娘と会った日のこと

1年半ぶりに娘に会ったときのことは、今でも鮮明に覚えている。娘が「パパ……」と言って走って抱きついてきた。僕の存在などとっくに忘れているだろうと思っていたので、僕はただただうれしかった。この1年半の間、とても苦しかった思いが霧散していくようだった。

そのときの娘は4歳になるちょっと前で、彼女がいなくなった2歳半のときとは違い、ちゃんと会話が成立した。スマホのカメラを向けるとピースもした。

公園で遊び、美術館に行って、その後マクドナルドでご飯を食べた。そして、別れ際に娘は「パパ好き」と言った。離れたくないと少し駄々をこねていた。僕も同じ気持ちだった。

別れたあと、どっと悲しみが押し寄せてきた。離婚協議書には「3ヶ月に1度の面会」と記載されていたので、死ぬまでにあと何回会えるんだろうと思ったからだ。これは心の空白を埋めたいという自分勝手な気持ちなんだとは思う。

それでも、娘を大切にしていきたいという気持ちは確かなので、彼女が大学を卒業するまで、金銭的な面も含め、父親としての役割をまっとうできたらと思う。

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