がついたウソを反映させる形で現実を再調整しています。

本当は「今の会社を死ぬほど辞めたい!」と思っているのに「給料が良いから」、「どこの職場も似たようなものだろう」と自分の「辛い!」という気持ちに蓋をしてしまう人などいないでしょうか?

人は自分にも他人にも一貫性を求めることがあります。

たとえば、周りの反対を押し切って就職などした場合、精神を病んでしまうほど辛くても「自分が決めたことだから」と自分の行動を制限してしまうことがあります。
でも精神が蝕まれるほど環境が合っていないのなら、周りの反応など気にせず転職を考えたほうがいいですよね。

ただ、親や友人に「ほら、言った通りになった!」とか「私が言った通りにしないから」なんて言われるのを避けたいと考える人もいるかもしれません。
周りの反応を気にしてなかなか本音が言えない人は「認知的不協和」の中にいます。

もちろん「他人の意見など聞かなくていい」と言っているわけではありません。
あくまで「私は自分の気持ちを偽っているのか?」と考えることが重要です。


【私は嘘つき?】

心理学者トーマス・ギロビッチによれば、自分のウソを信じ込んで個人の考えを偽ってしまうことで、相手に見透かされているような感覚が付きまとうようになると言います。

これを「透明性の錯覚」と呼んでいます。

この感覚に陥った人は、実態以上に自分が嘘つきであるかのように感じるそうです。

あなたもプレゼントをもらったときに「気に入ったふりをする」といった経験がありませんか?
相手を傷つけないように気を遣ってしまうこともありますよね。

ただ、このような小さなウソをいくつも重ねることで段々相手にバレるのではないかと心配になるそうです。
そして、その心配があなたの選択肢を変えてしまうことがあります。

たとえば、あるグループに居続けるためにウソを繰り返したとします。
そのとき「認知的不協和」が起き、「自分は賛成している」という幻想を抱き本心を裏切り続けることになります。

そしてそのグループへの忠誠心を疑われないようにするために、内心では反対なのにグループの考え方を熱心に実践してしまうことがあります。
しかし、その集団に所属するために個人の規範を犠牲にすることで、気づかないうちに自尊心がすり減り、体調を崩すことにもつながります。

ひょっとすると、あなたと同じように今のやり方に疑問を感じている人が他にもいるかもしれませんよね。
そのとき自分を偽ってまでその集団に所属しようとすると、変化を起こすための芽を潰してしまうかもしれません。
さらには意見の合わないその集団の片棒を担ぐことにもつながります。

そうならない為にも、あなたの中にある「違和感」を大切にしてくださいね。



今回はここまで

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最後までお読みいただきありがとうございます。

それではまた次回お会いしましょう。

※この記事は読んだ本をもとに考察し、私の経験したことなども踏まえて書いています。
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