見出し画像

2023年6月20日、伊勢志摩に一件のホテルが誕生します。

覚田真珠株式会社が、真珠養殖場跡地につくるスモールラグジュアリーな体験型ホテル「COVA KAKUDA」です。

COVAの森の木を移植しつくられた庭

かつてこの地で営まれていた里海の暮らしを通して、訪れる人、はたらく人、地元の人、関わってくださる人との「めぐり」を感じられる宿を目指しています。

真珠屋がはじめた村づくり

COVAは単なる宿泊施設を越え、失われつつある里海の暮らしをよみがえらせることにも力を注いでいます。

木を切り森を整え、薪をわり暖をとる。
畑を耕し、整った森から流れでる養分は海を潤す。
そこで育てた野菜やハチミツ、貝を食材にして集う人をもてなす。

それはまるで、村をつくるような大きな取り組みです。

そこには覚田社長が幼い頃にこの場所で感じた人とのつながりや、英虞湾で過ごした豊かな時間が原風景になっています。

わたしは、志摩の英虞湾で90年にわたり真珠の養殖・加工を営む一族の3代目です。
わたしにとって英虞湾は、子供の頃からの楽しい思い出が詰まった最高の“遊び場”であり、“成長の場”でした。
大人になってからは自然との共生の中で人が行きぬくことの厳しさを知った“仕事場”でもあり、いまは里海の大切さを教えてくれる“学びの場”でもあります。
わたしの「心の原風景」は、全てこの海にあるのです。

伊勢志摩国立公園には、カヤック、SUP体験ができ、プライバシーが確保された宿泊施設は他にもあります。
しかしこの地で体験していただきたいのは、かつて独り占めしていた贅沢さです。
幼い頃の英虞湾で過ごした記憶。
初夏になると、目の前の海で獲れた海松(ミル)や森になるヤマモモが届けられました。
季節を感じる収穫物は父の好物でもあり、それを届けてくれた地元の人たちのあたたかい気持ちも一緒に受け取りました。

COVAは宿泊施設であると同時に、この地で営まれていた里海の一部でありたいと考えています。

COVAってどんな場所ですか?覚田社長に聞きました より

70年以上手つかずだった森を再生させることから始まりました。

COVAが目指す「めぐること」
とてもシンプルな循環です。
今回の「森を再生させる」について言えば
森に手をかけて、その恵みの薪で暖をとったり食事を作る。
ひとの手が入った森には風が吹き抜け、光が届く。
降る雨は森の栄養を海に注ぎ、それは海の生き物を潤す。
人はその暖や食に与ることで、また自然に手をかける。
ゲストがこの循環を快適に体験できるホテルをCOVA は目指します。

70年以上手つかずだった森を再生させています より

職人さんの手を借りながらじぶんたちでも木を切り、少しづつ森に光を入れていきました。

チェーンソーから薪割りの斧まで使いこなす覚田社長

切り出した木は、ストーブやサウナの燃料になります。

ゆっくりと水分が抜けて薪が育ちます

薪を割る作業も、訪れる人がたのしめるアクティビティに変化しました。

だれもが童心に戻りたのしめる薪割

伸び放題だった木は思いきって切ると、森に光が入り新しい芽が育ち始めました。COVAの森は今も育ち続けています。

森の入り口につくられたお手製の階段
森のなかにも歩きやすいように工夫が
眺めのいい特等席にはベンチが完成していました


また、里海の暮らしを考えるのに忘れてはならないのが農作業です。
そのための準備もすすめています。

畑に施肥をすると、その栄養はゆっくりと海にも注ぎ、あおさのりやヒオウギ貝、真珠を育むアコヤ貝の糧にもなります。その海の恵みをいただいた人が、また畑を耕やす無限のループが里海では回っているのです。
その畑を60年ぶりに再整備するためにCOVAの敷地内にも石積みの棚田、ならぬ棚畑を作ろうとしています。

