コスモテックの青木です。

書籍 「 アホウドリの糞でできた国 」（ アスペクト ）の著者である、ライターの古田靖さんが2022年7月逝去されました。僕個人としても、そしてコスモテックとしても、長きにわたり古田さんには大変お世話になりました。心よりご冥福をお祈りいたします。

今のコスモテックを語る上で、古田靖さんとの出会いは欠かせないものでした。

○ 出会いは突然でした

コスモテックが今日のようにメディアや書籍に取り上げていただくようになるずっと前の話です。僕がコスモテックに入社してすぐの頃、コスモテックはまだ大手印刷会社の下請け仕事がメインで、今は亡き 箔押しの匠 佐藤勇の指示のもと、右も左もわからないまま僕が加工所や印刷会社へのおつかいをやっていた時期があります。

慣れない仕事に毎日ヘトヘトで、営業車を走らせながらAMラジオを聴くのが唯一の息抜きでした。その日もたまたまラジオをつけていると突然耳に飛び込んできたのが 「 アホウドリの糞でできた国 」 の話でした。その日はライターの古田靖さんが出演されていた回だったのです（ 文化放送 「 吉田照美のやる気MANMAN! 」 2005年3月2日 ）

今から約17年前のことです。

古田さんのお話に聴き入りながら 「 この世界には、かなり変わった国があるもんだ！ 」 と新しい発見に僕は胸を躍らせたのでした。

○ 古田さんのブログを見つけた！

僕はラジオを聴いた後、穏やかな口調で楽しくお話しされていた古田さんや、とてもユニークな 「 アホウドリの糞でできた国 」 が無性に気になっていました。

すぐにインターネット検索で古田さんが運営されているブログ 『 適宜更新 フリーライター古田の日々あれこれ。 』 を探し当て、勢いのまま書き込みをし、「 アホウドリの糞でできた国 」 を買うため本屋へ立ち寄ったことをハッキリと覚えています。

適宜更新 フリーライター古田の日々あれこれ。

今のようにSNS全盛の時代ではなく、ブログがメインの時代。
今思い出すと、ラジオを聴いた興奮のまま突然の書き込みをした僕自身が青臭く恥ずかしくなってしまいますが、古田さんはこんな得体の知れない若造に対してもやさしく書き込みの返事を返してくれ、僕は本当にうれしく思ったものでした。

○ 古田さんがくれたチャンス

それから何度か古田さんとメールでやりとりする機会をいただきました。直接古田さんとお会いすることができたのは、古田さんがコスモテックに興味を持ち、主催・企画してくださったコスモテックの工場見学会でのことです。

2006年 古田靖さん主催 コスモテック工場見学会

憧れの古田さんご本人とお会いすることもドキドキものでしたが、当時工場見学会ともほぼ無縁だったコスモテックでの新しい試みに非常に緊張したことを覚えています。

古田さんは、お知り合いのデザイナー・イラストレーター、編集者の方などをコスモテックに連れてきて下さいました。皆さんに実際の加工の様子を見ていただき、皆さんとたくさんお話をして、とても楽しい時間を過ごしました。

2011年には規模が拡大　参加者 総勢14名様の工場見学会を実施
動画撮影は工場見学会 参加者の かめつるさん

今のコスモテックでは加工の立ち会いや工場見学会などをごく普通に行っておりますが、このように開かれた加工所に進化するきっかけを作ってくださったのは、実は古田さんだったのです。

○ 古田さんのパチカ名刺

古田さんと出会ってしばらくしてから、コスモテックでは古田さんのお名刺作りをお手伝いさせていただきました。半透明化する特殊紙パチカにアホウドリのイラストを押した名刺です。

2005年から2022年に至るまでご愛用いただきました。
一度作るとすべて配り終わるまで古田さんからの連絡はないのですが、忘れた頃に「 青木さん、パチカの名刺なくなっちゃったから、またお願いしたいんだ 」 と古田さんからご依頼をいただくというのが、僕は楽しみで仕方なかったのです。パチカの名刺を本当に気に入って使ってくださっているのがよく分かりました。

コスモテックが特殊紙パチカの加工に挑戦し始めたばかりの頃、真っ先に 「 これ面白い！ 」 と興味を持ってご自身の名刺に採用してくださったのが古田さんでした。

コスモテックではパチカの名刺作成キャンペーンを2012年に立ち上げ、2022年の今日までに22回開催するに至っています。

それは、その当時古田さんが 「 面白い！ 」 と喜んでくださったことがキッカケにもなっており、回を重ね、年数を積み上げるごとに、その輪が広がってきているという手応えが僕の中にはあります。

2006年 古田さんからいただいた貴重なコメント

なんだか配るのが楽しみで、わくわくします。
名刺を見せるためだけに、出歩いちゃいそう。コスモテックさん、本当にありがとうございました。（ 実はこの名刺、１枚ずつ型押しされたらしいのですよ。わお。 ）

いやあ、こうやって現場をみてしまうと、名刺１枚だって、おろそかにはできないなあと改めて痛感しました。

これからもカッコイイお仕事、ぜひ、続けてください。

○ 古田さん、ありがとうございました

今から17年前、偶然聴いたラジオからはじまった古田さんとの縁。
僕にとって思い入れのある出来事であり、すばらしい時間でした。

あの時、勇気を出して、古田さんのブログに書き込みして良かったと思います。たくさんのチャンスを、たくさんの出会いを与えてくださったこと、本当に感謝しております。ありがとうございました。

今後もコスモテックではパチカ名刺のキャンペーンを継続し、技術を繋いで参ります。どうか虹の橋の向こうから見守っていてくださいね。