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出すこと

印象に残っていることばの中で、折に触れて思い出すのが、
「出すことって気持ちよいんだよ」。
これはまったく下ネタでなくて、
ざっくり言うと、年上の女性が、産後の母乳について言っていたことだ。

そのときはたぶん、そうなのか、と思っただけだったと思うが、
最近になって、あらゆることに当てはまるな、と思うようになった。
愛情や、気持ち(優しさや誠実さ)、言葉、お金…考えれば、たぶんまだまだあるのだろう。
先に出す人がいるから、循環が生まれ、分かち合いが生まれ、気持ちよく流れて回る。
ネガティブなことも然り。
だからこそ、先を意識して出そう、と思っている。

私は、言葉が商品となる仕事をしている。
一方で、プライベートでは、まだちょっと言葉に苦手意識がある。
仕事の場合にはある、共通の、明確な目的・目標が、プライベートではないからだ。自由なお題だから。

苦手意識は、独特の視点を持っているらしいこと(そもそも同じ視点を持つ人なんていないと思うのだけど)、表現の仕方も独特らしいということ、物事や人の本質を瞬時にとらえるのが得意ということ、そもそもの口の悪さに起因する。あと、文転なので、感覚的なワードと理屈(・理論)が入り交じって、聞いている側を混乱させることもあるらしい。(ごめん。。。)

自覚する前は、さらりと本質をついて地雷を踏むとか、会話中のニュアンス(表現)が相手とうっかり異なったりとか、誤解を招いたりとかしていた。
それがちょっとした傷になり、言葉を慎重に選ぶようになって、もう話すことそのものがいやになったりもした。

だけど、出さないと、自分の中にどんどん湧いてくる思いや考えが、出口なく自分の中でぐるぐると回るだけになる。
そして、いざ思いや考えを言葉にして出すときには、ほんとうに整理がつかなくなっている。もう何をチョイスしてよいのかわからなくなって、自分の思いや考えがほんとうに言った言葉のとおりだったのか、それすらわからなくなっているのだ。
で、整理しながら話そうとしても、そもそも思いや考えに若干疑いを持っているのだから、何を軸にしてよいかわからない。整理がつかないどころか、何について言いたかったのか、そもそもほんとうにそれが言いたかったのかすら、わからなくなる。

だったら、出して(話して)循環させた方が楽だ。
そう思うことが増えたときに「出すことって気持ちよいんだよ」という言葉を思い出した。
ほんとうに、まさに、そう。

とは言え、自由なお題のときには、自分の本当に伝えたいことを相手が正確にとらえてくれますように、と図って、ついつい長文になるのだけど。それか、ポイントだけの超短文になるか。
出し方も、日々練習ですね。がんばろう。

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