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「透過性のある箔を贅沢に使用する」

こんにちは。現場の前田です。

今回ご紹介するのは、光栄なことに今回で6回目のご依頼となる KASUGAMARU 宮前 陽(みやまえ あきら)さまがデザインされた 「 東京造形大学 メディアデザイン専攻領域 」 のパンフレット表紙への箔押し加工です。 今年は透明色系の箔をがっつり贅沢に使用しております!


宮前さまからは、「 透明箔の色味はお任せで! 」 とのことでした。箔押しを乗せる土台となるパンフレットの印刷色 シルバーとブルーの表紙の色との相性を意識しながら、コスモテックでセレクトさせていただいた箔の種類は5種類です!

◉ いろいろある透明色系の箔

加工で使用した透明色系の箔5種類は、イエロー、ブルー、グリーン、クリア、ブロンズです。今回はすべてドイツの箔メーカー KURZ(クルツ)社の箔を選ばせていただきました。

イエロー、ブルー、グリーンはパキッと硬質なグロス感が印象的で、各色の鮮やかな発色がインパクト大です。

半透明の黄色箔( イエロー )
半透明の青色箔( ブルー )
半透明の緑色箔( グリーン )


クリア(無色)はパッと見た感じでは箔を使用していない型押し加工のようにも見えますが、見る角度によって絶妙な箔色の変化が見られ、箔押しした図案がふわっと目に飛び込んできます。

箔が押され、つやつやになりつつ、
圧されることで生まれるレイヤー感も魅力の一つ


国内の箔メーカーの透明箔とはまた違った光沢感が魅力的です。

◉ 半透明の金箔??

半透明の金色箔( ブロンズ )


そして特にめずらしいのは、ブロンズ色の透明箔ではないでしょうか!
色の名前は 「 ブロンズ 」 ですが、どちらかというと金色に近い発色に感じます。通常のキラキラとしたメタリック調の金色ではなく、どこか渋みのある落ち着いた色合いの金色です。

印刷されたグラフィックがブロンズ箔を押した部分の上からも視認できる


そして、さらに透過性が備わっているという、なかなかお目にかかることがない不思議な色合いの箔なのです。表紙に押されたくすんだ金色の箔の下に印刷された図案が透けて見えています。 お客さまからは 「 半透明の金箔 」 と表現されることがあります。

今回の箔押し加工で使用した金属製の版は一版のみです。

今回箔押し加工で使用した金属版がこちら


5種類の箔を押し分けることで、5パターンの箔押し表紙を作り上げました。箔色を変えるだけで目に飛び込んでくる印象がガラリと変化するのも今作のポイントの一つといえます。

5種類の箔を使用し、おもて表紙の全面にわたり箔押し加工しております。箔押し加工の面積はだいたいA4サイズです。

A4(210×297) サイズ の箔押し
ベタ部分にしっかりと箔定着するよう具合出しに時間をかけている


面積が大きいため、箔をしっかりのせながら透過具合をうまく表現できるように、箔押し加工に取りかかる前の調整にはたっぷり時間をかけておこなっています。

しっかり圧をかけて押しているため、箔を押した部分は指で触ると若干凹んでいることがわかります。1枚の紙で箔押し加工ならではの凸凹の立体感も感じることができます。

◉ 印刷物にレイヤー感を出す

透明色系の箔は金、銀を代表とするメタリック箔のような金属的な光沢感はありませんが、独特のつやつや感が美しい箔です。

土台の印刷色の青と半透明の青色箔の組み合わせ


また、一番の特徴である透過性は、今回お手伝いさせていただいたパンフレットのように土台となる印刷物の色味と組み合わせると見え方がそれぞれ異なりおもしろい仕上がりとなります。

『 印刷 × 透明色系 の箔 』 との組み合わせによって透過性を活かすと、印刷物を隠蔽する性質のあるメタリック箔や顔料箔とは一味違う魅力的な表現も目指すことができるのです! 


箔の種類はメジャーな金や銀の色味だけでなく、透明箔や顔料箔、ホログラム箔など種類も豊富にありますが、今回はその中でもなかなか目新しい箔を使用しています。 皆さま、是非 「 東京造形大学 メディアデザイン専攻領域 」 のパンフレットを通して、箔押し加工による表現の魅力をより感じていただけたら嬉しいです。

宮前さま、今回も挑戦的な加工のお手伝いをさせていただき、ありがとうございました!

デザインデータ上
ゴールドで表現されている部分が箔押し箇所

◉ デザイナー 宮前 陽さまからコメント
東京造形大学メディアデザイン専攻領域 パンフレット

シルバー・ブルー貴重のオフセット印刷の土台にデジタル画面比率 16:9 を元に作成したMD( MEDIA DESIGN )のタイポグラフィ( 箔 )を施しました。

メディアデザイン専攻では動的なコンテンツを扱うことが多いことから動きのあるグラフィックを作成し、メディアデザインっぽさを印刷で表現しました。

- Credit -
Client : 東京造形大学メディアデザイン専攻領域
Design : 宮前 陽( KASUGAMARU )
Processing : Cosmotech Inc.

◉ コスモテック 青木からコメント
KASUGAMARU 宮前 陽さまがデザインされた 「 東京造形大学 メディアデザイン専攻領域 」 の表紙への箔押し加工は今年を合わせると6回目となります( 2015、2017-2020、2023年 )。

宮前さまより最初にデザインを拝見させていただく時、前衛的な図案とその加工内容に毎回圧倒されるのですが、「 よし、挑戦あるのみ! 」 と気持ちを奮い立たせて長きにわたり加工で挑ませていただいております。

今回は 「 透過性のある箔を数種類使用して、箔押し加工。箔色はコスモテックにお任せします! 」 とのことでした。

上は透過性のある黄色の箔  下は透過性のある青色の箔


箔色を完全にお任せいただけるということは普段の仕事ではめったにあることではありません。宮前さまとの長年にかけてのやりとりから生まれた信頼関係と阿吽の呼吸のようなものを感じることができ、とても嬉しい気持ちと同時に快いプレッシャーも感じずにはいられません。

透過性のある箔は土台となるシルバー、ブルーの印刷色を意識しながら選ばせていただきました。箔を押すことによって生まれるレイヤー感を想像し、コスモテックにとってもちょっぴりチャレンジとなる箔色の選定、展開をさせていただきました。

下記のリンク 上( 2019年)・下( 2020年 )
デザインは KASUGAMARU 宮前 陽さまによるもの


【 箔押し加工 】

有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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