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コミュニティにとって "場" とは「接点」という話

みなさんこんにちは。コワーキングスペース茅場町 Co-Edoの運営代表者の田中弘治です。

この記事はコミュニティマネージャー Advent Calendar 2020の10日目の記事です。
昨年は、コミュニティではなんとなく余所行きの自分になってしまうなあという方や、コミュニティマネージャーとして、どのような環境をつくっていこうか日々考えている方に向け、「薄着」で「リラックス」してコワーキングを楽しもうという記事を書きました。

ことしはおもにコミュニティマネージャーの方々に向け、とくに、コワーキングスペースを始めとして「場所」を中心としたコミュニティをもっている方々に読んでいただきたく、アドベントカレンダーに参加しています。

COVID-19が変えたコミュニティのカタチ

2020年は新型コロナウィルス感染症の影響が多岐にわたった年でした。
運営しているコワーキングスペース茅場町 Co-Edoにおいても、今でも影響があり、以前の10%以下の水準なのは「イベント開催」です。

(Co-Edoのような会場運営者はともかくとして、飲食店とともに)イベント運営を業としている事業者は、とりわけ苦しい状況ではないかと思います。

コミュニティという視点でみても(企業のコミュニティマーケティングのような事業性のあるものを除いたとしてもなお)感染症拡大の影響は大きかったのではないでしょうか。
これは今日のコミュニティが、自然発生的に生まれるものではなく、興味や関心などをもとに個人が自発的に関わるものが中心になってきたことも一因かもしれません。
感染症対策としてもっとも有効なことに「接触機会の削減」があり、Before Corona の社会で行われていた実際に面と向かって関係性を構築するということが難しくなりました。
それによって、オフライン中心だった活動がやむをえずオンラインに移行したというコミュニティが多数ありますし、反対に活動がスローダウンしてしまっているコミュニティも多数あります。

コミュニティ・アンカンファレンスで差し出された問い

そんななか、8月19日〜21日の3日間にわたり開催した「コミュニティ・アンカンファレンス」というオンラインイベントで差し出された「コミュニティにとって "場" とは何か」という問いについて考えるうちに、 コミュニティにとって「場」とは「接点」だという仮説にいたりました。

今回はこの、興味深い問いである「コミュニティにとって "場" とは何か」について書いていきたいと思います。

パネルトーク 「今求められているコミュニティのカタチ」

わたしが登壇したのは「コミュニティ・アンカンファレンス」の3日目のパネルトーク 「今求められているコミュニティのカタチ」です。
もうひとりのパネリストは、議論メシ コミュニティデザイナーとして有名な黒田 悠介さんでした。

オフラインで行うことを大切にしていたコミュニティ「議論メシ」を、感染症拡大をうけてオンラインに移行した黒田さんからは、オンライン・オフラインの違いからみえてくるコミュニティの本質という話がさまざまな観点から語られました。

そのひとつに「雑談」というキーワードがあります。

コミュニティにおける雑談について

オンラインで開催するようになった議論メシでは、イベント本編の後に(明示的に)「雑談をする時間」というのをとっているそうです。
それも30分とかではなく、2時間とか、日によっては明け方近くまで続くこともあるのだとか。

この雑談というのは、まだまだわたしたちがオンラインでのコミュニケーションに馴染んでないこともあり、なかなかオンラインでは自然発生しづらい面があります。
ここを工夫していくのがコミュニティを運営する側の役割としてあり、いま時点のオンラインとオフラインの違いのひとつです。

黒田さんは、たとえこの感染症拡大が収まり、リアルでのイベント運営が従前と同様にできるようになっても、議論メシはオンライン9割・リアル1割という割合で継続していくことになるだろうと言っていました。
人との出会い情報の交換、そこからのインスピレーションなどは、オンライン・オフライン問わずできるので、たいていのことはオンラインで足りるそうです。
一方で、参加者同士の絆を深めるために必要なことというのもあり、たとえば一緒にご飯を食べるとか、そのようなことはオンラインでは難しい面があります。

しかし(一緒にご飯を食べることに代表される)一見コミュニティにとって必要不可欠とまではいえなそうなことが、なかば強制的にオンラインに移行したことによって、その重要性を再認識するきっかけとなったと言っています。
もともと黒田さんはコミュニティの活動の場として拠点をもとうとしていた折、感染症の拡大をうけて方向転換をしたそうです。
拠点をもとうとしたきっかけのひとつは、「場所に記憶が宿る」し、エピソードが場所と紐付いて記憶されていくだろうと考え、「空間」「時間」「仲間」の3つの間のひとつである空間がないことで残りの2つに頼らざるを得ず、どうしても限界があるのではないかという話でした。

