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キビシイ世の中、企業はどんな対策を?「中小企業白書・小規模企業白書」

中小企業庁は2023年4月28日、
2023年版「中小企業白書・小規模企業白書」を公表しました。

今回はその中の「2023年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要」をざっくりと読み解きます。


「中小企業・小規模事業者は引き続き厳しいから、価値を創出して成長しよう」

強引にまとめると、そんなメッセージを受け取れました。
では事業を行なうわたしたちは、どうしたら良いのでしょうか。

2つのキーワード

まず成長の実現には、
「戦略」
「経営者」
が重要だそうです。
詳しく見てみました。

1)成長のための「戦略」
 とにかく差別化」が重要で、差別化に必要なのはこの3つ。
 ・特徴ある顧客・ニーズ等の設定
 ・価値創出を継続
 ・試行錯誤


2)成長のための「経営者」の行動
  
経営者自ら多方面への積極的な働きかけが必要そうです。
 ・戦略の構想・実行に携わる
 ・経営力の向上と成長を支えるプレーヤーとなる
 ・経営者仲間と積極的に交流する
 ・企業同士の成長意欲を喚起する
 ・先代経営者は、後継者の新しい挑戦を促して経営を任せる

つまり、「事業を自分ごとと捉え、戦略のもと試行錯誤しなさい」と聞こえますね。その「戦略」で価値創出するために重要なのは、「人材」と「資金」の確保だそうです。

1)「人材」の獲得:人材戦略を立てる
2)「資金」の獲得:成長に向けて経営・事業面の様々な支援が受けられる、株主資本増加の資金調達(=エクイティ・ファイナンス)が重要。そのためにはガバナンスの構築・強化等が重要。


中小企業と小規模事業者の役割

あなたはどっち?

中小企業と小規模事業者で
それぞれ役割が分かれていました。

▼中小企業に期待されること
・競合他社が提供できない価値の創出
・価格決定力を持ち、持続的に利益を生み出す
▼小規模事業者に期待されること
・支援組織や自治体のサポートを得る
・地域の持続的発展を担う

わたしは小規模事業者なので「地域の持続発展を担うため、自治体と連携する」のを求められているようです。皆様はいかがでしょうか?

そしてこれらを実現するためには、3つの循環が重要とのことです。

▼3つの循環
1)国内投資の拡大

2)イノベーションの加速
  GXやDXなどで「構造変化」を新しい挑戦をする
3)賃上げ&所得の向上
 ・物価高騰などの価格転嫁を取引慣行として定着
 ・生産性向上

とは言え、3つの循環実現には準備が必要で、目の前には課題が色々あります。目前の課題を解決するため、多くの企業はどんな取り組みをしてるのでしょうか。

1.値上げしている

どんな理由で?
・輸入物価上昇を起点としたコスト上昇圧力を
・販売価格に転嫁する動きが高まっている
交渉材料は?
・業種別の価格転嫁率
・発注側事業者ごとの交渉・転嫁状況リスト

2.デジタル化に経営者が寄与してる

デジタル化の取り組みは増えています。
2019年時点 :17.3%
2025年見込み:58.4%

まとめると、多くの企業はIT導入でコスト削減し、物価高騰による値上げを行なっています。

私も権利関係に触れない部分でAIを活用したり、システム利用の値上げによるお見積り料金の値上げもお願いさせていただいています。


地域解決する小規模事業者、増加中

前述したように「小規模事業者」は地域の持続的発展に重要な役割とされています。自治体のニーズも高まり、80%以上が地域の持続的発展に取り組む事業者に期待しています。

成長する小規模事業者はどんなことをしている?

ニーズの高まりを受け、地域解決する小規模事業者はどんな取り組みをしているのでしょうか?

・事業の社会的意義を検討&発信してる
・複数の地域に展開した取り組みをしている
・資金調達をしている

「社会的意義を発信」は興味深いですね。これは世界的流れにもなっていますよね。また「パーパス経営」という言葉が日本でも数年前に普及したように、利益追求だけではなく社会や地域へどんな貢献をするか__などの”志”の発信が重要になっています。
これが、自治体や地域の方々の心にも響くのかもしれませんね。

しかしそれだけでうまく行かないのが現実。自治体と連携し成長するために、どんな事に気を配ったら良いのでしょうか。

「連携」成功に導くために

”両者の課題のギャップと不満を解消する組織・団体”が超大事、とのことです。あるあるですが、事業者なら事業者の、自治体なら自治体の都合と前提があるものです。

事業者の本音:自治体は意思決定が遅く予算等の制約がある…
自治体の本音:
事業者は地域課題を理解していない…

初期段階でお互いの立場や役割の共有がいかに大切かを物語っています。私の経験でも、”尊重し合うこと””お互いの前提条件をシェアすること””無理をしないこと”が最重要に思います。


