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【音楽×珈琲 鑑賞録】12月18日~フレデリック・ショパン 『スケルツォ(全4曲)』

音楽観を鍛える鑑賞録。
エンディングまであと【14日】
12月18日のテーマは、【ジャンル】

とりあげる作品は、
フレデリック・ショパン /
『スケルツォ(全4曲)』

です。

フレデリック・フランソワ・ショパン
フランス語: Frédéric François Chopin
ポーランド語:Fryderyk Franciszek Chopin
1810年3月1日(2月22日、1809年3月1日などの説あり) - 1849年10月17日
ポーランドの前期ロマン派音楽を代表する作曲家

スケルツォ第1番ロ短調 作品20は、1833年に作曲、1835年に出版。
冒頭のBmから激しい感情が溢れ、怒涛の演奏が聴きごたえあります。
背景には祖国ポーランドでのロシアからの圧制に反する蜂起が失敗したことがあります。
この作品がショパンにおけるスケルツォの意味合いを決定づけているような気がしました。

スケルツォ第2番変ロ短調 作品31は、1837年に作曲、同年出版。
ショパンのスケルツォ作品としてはもっとも有名で、美しい部分と激しい部分、バランスの良い混在感が素晴らしく、まさにショパン作品らしいロマンチックで聴くものを虜にする音楽です。

スケルツォ第3番嬰ハ短調 作品39は、1839年に作曲。
この作品は4連符が置かれていて、拍子がよく分からなくなったり、調性も曖昧で演奏の難易度も高いものですが、聴くものにとっても難解な作品です。
そのぶん想像力がはたらき、音楽に感情が包み込まれるような感覚のある幻想的な作品。コーダで怒涛の展開にのまれ、帰結のC#で絶頂になる締め方はさすがの一言です。

スケルツォ第4番ホ長調 作品54は、1842年に作曲、翌年出版。
スケルツォ最後の1曲もまた難しい作品ですが、作曲者の感情的な部分は他3作に比べてポジティブに聴こえてきます。
それにしてもこういった作品を弾き切る音楽家がちらほらいるというのだから人間の違いに驚かされるというものです。

今回は作品を「スケルツォ」にくくり、ショパンのスケルツォ全4曲を一気に聴いてみました。
「スケルツォ」(scherzo)は、イタリア語で「冗談」を意味していて、語源的には「ふざけた音楽」、日本語では「諧謔曲」となりますが、ハイドンが室内楽にしたのを皮切りに、ベートーヴェンが交響曲の第3楽章、速いテンポの3拍子にこの名称を置くようにすると、インスピレーションを受けた音楽家たちが各々の定義で「スケルツォ」と命名するようになります。
なかでも、ショパンは3拍子の速いテンポに深刻な曲調という独自性を加え、ショパンならではのスケルツォを築き、いまや冗談はどこへといった感じに気迫のある作品がスケルツォをイメージさせています。

先達の解釈を踏まえ、自分自身のオリジナルに昇華できるよう、技術だけではなく人間力も磨いていきたいものですね。

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