COVAの森と海を今日も整えています より


いたるところで自然の営みを垣間みることができるCOVA、敷地内で蜂を育てています。

「おいしいハチミツを食べたい!」と、数年前からミツバチを育てはじめた覚田社長。
じぶんで採ったハチミツのおいしさに魅せられ、COVAを訪れた方にも食べていただきたいと思うようになりました。オリーブ畑のそばにミツバチの巣箱を設置し、ハチミツを採取する予定です。

COVAを彩る名脇役 ミツバチ編 より

無事にCOVAで育った蜂からはハチミツが採れました。
料理に使うだけでなく、おみやげとしてお客さまにお渡しします。

スタッフみんなで採取したハチミツを瓶詰めに
巣箱の隙間に作られた天然の巣。溶かして蜜蝋にしていろんな用途に重宝します

英虞湾の大きな課題でもあるゴミ問題。
COVAでは大小さまざまな催しを行い、取り組みを続けています。

真珠養殖が始まって116年。
その間に少しづつ溜まっていったゴミを一度に取り除くことは難しいかもしれませんが、この海を利用する漁業者や観光業者が力をあわせて取り組んでいくことが大きな一歩につながっていく

COVAの森と海を今日も整えています より

6月はじめの日曜日。
覚田社長と同じ生まれ年の真珠屋グループで、浜掃除の仕上げをしていました。

余分な枝をはらいすっきりとした眺めに
流れ着いたゴミや貝殻、大きい石を地道に取り除きます
ゴミや伐採した枝をリレー方式で伝馬船へ

直接お客さまの目に触れるところではなくても、COVAの周りを整えていくことが、海を守ることにも繋がると考えています。ここが綺麗になれば、その美しさや豊かさに地元の人も気づき、自分の周りも整えていく。そうすれば英虞湾全体が豊かさを湛えることに繋がっていく、というのがCOVAの考え方です。

COVAの森と海を今日も整えています より
泥まみれで浜掃除に取り組んだ同級生

たくさんの方に参加をいただいた里海ツアーの成果も少しづつ出始めています。こちらはまたあらためてご報告します。(里海ツアーはこちら

ケアシェルの周りで生きものを探す覚田社長

覚田社長の目指すCOVAを含む村づくり。
近くで支えているのが天羽支配人です。

貝を振る舞う支配人

森の再生からはじめて入り江を甦らせ、復活した海から真珠を採りたい。
伊勢志摩で真珠をつくりたい。
との社長の思いに、観光業としての立場からを賛同しました。
循環していることを実感できる宿泊施設になることがCOVAの意味であり、この地で覚田真珠が取り組む意義だと考えています。

漁業者、観光業者、ゲストが、英虞湾の素晴らしさと反面に抱えている環境の課題を共有できること。
ヨーロッパなどの環境問題先進国では、その環境に身を置くことで問題も含めて実感し、これまでとは違う感動や知見を増やしていけるエコツーリズムが受け入れられています。
つくられたホンモノではなく、訪れるお客さまに、この地で起こっている事実を見ていただくことが何より大切だと考えています。
そのため、イノコ島も単なるプライベートビーチにせず、事業ゴミが流れてくる現実も見ていただくつもりです。
「落ちているゴミをひとつ拾うのもアトラクション」と支配人。

COVAからはじまること〜支配人に聞きました より


最後に、他の宿泊施設ではあまりみられないであろう「海の守り人」がCOVA にはいます。

元々は自動車関係の仕事をしていましたが、釣り好きが高じて日本の海をまわるうちに志摩の海に出会い、強く惹かれ住人となりました。

海の守り人・岡部さん

岡部さんは、ただいま真珠養殖の修行中です。
遠くない将来、COVAの湾内で真珠を育てる様子をみられるかもしれません。

森、海、人に恵まれたCOVA。
いよいよお客さまをお迎えする準備が整いました。

COVAでは一緒に働いてくださる方を募集しています

採用について
https://kakudapearl.jp/recruit/#recruit_point
COVA未来の里海準備室
TEL:0596-28-0231(担当:本多)

この記事が参加している募集

自己紹介