オンラインとオフラインのふたつの "場" について

そんな話を深堀りしながら、わたしの頭の中に浮かんだことが、オンラインとオフラインのふたつの "場" についてです。
Co-Edoのようなコワーキングスペースも "場" だし、みんコワのようなオンラインコワーキングもまた、 "場" なのです。
では、コミュニティにとって、どこまで空間はコミュニティと不可分な存在で、どこからは本質的ではない別のものなのでしょうか。
このことについてずっと考えていたのですが、そのひとつの仮説が、この話の流れで明確になった気がします。

それがコミュニティにとって "場" とは「接点」という話です。

場所・・・何かが存在したり行われたりする所。
・・・・ある事が行われる所。

ひとが集まることでコミュニティになるのだとしたら、そのメンバー同士の関わりをつなぐものが「空間」や「時間」であり、一緒にご飯を食べるという「体験」であり、その「記憶」ということになります。

オンライン(デジタル・アーカイブ等)になるというのは、空間や時間の制約を飛び越えます。
時間の制約を飛び越えると、非同期に体験可能なコミュニケーションやイベントということになるでしょう。
空間の制約を飛び越えたとしても、その体験や記憶の拠り所となりえるのが "場" ということかもしれません。

そうするとそれは、とりもなおさず「ひととひとが交わる接点」と考えることができます。

接点と考えれば、物理的な空間でなくても、そこには共通の体験をすることを求めてひとが集えるものとなります。
コミュニティという、ある意味、ぼやっとしたものも、明確な接点があり、そしてそれがときに接着剤となることで、コミュニティを繋ぎ合わせているイメージです。
それが "場" というものだろうと。

ではどんなものが "接点" なのかというと、つきつめて考えると「雑談ができる環境」ということになるのではないかと思い至りました。
雑談する場所でも雑談している場所でもなく、あくまで雑談ができる環境というのが、コミュニティのメンバー同士をつなぐ接点なのだろうと。

居心地のよいコミュニティとは、居場所のあるところともいえます。
居場所があるということは、自分らしくいられる場所であろうと思います。
自分らしくいられることでパフォーマンスを発揮でき、自分らしくいられることでメンバー間の関係性を作れます。
そしてその自分らしくいられるかどうかの指標ともいえるのが、雑談が可能かどうか、雑談をしやすいかどうか、になるのではないかと思えてきました。

このイベント中にふと思い出したのが、Co-Edo開設当初、1Fに看板を出そうと考えたとき「Wifi」「電源」「飲食OK」のほかに、悩んだ挙げ句に付け加えた「雑談OK」というアイコンのことです。
まだコワーキングスペースというものに認知が充分ではないなかで、図書館でも公民館でも喫茶店でもオフィスでもない、それを表現するための最後のピースが「雑談OK」という表現でした。このことは過去の記事でも書きました(「雑談OK」から考えるコワーキング文化の変遷

雑談をする場所ではなく、雑談ができる環境。
それがコミュニティにとっての "接点" なのかと思います。

オンラインでは、今以上に雑談がしやすい環境にしていく必要がありそうです。
オフラインでは、雑談が生まれやすい環境をつくっていく必要があるでしょう。

みなさんのコミュニティが、関わっているメンバーの方にとって、より自分らしくいられる場になっていくことを願っています。


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ちなみに今回の主題である「コミュニティにとって "場" とは何か」という素敵な問いを用意してくれたのは、パネルトークでモデレーターを努めてもらいました 株式会社funky jump の代表者 青木雄太さんです。

先日『「誰だったっけな…」「言ってくれれば…」をなくします』を合言葉にコミュニティマネージャーをサポートする会話情報記録ツールTAISY』をリリースしています。

コミュニティを大切にしている方々はぜひフリープランで試してみてください。


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コミュニティマネージャー Advent Calendar 2020

この記事はコミュニティマネージャー Advent Calendar 2020の10日目の記事です。

つぎは12月14日(月)、Cafe & coworking space CLIP (@clip_showacho) を運営している Suemoto Hana さんです。
楽しみにしています 🙂

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