メシを食うためにカラシニコフのトリガーを引く
中央アジア某国。
内戦から20年。いまは食糧強奪のために人々を襲わないで済むようになった。
俺の体を作った食糧は何人の命から成立しているか?
小屋から見える田んぼを眺めて思った。この田んぼはどこかの国から来た外人が作ってくれた。
その時に外人の指導者から「もう、人殺しはやめろ」と言われ、田んぼの開拓へ参加した。
青々とした田んぼだ。ここの米を首都に売り、そのあまりだけでもいまは暮らしていける。
1993年。国内は内乱が起こっていた。もともと、異なる宗教を信仰する民族で成立していた国で部族間の争いがあった。
そこに冷戦が崩壊して政権はソ連の後ろ盾を失い、民族間で政権争いが起こった。国連は和平を試みたが成功しなかった。
俺は一番、暴力的な一派に属していた。カラシニコフの撃ち方を覚えた時期は覚えていない。
物心をついた時には大人に混じって、食料を略奪するためにカラシニコフのトリガーを引いていた。
今も夢で見る。悪夢だった。
部族間で和平が結ばれ、そして、俺は学校にはじめて通い文字の読み書きができるようになった。
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