¥OUNG ARM¥「Inside Looking Out」全曲解説
仙台のラッパーのPlain Jayがリリースしたシングル「Only One Jay」のプレスリリース文章を担当しました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。
仙台を拠点に活動するラッパーのPlain Jayは5月10日(金)、新たなシングル「Only One Jay」を配信リリースした。
実弟でラッパーのHuncho Foxらと共にコレクティヴ「S4L」を組むPlain Jayは、シリアスな情景・心情描写とラフさを両立したリリックをフリーキーな発声やオフビート気味のフロウを交えて聴かせるラッパー。2021年頃から精力的に作品をリリースしており、これまでにソロでのミックステープ「Too Hard: The Collection」やEP「Frozen 2」、S4L所属ラッパーの¥OUNG ARM¥とのコラボレーションミックステープ「Slime 4 Life 2」などを発表してきた。また、2023年にはオーディション番組「ラップスタア誕生」に出場。そのオンリーワンな個性で注目を集めた。
今回リリースする楽曲は、次のミックステープ「Only One Jay」からの先行シングル。先にMVのほか、国内ヒップホップの人気YouTubeチャンネル「03-Performance」でのパフォーマンス動画も公開されており、正規での配信リリースが待たれていた一曲だ。プロデューサーのNovaがラップスタア誕生でのPlain Jayの印象を受けて制作したというシリアスなトラップビートに乗せ、葛藤や決意を覗かせるリリックをエモーショナルに歌った曲となっている。
ミックスとマスタリングはS4Lに所属する福島のプロデューサーのKaworuMFが担当。アートワークは「Slime 4 Life 2」と同じくワイズグラフィックスが手掛けた。
また、YouTubeで公開されたMVのトレイラー映像の概要欄の文章も書きました。
さらに、プロフィールも新たに書きました。
プレスリリースやプロフィールでも書きましたが、Plain Jayはコレクティヴ「S4L」で活動しています。ラッパーの¥OUNG ARM¥はしなやかなフロウとユーモラスなリリック、Huncho Foxは高めの声質とハードなリリックが魅力。プロデューサーのKaworuMFはトラップを軸にしつつ、ラチェット系やプラグなども作る幅広くもアメリカのマナーに焦点を絞った作風の持ち主です。
そんな実力者揃いのS4Lから、¥OUNG ARM¥が今年ミックステープ「Inside Looking Out」をリリースしていました。今回は同作の全曲解説を書きます。
1. 024
KaworuMFプロデュース。
ミニマルで妖しいループにダーティな808を合わせたトラップ路線です。スネアの鳴りや声ネタも含めてメンフィス感があります。
2. Hungry
この曲もメンフィスっぽい匂いが漂っています。
イントロのローファイな声ネタとヘヴィなピアノが印象的なビートで、ユーモラスな味のあるラップを聴かせる曲です。制作はKaworuMFとDJ EZELの二人。
3. KANCHIGAI
KaworuMFとWooRockの共作。
Three 6 Mafia直系のピアノループと手数の多いドラムが効いた、メンフィス系トラップです。アドリブも絶妙。
4. Color
DJ EZELプロデュース。
太いベースやストリングスが目立つ、南部Gフレイバーのある曲です。¥OUNG ARM¥のしなやかなラップとも好相性。
Thlive名義でシングルリリースされていた曲。
プロデュースはKaworuMFとGDM Beatsで、ダークでダーティなクラブバンガー路線です。タイトル連呼フックが強力。
6. Inside Looking Out (feat. DJ EZEL)
DJ EZELによる全編スクリュー仕上げの曲。
例の高音シンセも飛び出す、Gセンスが濃厚に漂うスロウファンクです。スクラッチやエフェクトの使い方も含めて完全にテキサスマナー。
7. IRAIRA
囁き気味のフロウも使ったユニークなラップが楽しめる曲。
KaworuMFとMisdoe制作のビートはヘヴィなピアノと808を用いたトラップ路線です。途中Project Pat風のフロウも聴けるので、G好きの方はニヤリとするはず。
8. Purple Kush
メンフィス感強めな曲。
ダークなループと声ネタのチョイス、フックでの低速声が印象的なハードな曲です。¥OUNG ARM¥のラップもキレがあります。
9. MUSHI
テキサスGクラシックネタの曲。
プロデュースはDJ EZELで、ダーティな808を加えて現行マナーに仕上げています。うっすらオートチューンのかかったラップも今の味。
10. Loyalty
KaworuMF制作。
寂しげなピアノを使ったエモーショナルなトラップです。歌心のあるフロウを取り入れた¥OUNG ARM¥のラップも哀愁が漂っています。
11. Soldier-A
テキサスG風味のトラップ。
クールなシンセに手数の多い808、フックでの声ネタが効いたメロウな曲です。スロウバック系のリリックも印象的。
12. It's Goin Down
南部Gっぽい匂いがする曲。
不穏なストリングスや高音シンセを使ったビートで、しなやかで歯切れ良いラップを聴かせる曲です。Gセンスもありますが現行マナーも感じられます。
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