セラピスト、ヒーラー、教育者など…対人支援者の大前提

スピリチュアルヒーリングをしている人や、コーチングをしている人など、対人支援関係を職としている人は多いが、そういう人たちの中で良く聞く言葉がある。

「私のセッションでクライアントが変わることができた、と言われる」というような類。

もちろん、クライアントさんに紹介する意味で、必要なことではあるし、私もそう言っていただく場合はWebsiteに掲載させていただくこともある。

ただ、それと同時に、
「私のセッションでクライアントさん自身が変化を”実感”する」ことを、
売りにしておられる対人支援者さんがいる。

また、それを売りにしている場合でもしていない場合でも、
「クライアントさん自身がセッション効果や変化や成長を実感してくれること」を必要だと思っていたり目的(のひとつ)としていたり、それがなければならないと思って(いつの間にか自分に課してしまっているような状態で、そして自分自身もそれに気付かない状態で)いたりする対人支援者さんがいる。

かくいう私もその時期があった。
私の場合は、そうでなければと思っていたわけではないが、しかし、クライアントさんご自身の実感がなければ、社会的にまずいのでは、セラピストとして「いけない」のでは、という感覚を持っていたことがあった。
特に私の場合はエリクソン的な手法の割合が大きく、本人が顕在意識では気付かないうちにどんどんいつの間にか生きやすくなっていく、という部分が大きかったから、尚更なのかもしれない。
天才心理療法家と謳われたミルトン・エリクソン氏も、同業者からもクライアントからも実際批判も多かったのだから。

しかし、同時に言えるのは、
クライアントさんが顕在意識領域で自分自身の変容や成長を実感できてしまう程度のセッションは、長期的に見て、結局自分の奥底の魔法陣にまたとっ掴まる可能性が高く、更には、セラピストも成長しない、ということだ。

本当の成長というのは、潜在意識で起こる。
そして、潜在意識で起こっていることというのは、顕在意識は自覚することができないものである。
あなたは、幼い頃、初めて首が坐った、初めてハイハイした、初めて立ち上がった時のこと、初めてミルクではなく離乳食、固形食にうつった時のこと、自覚しているだろうか。
親は、子どものとんでもない成長を涙と感動と共に見守ったことだろう。が、本人は自覚していないものなのである。

そして、親子関係での子どもとて、親に自分の成長を感謝できるようになるのはよっぽど育ち切って独り立ちして大人になってからである。

一流のカウンセラーは、クライアントが「このカウンセラー(セラピスト)は何の役にも立たなかった。自分で結局気付いて自分で成長した」と思われるカウンセラーである、と言う。
元々この言葉には、聞いた時から深く感じ染み入っていたのだが、年数が経って、経つほどに、どんどんこの言葉の奥深さを知ることとなっている。

本当の学習、本当の成長は、潜在意識によって起こる。
セラピストからは、クライアントの成長がよくよく見えている。
だから、セラピストとしては、ある意味、悔しい。
セラピストである自分のアプローチのおかげでこうなったのに…などという悔しさではなく、クライアントさん自身がこのご自身の成長に気付くことができたら、とんでもなく大きな成功体験として本人感じることができるだろうに、という悔しさとでもいおうか…。

もちろん、成長・変容の一部はクライアントさん自身も気付いている場合もあるし、セラピストのおかげだと言って下さる場合も実質、多い。
が、
「確かにそこも成長したけれども、あなたが本当に成長したのは…」と言える、言いたくなる、一番大きなところに、本人が気付いていない。

セラピストが役に立たなかったと思われることは、それ自体、クライアントさんの自立、自信を支え育てることでもあると感じる。
そうでなくとも、クライアントさんは自分の中でいつの間にか、まるで地殻変動のようにどんどん変容していったがあまりにいつの間にかの変化過ぎて自分では気づかない。一番大きなところ、もし気付いたらものすごい成功体験、ものすごい自信になることであろうに、気付かないのだから、だからその分、セラピストは役に立たなかった、自分で解決してしまった、と思うところで成長・変容の自覚とすることができたなら、それこそセラピー効果があった、セラピスト冥利というものでもあるかもしれない。


「セラピストのおかげで変われた、成長できた」などと、思われなくても良いのである。そう思われようとパフォーマンスしなくても、大丈夫。
なぜなら、クライアントさんご自身が、いつの間にかであれ、「生きやすくなっている」「問題を解消している」「自由を得ている」「自分の人生の手綱を自分で握ることができるようになっている」ことこそが、証明であり、そうなりさえすれば良い、目的はそこなのだから。

クライアントさんにそう感じてもらわねばならないなどとがんばると、そんなところに囚われると、頭打ちのセラピーしかできなくなる。
クライアントの成長は彼ら自身が自覚できなくとも、セラピストには見える。セラピストさんは、セラピストさんの仕事を、ちゃんとしているから、大丈夫。


同時に、あなたのおかげで、と言って欲しい(あるいは”言って欲しくない”)対人支援者は、まずは自分の中にあるあなた自身の問題や苦しさを整理し解消する必要がある。

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