「キビシイからコレやった」選手権

冒頭に書いた悲しい現実「中小企業・小規模事業者は引き続き厳しい」中でも、それぞれが試行錯誤してきました。日本企業が取り組んできた工夫を4カテゴリに分けてざっくりとしご紹介します。
結論としては、とにかくこれまでの業務形態を見直しつつ環境負荷への対策を行なってきたようです。

1.物価高騰だからコレやったTOP3

23.8%:既存製品/サービスを値上げした
22.3%:人件費以外を経費削減した
20.8%:業務効率改善して収益力が上がった

2.人材確保のためにコレやった3つ

▼省力化投資による生産性向上をやった
3位:業務プロセスを見直して、効率化
4位:社員の能力開発で生産性向上
5位:設備投資(IT含む)で生産性向上と生産能力拡大
「生産性向上」以外には、会社の魅力向上に取り組んだ
・給与アップ(取組企業増加中)
・職場環境の改善・柔軟な働き方を実現
・兼業副業人材を受け入れた

3.GXを活かしてコレに取り組んだ

・投資した
・イノベーションを促進した
・事業方針の優先度を高めた

GX=グリーントランスフォーメーション。化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動

 参考:環境庁「60秒早わかり解説」https://journal.meti.go.jp/p/25136/

4.サーキュラーエコノミーで社会貢献
サーキュラーエコノミーへの転換で、
・資源制約
・環境制約
・成長機会
で社会経済に貢献した。

サーキュラーエコノミー=循環経済。
従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すもの

参考:環境庁「令和3年版環境・循環型社会・生物多様性白書」
 https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r03/html/hj21010202.html

成長企業からヒントをもらおう

試行錯誤しカイゼンして成功している企業は、何をしているかを4カテゴリにざっくりとまとめました。

特に目を突いたのは「2.競合他社の少ない市場で事業展開してる」です。つまり競合がいない市場を探したほうが成功しやすいということです。ブランディング視点で見ても、安さ競争に巻き込まれない商品・サービスで戦略を立て、自らパーパスを発信して社会に貢献しようとしている姿は光るものがあります。

データで見てみましょう。

1.イノベーションしてる
メリット:価値を生み出して差別化に成功している
 競合との差別化  :58.2%
 販路拡大(国内外):49.5%

2.競合他社の少ない市場で事業展開してる
メリット:付加価値額増加率が向上する
競合他社が多い市場 :38.1%
競合他社が少ない市場:43.7%

3.知的財産を保有してる
メリット:成長率が高くなる
 特許を保有する企業:14.7%が成長
 商標を保有する企業:12.2%が成長

4.海外展開してる
メリット:生産性と売上が高くなる
 輸出実施企業の労働生産性:高い
 海外展開実施の売上貢献度:高い
 ※注※ 海外展開するときは政府・関係機関の支援を活用すること


ニュース!インバウンドが増加中

どこへ行っても今は外国人が本当に多いですよね。また戦略を持つ観光地もどんどんラグジュアリーな料金形態に切り替えています。徳島県の阿波おどりが高額VIP席を設けたのもその一例です。
また特に観光地では英語が話せないと仕事にならなくなってるのをひしひしと感じます。いよいよですね。

データで見ると、
コロナが来る前の2019年と比べたら2023年は1,475,300人ほどの観光客が戻ってきています(2019年に比べて56.6%が増加)

宿泊数も2021年は2020年と比べて-4.2%減少しましたが、2022年は2020年と比べて36.9%増えています。


私のアクション!

私は小規模事業者です。
この資料に合わせるならば、まずは”「戦略」を練るための調査”がいまの私のアクションとなるかもしれません(このnoteはそのために使っていたりもします)。

ブランディング技術やデザイン制作が一般化し誰もが自身で取り組めるようになった中で、最も強い信頼を与えるものは「商品力」だと改めて感じています。セオリー的にも、自分自身の経験としてもです。その商品へ向き合う姿勢こそ、パーパスの根源であり、人を虜にさせる灯火になります。
それがサービスであれ、日用品であれ、娯楽、芸術、なんでもです。

AIが猛威を振るう中、人間に残されるのは好奇心や使命感からくる行動や姿勢だけのような気もしています。
そんな事を考えた資料でした。

皆様の事業の根幹にある「虜」の火種は、なんですか?


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それではまた。
お相手は、”小さな虜”をたいせつにデザインする
株式会社コトリコ江藤でした!


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